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第103話「冬休み後半と三学期の重要行事」

 一月も三日過ぎると学生達はぼちぼち学園戻ってくる。

 そういう理由で、俺は秘密の特訓がやりにくくなった。

 四日の夕方にブルジェナ嬢が戻ってきた。

 その翌日にヴォルフが戻ってくるも、相変わらずおひぃさんとは話しはおろか、挨拶もせず。気まずそうにすれ違った。

 端から見ていてもどかしいなと思っているのは俺だけではなさそうだった。同学年の奴らも二人の関係を腫れ物に触れるかのように遠巻きに見ていた。

 そんな感じで、三学期が始まった。

 全校生徒の関心事は、三年の卒業と終業式後のプロムだった。

 プロムに参加する学生は輪っかにして腕輪状にしたミサンガを数本用意する。一年生は三本。二年と三年は五本。

 ダンスが終わると踊った相手とミサンガを交換。持ってる本数が無くなったら誰ともダンスは出来ない。

 恐らくもなにも、イケメンや美少女のモテモテ男女にダンスの申し込みが殺到して大変な事になるから出来たシステムだ。

 原作のゲームだと、攻略対象者を絞る事で親密度ルートを制限し、ゲーム制を高める為のシステムなんだろう。

 さて、ミサンガは毛糸と言うか、刺繍糸を太くした様な糸を三本から四本組み合わせた物だ。

 週末にやってくる行商のマリオン商会に発注するのが恒例だ。冬休み中に、実家の出入り業者に発注するのも有だ。

 そういう理由で週末の給品部の売り場は女学生達で賑わっている。

 カタログが見本品見ながら「今年はどれにしようかしら」と、キャッキャウフフしている。華やかで良き!

 手作りか、既製品か。はたまた特注品か。相変わらず金に物を言わせるのが、この学園ならではだなあと。

 既製品の場合は、輪っかの結び目に自身の髪の毛を一本結わえつけるのだそうだ。

 お手製は別に髪の毛を結わえなくても良い。

 男の大多数が既製品を申し込む。俺は前世の幼稚園でそれっぽい物をこさえた事があるので、自作を決めた。

 放課後は給品部が混むので、マリオさんが来た直後を狙って、うちのメイドのエマっちに申し込みをお願いしておいた。こういう時にお付きの使用人がいるのは有難い。

 そしてプロムだ。

 折角お誘いいただいても踊れなかったら意味がない。

 お貴族様、特に上位貴族の子女は社交ダンスの心得はある……はず……。

 正直に言おう。俺はダンスがあんまり得意ではない!

 魔法と剣術とか武術系にかまけて、ダンスあんまりしてこなかった。前世もダンス得意じゃなかったし。ジェル姉は、俺が聞かせていたお伽噺の影響でちゃんとダンス修行していた。

 俺は、ゲームに社交ダンスがあるなんて知らなかったんや。

 プロム前の断罪式。ドレス姿のジェルトリュードが、同級生虐めた事を理由に王子様から婚約破棄され、逆ギレして会場から出ていくシーンしか見てなかったから。

 頭抱えてたら、三学期に週一でダンスの講習会があると知りほっとした。

 男女別の授業なので、一年生の男子だけ集められる。

 ダンスのおばちゃん先生と、有志で参加している三年の女子学生数名が相手だ。

 ランカ先輩とか素敵なお姉さまばかり。

 綺麗なお姉さんは好きですか?

 はい、大スキです!

 そんなウッキウキの俺と対称的にやる気のない学生がいた。

 オタク三銃士だ。特に鼻眼鏡。

「プロムでは、誰も誘わないし、誰とも踊るつもりはないから、講習会を免除してくれ」と、申し出たらしい。

「この学園を卒業すれば、社交界に出席する可能性もある。そういう時の為にきちんと参加する事」と、メガネ先生らから注意を受けたとか。

 なんで俺が知ってるかというと、奴らの近くの席にいた時、三人でグチグチ言ってたのを聞いたからだ。

 三年生の熊ゴリラ先輩らの言う「壁ススキ」に自らなりにいく気満々というのも、どうかと思った。

 絶対ピンクちゃんと踊って、フラグを立てておかないと、俺の命がやばい!

 俺は必死だ。でも、そんなにダンス得意じゃないんだよなー。

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