第59話「試合終了。会長の挨拶」
借りもの競争の結果は、紫チームが勝った。
フィジカル化け物のデリックとレオ先輩が同じチームなのはいかがなものかと……。
おまけに各チームの合計得点に差があまりなかった。
そもそも俺の考えた指示書の内容がいまいちだった責任もあるけどな。
二位でもポイント合計で逆転一位とか期待してたんだが……。
そんなこんなで開会式と同様に閉会式も同じ広場で行う。
学園長の軽い挨拶の後、学生会会長の挨拶をする。
「本日は天候も良く、初めてのリレーイベント終了することが出来ました。
時間が無い中、ご協力いただいた職員の方々ありがとうございました。二種類の競技、どちらも白熱した戦いに、熱気を感じました。来年度以降もこのイベントを続ける方向で調整したいと思います。
クライン卿、こちらにお願いします」
唐突、俺呼ばれる。
戸惑いながら、会長の元に行く。
拡声器の魔具を渡され、「一言お願いします」
何も考えてないのに。仕方がないので、皆を見回すふりして必死こいて挨拶文考えた。
「一年カルヴィン・クラインです。今回、エリオット殿下の推薦でリレーイベント立案させて頂きました。時間がなかったものでルールや設備に穴があったりで、満足いく結果にならなかったかもしれません。代表リレーでなかった為、勝敗が皆さんの納得いかない結果だったとしても、半分時の運みたいなものなので、喧嘩しないで下さい。三年生の先輩方特に……。一年の自分としては、この学園に来て、初めて同学年で共同作業が出来たので割りと面白かったと思ってます。また来年度、もっと良い形でリレーイベント続けられたら幸いです。学生の皆様、職員の皆様、本日はご協力ありがとうございました。女神アレスのご加護があらんことを!」
一礼する俺。
パチパチパチパチ
拍手が上がる。
「最後の台詞は、私のなんだけど……」
ボソッと銀髪会長に釘を刺された。
「さっ、さーせん」
「本日は、これにて解散です!」
メガネ先生が叫んだ。
学生達は、内園に戻っていく。
でも、職員の人らが魔石の付いた杖の様な物を持って円路に散らばっていく。
「すみません。先生方は何をしてんすか?」
会長、銀の髪の毛くるくる。
「あれはー、学生の魔力を使って、結界張り治すんですって」
「はっ?」
「学長が、『学生の残り魔力が一定方向に残ってるうちに、再利用するか』とかで。急遽決まったみたい」
「俺、利用されました?」
「違うわよ。偶然よ、偶然。まぁ延べ三百人近い魔力持ちの人間が、全力で走れば、土地に多少なりとも影響はあるでしょうから」