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第20話「我が家の財務諸表」

 学園でバイトしてる奴もいるが、大抵の学生はバイトなんぞしていない。

 我が家はお貴族様、しかも公爵家。だから安泰!と、言い切れなかった。

 学園入学の三年前くらいから、俺は親父であるクライン公爵と掛け合って、我が家と領地の財務関係を教えてもらっていた。

 親父や本邸執事頭のセバスらは、嫌がっていたが、「父上がある日突然不幸な目にあった場合、跡取りの俺が困ります。ついでに母上や姉上もきっと困ります!」と、主張するとしぶしぶ了承してくれた。

 俺が会計帳簿をなんとなく読めたのは、姉1のおかげだったりする。大学入ってしばらくして、単位に会計関係の講義があったとかで、簿記の勉強して二回生になって資合格していた。当時、六年生で中学受験の時期で、勉強してんなくらいにしか思ってなかったが、姉1が資格取得後、「あんたら賢いから三級なら余裕じゃない?」と、知ったかして高校生の姉2と俺に解説してくれた事があった。中坊な俺は、ダイニングテーブルに置かれていた簿記三級の解説本をパラパラ読むだけだけで、資格取るための勉強はしていない。それでも、知識があるのと無いのでは全く異なるので今は感謝と後悔を孕みつつ。

 領地も家庭も特に問題なく。

 領地運営の為の必要な借金があるにはあるが、余程の事でもない限り大丈夫だろう。

 てっきり貧乏貴族出身の母親が、エグい出費をしているのかと思いきや、割りと堅実家だった。

「で、裏帳簿はどちらですか?」

 俺はにこやかに親父殿に尋ねる。

 図星なのか、二人の様子がなんかおかしい。執事のセバスは平静を装っているが、親父のきょどり方がね。

「なんの事かね? 息子よ!そういう物は」

 左目を隠してる前髪を俺はなんとなく左手でかき上げる。

 そして、じーっと親父を見つめた。

「……。すまなかったー。母さんには黙っていてくれ!」

 親父、ヘソクリでやっぱり王都に女囲ってやがった! 王都に滞在してる時、それっぽい女の影は知ってたけどね。

「大きいお胸の美人が好きですよね、父上」と、俺はにやーと嗤う。

 母親の胸のデカさ考えたら、絶対胸の大きいさで嫁決めたやろうとしか。

 王都で隠居生活している若い頃はジェルトリュードに似ていたらしい祖母が、

「あの子は、三人いるお嬢さんの中で、良い家柄の方より魔力値の高い人を選んだのよ。魔力ってお胸に貯まるのかしらね」

 天然なのか、嫌味なのか。母親と幼い姉弟で凍り付いたのは言うまでもない。

「家計が圧迫しない限り、とやかく言いませんけど。母上にバレないようにして下さいね。妻のご機嫌取りは、子供の仕事ではなく、夫の仕事ですよ。俺はともかく、姉上にとばっちりが行きますから」

 有名配信者の人が言ってたな。「自分の機嫌は自分で取りましょう。ただし、奥さんのご機嫌取りは旦那様の仕事です」って。

 女囲える親父の根性が羨ましい。俺は人付き合いでも面倒臭いのに。あの時は、まだ見ぬ名前も知らないピンクちゃんと一緒になれたらとぼんやり考えたっけか……。

 まぁ、そんなこんなで学園生活におけるお金は特に困ってないのである。

 学園生活における月に金貨十五枚から二十枚程度の予算を得た。ジェル姉は十枚だから、彼女には内緒!

次回から10話くらいゲームにもあったらしいお話になります。

よろしくお願いします。

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