表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/151

第34話 その3「姉御と俺とうそっけのピエロ」

 豪農さんがいる村が見えてきたあたりで、バスの歌のバスを馬車にした適当替え歌をヘビロテして俺は小躍りしてた。

 お付きのねえさんが「その歌は何処で覚えられたのですか?」と不思議そうに聞いてくる。

「夢の中で、ピエロさんが教えてくれた」

 勿論、ウソだ。

 元ネタは、幼児向け教育番組で流れてた歌だ。幼稚園でも習ったし。

 通ってた幼稚園の特性というか、割りとお受験する子が多く、うちの三姉弟もそっち側。

 毎晩寝る前は必ず絵本や童話の読み聞かせ。生きてた頃、字が小さくて重くて太い本が本棚に数冊あった。何冊かは、従兄弟が小さい時にあげたが。ついでに姉二人いたから女子向け絵本や玩具は身の回りに普通にあったので、姫物童話はちゃんと知ってる。男兄弟しかいないと、女子向け物語を全く知らん奴いたりするらしいが。

 なんやかんやで、俺はメジャーな話からマイナーな話までかなり知っている。

 こっちの世界にも、シンデレラや白雪姫姫みたいなお姫様が出てくるお話は普通にある。ただ、日本昔ばなし的なのはない。

 暇な時や寝る前等、二人きりだとこういう子供向けコンテンツを「夢の中で、ピエロさんから聞いた話」としてジェル姉に話してた。

 色々楽しんでくれるけど、時々彼女は切なそうに言う。

「私にもピエロさんが来てくれないかな」

 ごめんな、ジェル姉。ピエロさんなる人はいないから。

 狭い馬車の中。バカな歌を歌ったりはしゃいだりしてるうちに、青い空はオレンジ色に染まりだす。

 豪農さん宅に着いたのは夕方頃だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ