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第16話「ピンクちゃん、再び!」

 実験棟の医務室。

 椅子に座って縮こまる俺。

「困るんだよねー。中途半端に地の魔法使われるのは」

 インド先生ことディアナ・カーン先生が、三十センチ程ある医療用魔具の金属棒を俺の頭から足まで撫でる様に振る。白衣の下のお胸が素敵!

「顎軽くやられてるみたいだけど、治ってる」

「治癒系魔法も使ったらダメですか?」

「地系は、中途半端だと地脈の力でなく、地面表層の力使うから、芝生とか枯れちゃうの! それに『殴って治せば同じ事』をやらかした学生が以前いたから、今は厳しくなっちゃったのよ」

 インド先生はキセルを咥えて一口吸うと、ふーっと息を吐いた。煙が出ない。

「タバコじゃないですね?」

 むぎゅっと俺の口にキセルの吸い口入れられる。

 ん? タバコじゃない。ハッカ?

「フレーバーオイル。食用だよ。さっさと行きな」と、キセルを取り返す。

「じゃ、失礼しましたー!」

 俺は医務室を出た。

 食堂に駆け込む。

 ジェル姉は、取り巻きの三人娘と既に食事をしてた。

 横を通ったら「あんた何処行ってたの? もう私終わっちゃうわよ」

「一人で食べます」

「ぼっち飯? かわいそう」

 俺らのやり取りに、三人娘がクスクス笑う。

「うるさい! 飯ぐらい一人で食えるわ!」

 姉御を無視してカウンターに飯を取りに行く。

 がっしゃーん

 後ろで、食器をひっくり返す音が響いた。

 トレー持って振り返ると、一年と三年の島の間の通路で、桃色髪の女子学生が落としたトレーを見つめ硬直している。

「気を付けなさいよね」「この平民が!」

 黄色のスカーフ留めした女学生らが吐き捨てるように去っていく。

 嫌な感じだなーと苦々しく思いながら、俺はピンクちゃんとおぼしき女子学生に近づいた。

「大丈夫か?  もっ回取りに行こう」

「あっ、はい。でも、落とした食器を片付けないと」

 丁度、食堂の担当職員の中年女性が、落としたトレーや食器を片付けてくれに来た。

「係の人いるから」

 俺は、ピンクちゃんと一緒にカウンターに行った。

「すみません。一人前ひっくり返っちゃったので、予備貰えませんか?」

 カウンターの奥から、白いエプロンに三角巾の給仕のおばちゃんが申し訳なさそうに「今日はもう予備はもう無くて……」

「はっ?」

「おかわりする学生さんが多くて、パンしか残ってません」

 体育会系の学生らかよ……。筋肉だるま共が!

 ピンクちゃんに俺が持っていたトレーを渡す。彼女は戸惑って受け取った。俺は彼女が持ってるトレーの上のパンを掴んで、「彼女に新しいパンをお願いします」と、給仕のおばちゃんに告げる。

「座る島は学年毎に決まってるから。今一年は真ん中な」

 俺はパンを噛りながら、そのまま食堂を出て、学生寮に戻った。

 カフェテリアで何か食うかと思ったのに。

「本日の軽食及びスイーツは全て終了しました」

 無慈悲な下げ札で、俺は絶望した。

 お腹が減ったよー。

 orz

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