表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/154

第3話「俺とかゲーム攻略対象キャラとかについて」

 前世の記憶を思い出した翌日。

 俺は使用人にねだって、表紙が頑丈なノートというか、白紙の日記帳を用意してもらった。


 ゲームの舞台は、魔法を教える学園。

 五歳の誕生日からおよそ十年後。

 クライン公爵家の姉ジェルトリュードと俺カルヴィンは、王立魔法学園(テンペスト)に入学する。

 姉は典型的悪役令嬢。ただの意地悪な女通り越して、完全にヒールキャラだった。

 姉1 姉2が、このジェルトリュードに「性悪」というあだ名つけても、「うん。そうですね」としか言えないような造形をしていた。

 いかにもお嬢様巻き巻きポニーテールで、背は割と高く、見目は良いけどきつい顔立ち。母親のヒスばばぁに似た、いやそれをさらに醜悪にしたようなつり目。

 ワタクシ、意地悪キャラでございますわよ!と言わんばかりのキャラデザ感。

「所詮は、平民! 下賤民のすることは違うわね! おホホホホホホッ!」と高笑い、してたと思う。

唯一の長所は、お胸が割りとデカいこと!

 俺が記憶してるジェルトリュードのイメージはこれだ。

 時々、姉1姉2がリビングのテレビにゲーム機を接続していたり、据え置き機をポータブル状態にしてのダイニングテーブルのとこでプレイしていた。それを、おやつ食いながら端から見ていたので、なんとなく覚えてるいる。

 そもそも、ジェルトリュードなんていう仰々しい名前、人生で初めて聞いたわ!と。

 で、なんかネクラで陰キャそうな片目を髪の毛で隠してるジェルトリュードの弟、カルヴィン。初めて聞いた時、「カルビ」と聞き間違えてた。「カルビ、カルビ」って、なんでこいつら焼肉の話してんやろと、首を捻ってた。今となっては自分に草生える。

 本来なら、こんな顔に傷がある地味キャラ印象に残らないが、姉1が「弟ルート出来ないよー! また死んだーっ!」と叫んで、必死こいて攻略しようとしていた。

  姉1姉2の会話と端から見てたゲームの内容を、俺はノートに書き記していった。

 でないと、十年後の入学時に、きれいさっぱり忘れている可能性もあったから。

 やっかいなことに、 お姉二人は、登場キャラを正式名称で呼ばなかった。

 呼んでたかもしれないが、俺には記憶がない。ゲームの音声から、ジェルトリュードや俺カルヴィンの名前を覚えてたくらいだから。

 コードネーム的に、それも一キャラに複数ある場合もあり、書留めながら登場人物を思い浮かべるも、さっぱりわからない。まだ会ったことないし、そもそもゲームのタイトルすら俺は覚えていないから。

 頭の悪いお姉らのプレイする乙女ゲームなんぞ一々覚えてられるかよ。


「性悪」「ジェル」ジェルトリュード。

「弟くん」「片目」「陰キャ」は、まぁ俺カルヴィンやろ。

「王子様」は、きっとこの国の王子様で、ジェルトリュードと婚約してたが、なんか断罪イベントで、彼女は婚約破棄されてたような……。

「桃子」「ピンクちゃん」これは主人公でプレイヤーキャラ確定。お姉らは「うちの桃子」とか「うちのピンクちゃんは」と言っていたから。

 問題は、ここからや。

「おひぃさん」「おぼっちゃん」「ポチ」「レオくん」

「行商さん」「インド先生」「メガネ先生」

「赤いオスカル」「ブラコン」「三人娘」「お兄ちゃん」「シロイさん」

「マリオさん」「オタク三銃士」

 無理です。誰が誰だか、わかりません。

 先生が付いてるのは、学園の先生やろ。

 後は、キャラに付随したであろうエピソードを思い出して適当に書き出していった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ