プロローグ2
リビングの四十二インチテレビの前五十センチの辺りで張り付くように並んで床に座り、ゲームをプレイする大学生の姉1と姉2。
アイスキャンディ食べながら、後ろから二人の様子を眺める中学三年生の弟。
テレビにでかでかと映し出されるゲーム画面。
洋風の庭園。
桃色の長い髪の毛の女子キャラ。濃い紫色の髪の毛で左の片目を隠している男子キャラ。
スカートとズボン等の微妙な違いはあるものの、濃いめの青い色の制服に身を包み、二人が右手下から現れた。二人は庭園を反時計周りに移動しながら、会話をする。
男キャラが嘆くように、ぼそぼそと語り続ける。
学校について。生活について。そして、家族について……。
「俺の姉さん。昔はあんな感じじゃなかったんだ。子供の頃は、俺に優しくて。床にぶつけた頭を撫でてくれて……。もっと、俺が、姉さんに向き合っていたら、こんなことには……。どうしたら姉さんと仲直り出来たんだろう……。俺、わからなくて……」
男キャラの話が終わった途端、テレビ画面に釘付けになっていた姉1姉2が、ふんっと首を内側に振って、後ろにいた弟にじとりとした視線を送る。
「何で、俺を見んねんっ!?」
姉1「……」
姉2「別に~」
と、同時にテレビに向き直った。
「あぁ~。あ~んな性悪でも、姉想いの弟がいるんだねー」
「うちの弟ときたらーさぁ」
「あんなにかわいがってあげたのに~」
「知るかっ、ぼけっ! かわいがってもらった記憶なんぞあるかっ‼」
「可愛いかぁくん、もーいないー!」
「俺だってなー、綺麗で優しいお姉さまか、可愛い妹ちゃんが欲しかったわ!」
「はっははははっ! そんな感じに考えてた頃が、私にもありました。面白い変な妹と、生意気な弟が、現実なんです!」
「あっ、ポチが迎えに来た!」
画面左下から髪の黒い男キャラが現れて、「皆さんが呼んでいますよ」と、桃色髪の女キャラに呼び掛ける。
「そろそろ戻りましょう」と彼女は言うと、二人は左下に消えていき画面も暗転した。