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第129話「もう一人の姫君」

 二曲目終わって、ピンクちゃんらがいた場所に戻ってきたら、人集りが出来ていた。しかも、野郎ばっかし。

 すっかり忘れてた。

 “元素精霊の淑女”であるブルジェナ嬢への接近禁止命令は、プロムでは解禁になる事を……。彼女が持つ火属性と社会的地位欲しさに、精神性の薄汚い男達が熟れきったバナナに集る小バエの様にブンブンと纏わりついてやがる。

 しもたー。ヴォルフに引き渡す算段が……。

 人集り過ぎて、おひぃさんとこに行けない。それと、ピンクちゃんは何処や?

 三曲目が始まった。

「ブルジェナ嬢、踊っていただけないでしょうか?」「いえ、自分と是非!」

 次々と飛び交うお誘いの文句。

「おひぃさん!」

 男子学生の隙間から、件の姫の姿が見えた。

 キョロキョロと完全に狼狽している。怯えてる様にも見えた。

「通してくれないか?」

 芯のある男の声に、皆ピタリと静止した。

 まるで海がぱっくり割れる様に、人集りが二つに分かれる。

 男子学生らの間をやってくるエリオット殿下。そして、周りを囲む様に家来"王子様の五剣"。彼らは揃いの黒い騎士の衣装に身を纏っている。

 俺なんかより、この家来の五人と王子様が乙女ゲームの攻略対象者ですと言った方が、よほど説得力がある。

 ちくしょー!

 エリオット殿下がブルジェナ嬢の前に現れた。片膝ついて彼女に手を差し出す。

「ブルジェナ・サンチ嬢。剣術大会の昼食会、招いていただいてありがとう。ついては僕と踊っていただけないだろうか?」

「えっ?」

 おひぃさんは王子様を見つめる。

「……。はい」

 彼女は殿下の手に自分の手をそっと乗せた。

「では、四曲目に」

「あのー、あたし、ダンスは得意じゃなくて……」

 王子様は立ち上がり、ブルジェナ嬢をエスコートする。

「大丈夫です。僕がリードしますから」

 二人の状況でも、まだチャンスがあると、諦めない男子学生達。

 次は自分だと唸らんが勢いで、他の学生らを牽制する。わけのわからん所で火花が見えた。

「あっ、次は僕の家来だからね」

 王子様のさりげない宣言。

 おひぃさん狙いの学生達は、意気消沈して解散していった。

 五人も家来がいるからな……って、ヴォルフと踊れないやんけ!?

 んっ?

 ここから近い舞踏エリアの端。

 何故、ピンクちゃんとヴォルフが踊っている?

 少しぎこちないけれど、楽しそうだった……。

 あ――――!

「良かった。殿下、ちゃんとブルジェナ嬢回収してくれた」

 ジェル姉が戻ってきた。

「どういう事?」

「えっ? プロムで接近禁止解除されるから、殿下に踊ってもらうようお願いしたの」

「はっ、はあ」

「次は、デリックの番だから」

 ……。

 ちょーっ!?

「あんた、まだ誰とも踊ってないの?」

「ええまあ……」

「じゃ、腹ごなしに私が踊ってあげるわよ」

 妙な高笑いしながら、襟首掴まれた。

 ジェル姉は殿下と別れてすぐにちゃっかりカナッペとか食ってたようだ。

 ピンクちゃーん……。

王子様の五剣、一応全員フルネーム付けてます。

ただ、使い所がね……。

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