第31話「放課後のカフェテリアにて。同級生の耳打ち」
剣術大会後のある日の放課後。
カフェテリアにて、バイト中のエイミー・キャンベルと話す。
授業と授業の間とかに話せば良かったんだが、なかなか機会がなく、無理くりに話しかけても、端から余計な詮索される心配があったから。ゲームにおいて、俺のキャラは陰キャ属性。姉御以外の女学生にやたらと話かけると、チャラ男になってしまう。
カフェテリアのカウンター。接客してるんだから女子に話しても、特に問題はないはず。
「この前はどうも」
「いえいえ。こちらもお弁当助かりました、カルヴィン様」
俺は、サンドイッチ作りはうまくいったとか、ランチ会のメンツについて等、世間話をした。
実は乙女ゲームの攻略対象者の学生が俺を含めて全員揃ってランチ会はカオス!とか話したかったが、そんなん言う相手ではないのが残念なところ。
「ところで、剣術大会のヤバい噂知ってます?」
エイミー嬢が小声で耳打ちする様に笑らう。
「何、何?」ワクテカの俺。
「剣術大会って、学園部外者の方の参加が多いじゃないですか」
「観覧客以外に、審判とかもだっけ?」
「それでね、実は剣術大会の本戦って」とまで言って、口許に手を添え更に小声で「昔から賭けの対象にされてるらしいんです」
「マジで!?」と大きい声が出そうになる。
「しーっ。あくまでも噂ですよ。出場者の後援の関係とか、色々と思惑があるようです」
「学内だと聞いたことないけど。ノミ行為? それともトトカルチョ?」
「学園外ですよ。公営ギャンブルなわけないじゃないですか?」
「はへー。学園公認?」
「まさか! でも、黙認じゃないですか? 学園運営って色々利権とか絡んでるらしく」
「そんなにここお金に困ってるの?」
「そんなんじゃなくて。政治的な話ですよ。去年の優勝者って、王子様のお付きの方でしたよね? そして、今年は引き分けた。これがとある方々からお気に召さなかったようで。来年どうなるのかなって話」
まさか、レオ先輩のお弁当強奪って……。デリックもレオ先輩も滅茶苦茶真面目に戦ってた。
それを自分等の利益の為に小細工してる連中がいるって事……。
「イヤな話聞いたな……」
「内緒ですよ。あくまでもウ・ワ・サってことで……」
カウンターの奥のキッチンから、黒髪眼鏡ちゃんが俺のカフェラテのグラスを持ってきた。
藁のストローが刺さった冷たいカフェラテを受け取り「じゃ、また。なんかあったらヨロ」
「ありがとうございました」
初期に構想してた名持ちキャラはほぼ登場。
すみません。
次回から11回分は子供の頃のお話になります。