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第102話「冬休みの短期特訓」

 魔法訓練場で夏の続きをしたり、勤労学生と職員達がコロシアムの掃除をしていたので、砂ぼこりを集める作業を魔法で手伝ったりと、普段やらない事をしてた。

 強化用の泥玉をいっぱいこさえたかったが、冬場は寒い。十度下回る外園で泥遊びはさすがに出来んわと、“泥の傀儡”の応用で卵サイズの泥玉をいっぱいこさえて、内園や外園の色々な所に隠して置いた。

 さて、おひぃさんがそろそろ寮から出てくるだろうと思ってたある日の午後。

 剣術の自主練して食堂に行くと、彼女は親戚の迎えの馬車が来たので王都に行ってしまったとピンクちゃんから聞かされた。「冬休み明け迄には戻って来ます」と、言っていたらしい。

 今、学園に居るのゲームキャラだと俺とジェル姉、主人公のパトリシア嬢の三人だ。

 ゲームではどうなっていたのだろうか……。情報が全くないからわからん。

 翌日。朝九時過ぎから一時間くらい魔法の特訓を一人で行った後、体力強化のランニング。内園を取り囲む円路を時計回りに走る。

 二周目に差し掛かる頃。

 魔法訓練場に女子二人。ピンクの髪と薄紫の髪。パトリシア嬢とジェルトリュードだ。体操服の上に魔法防御用の黒い外套を羽織っている。

 脇に立っている三メートルある土人形はジェル姉がこさえた物だろう。

 グワッと両腕を上げる土の巨人。

 ピンクちゃんがジェル姉から少し離れ、土人形に何かを投げつけた。

 光を放つ白っぽい帯。帯の先端人形の後ろにまわり弧を描くと、でかい胴体の上半身にたすき掛けみたいに巻き付いた。

 何故か巨大の胸の辺りで交差した所から光の帯が、パトリシア嬢の手に伸びていた。

 光の帯の主は、うんしょうんしょと綱引きの綱の様に帯を引く。

 ズズっ、ズズっ

 土の巨体が少し動いた。

「えっ!?」

 大きな土人形は、創造主が莫大な魔力で動かしているにもかかわらず、帯主に引っ張られ微妙に前移動した。

 ジェル姉がはしゃいでいる。

 姉御はピンクちゃんと一緒になって帯を引っ張った。

 ズズズっ ズズズっ

「ほらね、動くでしょ」と言ったのか、二人は手を叩きあっていた。

「それが“光の絹紐”か!」

 俺の声に二人が振り向いた。

「そうですよー」

 パトリシア嬢が俺に手を振ってくれた。

 ランニング三周目に差し掛かった時には、巨大な土人形は跡形もなくなっていた。

 地面から放たれる無数の“泥の弾”を、ピンクちゃんが光の帯を振り回しぺしぺしと打ち落としていた。

 光というキラキラしてる存在で、何かを拘束したり跳ね除けたりするのは変な話だ。

「光とは、波であり粒子でもある」

 前世で聞いた話。

 あの帯は光の粒子の集まりなのだ。

 それならいけるいける。

 仕組みはわからんが。

 ランニングも飽きたので、二人合流。

 “泥の傀儡”で土の動物こさえて動かして見せた。

「人型以外も出来るんですね」

「イメージさえあれば」

「野盗なんかを土のお馬に閉じ込めて憲兵さんに引き渡すとか楽しいわよ。お顔だけお馬さんの首から出した悪党が喚きながら命乞いするの。その時の悪党の様子がとっても面白いの!」

 にっこにこの我が姉ジェルトリュード。

「はっ、はあ……」

 パトリシア嬢が顔引きつらせてドン引きしてる。

 やはりうちの姉御。悪役令嬢の片鱗があるらしい……。

 大丈夫だろうか……。

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