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第22話「お弁当狂想曲」その2

 六月上旬の土日に剣術大会が開催される。

 本戦のある日曜日は、来賓が食材と料理人連れてきてコロシアムの外で昼食会を催す。そういう理由で、食堂はお休みになる。

 昼食会に参加するのは、来賓のお偉いさんの関係者の学生のみ。飯のあてがない学生は、お弁当申し込みが必須になる。

 お弁当は、コールスロー的な野菜とハムを挟んだパニーニサンドみたいなのと、フルーツが紙の箱に入ってるらしい。あと瓶の炭酸水(無糖)が付く。

 以前は、申し込みの時間締め切りが緩かったそうだが、ダラダラする学生が後を絶たないので厳しくなったとか。弁当を逃すと、朝飯のパンをお昼用にせねばならないらしい。

 五月中に、行商のマリオさんに食材とエプロン数枚発注した。なま物系は土曜日に届けてくれるらしい。カフェテリアの冷蔵棚も借りられるから助かった。

 姉のジェルトリュードは、日曜日のサンドイッチ製作以外引いてもらった。

 きっと足手まといになる。

 ジェル姉は不満そうであったが、慣れないキッチンでパンからこさえるって大変なんや。

 失敗したら飯無しやぞ。

 予選会前日の金曜日の夕方。

 お弁当製作チーム四名で、給品部に行く。

 マリオさんから、エプロンと小麦粉やバター等を受けとる。

 ブルジェナ嬢が、白い柔らかそうな物が入っている大きめのガラス瓶を嬉しそうに受け取った。

「その白いモコモコした物は何かしら?」

 ジェル姉が不思議そうに、ブルジェナ嬢に尋ねる。

「これパンの種です」

「パンの種? 撒くの?」

 なんでじゃ! 姉御ボケ過ぎ。

「いえ、捏ねた小麦粉と混ぜるんです。パンを膨らませるために」

「イーストか!」

「はい。父の弟弟子の方のお店のパンの種を分けていただいて。酵母の作り方が同じだから、父の味に近いかなって」

 ブルジェナ嬢は愛おしそうに瓶を抱き締めた。

「こんな物まで取り寄せていただけるんですね」

「お金さえいただければ、なんでも扱います」

「兵器とかも?」

 俺はボソッと呟いた。

「……。ご相談いただければ……」

 ボソッと返すマリオさんの悪い顔。

「冗談でございます」

「…………」怖いよ、 マリオさん。

次回、第23話「えっ!? あんたが攻略対象者?」

よろしくお願いします。

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