第46話「まだ夏休み。食堂にて」
八月上旬も終わろうとする頃。ぼちぼち学生が増え始めた。
ピンクちゃんが戻って来た後、おひぃさんが戻ってきて、数日してヴォルフが戻って来た。
皆さん、久しぶりに家族に会えてスッキリした感じだった。
我が家? 家族と会わなくても特に問題なし! 寧ろ、帰省しない方が、ジェル姉はスッキリしてます。
どのタイミングか分からんが、ゲーム上、帰省したカルヴィン、姉のジェルトリュードにぬっ殺されるイベントがある。よって俺的には恐くて怖くて。
食堂にて。
夕方、パトリシア嬢とブルジェナ嬢、俺ら姉弟で相席していた。
「明日から数日、私、補講なんです」
「大変ね。光属性の上級生と?」
「いえ、私だけだそうで……」
「一ヶ月入学遅れただけで、大変やな」
ふと斜め前のブルジェナ嬢を見た。
難しい顔で左肩の辺りを掻いたり擦ったりしてる。
「虫刺されか?」
「春辺りから、無性にムズムズするというか、痒いというか、落ち着かない時があるんです」
「緊張すると、痒くなる現象あるからねー」
ジェル姉が、ブラウスをパタパタして「夏とかみぞうち辺りが蒸れて痒くなるわよねー」
「パトリシア嬢は?」と、言いかけたところで、俺の頭に姉御の手刀がはいる。
「ちょ、何すんの?」
「あんたレディらを前に、何を言おうとしてるの?」
「はっ? 深い意味はねーよ!」
「ぜーっ体、胸が大きいと蒸れるとか言おうとしてたわよね!」
「そんな事はない!」と、言った辺りで、パトリシア嬢が顔を真っ赤にした。
そりゃ、確かにピンクちゃんのお胸も、姉御と負けないくらいあるけど、彼女メロンカップだから。俺はスカーフ巻いてると首とか蒸れるよねって言おうとしただけやのに!
「俺は何も考えてないよ。今の姉御だから!」と、慌てる俺。
ブルジェナ嬢は、胸元の生地を摘まんでパタパタ動かし、複雑な表情をしている。
もう勘弁してくれと、何気に視線外した。斜め前に、トレー持った黒髪眼鏡ちゃんが物凄くドン引きして硬直して立っていた。
周りの学生らも、こっち見てるし、なんやねん!?
俺、悪くないーっ!