17 「渡り廊下あたりで交錯するなんやかや」
今年の一年は、先に外園一周して校舎説明してから大教室集合らしい。
一年生が退場してから、他学年は解散となった。
懐中時計を見たら十一時過ぎ。
俺らの姉弟とピンクちゃんと三人で食堂にお茶を貰いに行った後、図書室に寄る為に実験棟へ向かう。
講堂校舎北側の渡り廊下を歩いていると、校舎方面から話し声がやってくる。複数人の団体の様だ。
「あっ、王子さまっ」と、パトリシア嬢が呟いて、「先生もいる」と続けた。
渡り廊下のど真ん中、三人立ち止まる。
エリオット殿下と御学友学生含む数名のお付き達と一緒に、眼鏡のティーダ先生がいた。
メガネ先生と殿下は何かしら話している。
教員宿舎近くで一団は止まる。
「今日は助かりました。ありがとうございました」
「いえ、先生のお役に立てて光栄です」
年齢の異なる金髪のイケメンが二人。
メガネ先生と王子様。
授業だと知らんけど、俺はこの二人が一緒にいるところを殆ど見たことがない。
がたいはメガネ先生のがしっかりした感じだが、毛並みというかなんか似てるなと思った。
この国の人種的なあれか、それともゲーム上の造形の問題……。
「先生、おかえりなさい」
「殿下、おかえりなさい!」
ピンクちゃんは黙って二人に会釈する。
二人はこちらに気が付いた。
「ジェルーっ!」と、王子様が婚約者に手を振った。
少しの間、俺らを見つめていたメガネ先生が思い出した様に叫ぶ。
「君達っ! ご飯食べたら一時から面談するから!」
「めっ、面談!? 俺らですか?」
「そう。君達三人!」
「わかりました!」と、姉御が返した。
先生は、教員宿舎に入っていった。
「ごめんなさい。私、殿下のところに行ってくる」
ジェル姉が駆け出す。
「先、行ってるでー。長引いたら食堂でな」
「はーい!」
王子様と楽しく話してる姉御を置いて、二人で図書室に向かった。
図書室にて。
二年生になると閲覧や貸出し可能な図書が増える。
納得いかんのが、三月三十一日で一年生は終わってるのに、新学期開始扱いの始業式前日まで一年生扱いだった事。
予約は可能だが、貸出閲覧は制限がかかったままだった。
事務手続きとか図書の整理とかそういう理由なんだろうが……。
パトリシア嬢は、予約していた本が借りられてうきうきしている。
俺が予約していた本は、先約がいた為まだ借りられなかった。
ガラガラガラ
勢いよく扉が開けられた。
「お待たせー!」と、飛び込んできたジェル姉。
「図書室ではお静かに」と、女司書さん。
小さな声で「すみません」と、姉御は肩をすくめた。