表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

285/295

番外編1 なんやかんやで幸せです!

「クソッ……! 元公安部隊で現警察騎士刑事部隊隊長であるこの俺――シドウ・ハーキュリーズが、潜入捜査中に捕まるなんて……!」




警察騎士の制服を着たままベッドに手錠で繋がれている俺は、やけに豪華な部屋にいた。



何でこんなことになっているかというと、とある悪徳商会の会長が脱税した金を反王国過激派組織に流していると情報を受けたので、商会にバイトとして潜り込んだあと、警察騎士として奴らを一網打尽にする予定だったのだ。

当然、今身に纏っているのは警察騎士の誇り高き制服である。


だが、警察騎士の誇り高き制服に泥を塗るような状況に今の俺は陥っていた。




「随分趣味の悪ィこった。こんな悪人面のデケェ男をベッドに括り付けて、どうする気だってんだ」




ベッドの柵に手錠で固定された両腕を動かし、何とか外せないかと試す。


だが、手錠の鎖がチャリチャリ言うだけで、何の成果も得られない。


どうしたものか……と悩んでいる、そんな時である。




「……クククッ……警察騎士のシドウ・ハーキュリーズ……」


「!? 貴様はッ!!!」




奥の方から、コツンコツンと靴音を立てて何者かが近付いて来た。


白くて長いウサギのような付け耳をふよふよと揺らし、ハイヒールの足音をコツンコツンと立てて近寄って来る小柄な白いバニーガールは、子犬の耳のような髪型が可愛い……じゃなくて特徴的な、我々警察騎士の敵だった。




「貴様は!! メスガキ商会のプロメ・ナルテックスッッッ!!!!!」


「せやぁ。シドウさぁん♡ ……私らの商売を嗅ぎ回るサツの犬っころを、やぁっと捕まえた思たら……なんや、こんなドスケベなエエ男やったんかいな」




白いバニー姿のプロメ・ナルテックスは、小生意気なメスガキ全開の顔で舌舐めずりをしたあと、俺が手錠で繋がれたベッドに四つん這いで乗り上がってきた。


胸元の緩い白いバニー姿で四つん這いになったら視界が色々と最高……じゃない!!!


舌舐めずりをしながら相手を『わからせ』ようとする挑戦的な顔が可愛い……じゃなくて、これから起こることを想像させ、俺は最高……じゃなくて警察騎士の誇りを汚されたように最悪の気分となる。




「貴様……俺に何をする気だ! 俺は誇り高き警察騎士だ! どんな屈辱を受けても屈しない!!」


「あらあらカッコええこと。誇り高き警察騎士サマやもんねぇ」


「そうだ。それに俺は警察騎士局長のカス……じゃねえやヘンリエッタ殿を愛している! 真実の愛は汚されはしない!!」


「真実の愛!! そら素敵やねぇ♡ でも、そんな真実の愛をぶち壊して『プロメ、もっとぉ♡』って鳴かせるのが好きやねん、私」


「それは最高だ……じゃなくて、なんて下劣で醜悪なんだ!! このケダモノがっ……!? なにを、……ひぅっ!」




プロメは俺の警察騎士の上着に手を滑り込ませ、鎖骨から胸を撫で回しながら、頬をべろりと舐めて来たではないか。


最高過ぎる生まれてきて良かった……じゃなくてヘンリエッタ殿への真実の愛を汚さんとする舌の感触に嫌悪感を抱く。




「てめっ……プロメ・ナルテックス……ッ! こんな、ぁ、っ……ことしても……っ! 俺は屈しない……ッ! んっ、警察騎士の誇りも真実の愛も、お前に汚されて溜まるものかッ!」


「随分威勢のエエ王子様やねえ……。でも、その威勢もここまでやぁ♡ 女に好き放題ペロペロされる男の悦び……たっっっぷり教えたるさかい……エエ声聞かせてえや、シドウさぁん♡」


「ああ!! よろしく頼む!! 楽しみだ!! ……じゃなくて! 俺は屈しない!! 誇り高き警察騎士の名にかけて!! 俺は屈しないからな!!」




◇◇◇




「……ごめんプロメ……秒で屈したわ……歴代最高で早かったな……後で下着洗ってくる」


「いえいえとんでもない! また一線を超える楽しみが増したというものです! だからぁ♡ ……第二ラウンドとして今度はメスガキ会長のペットにされたシドウさんが、お風呂でペロペロされまくるシチュエーションで試してみますか♡」


「最高だなプロメ!! ぜひよろしく頼む!!」




私の提案に、シドウさんは親指を立てて賛成してくださいました。


そして、手錠を軽く引き千切ったあと、起き上がってから「プロメの白バニー……最高だよ」と私の頬を撫でて褒めてくださったのです!


ああ! シドウさんに褒めて頂けるなんてなんたる幸せ!! 幸せ過ぎてシドウさんの周りをポメラニアンのようにくるくる周りたいところです!!!



そしてシドウさんを好き放題ペロペロ……と言いたいところでしたが、それよりもまずはシドウさんにお聞きしなければならないことがありました。




「それにしてもシドウさん。今回の『不屈の警察騎士は悪徳メスガキ商会長にペロペロされる〜潜入捜査がバレた強面美形警察騎士は、メスガキ会長のねっとりペロペロに襲われ嫌なのに感じて絶頂地獄〜』ってシチュエーションですけど、これシドウさん的に大丈夫でした? 途中でお嫌になったりしてません? 遠慮無く仰ってくださいね……?」




私とシドウさんが今いるこの豪華な部屋――ナルテックス鉄工の金の力で宿泊している極上ホテルのスイートルームにて、私達は一線を超えるため特殊なシチュエーションを設定したコスプレペロペロに挑んでいました。


その際、シドウさんからの『あ、そうだ! 俺が誇り高き不屈の警察騎士を演じりゃ、ちったあプロメに敗北するの耐えられるんじゃねェのか?』と言うご提案を元に、悪徳商会長を演じる私が潜入捜査中のシドウさんを捕まえてペロペロすると言うシチュエーションを思い付いたわけですが……。



シチュエーション的に同意と愛の無いペロペロですし、私は興奮しましたがシドウさんはお辛くないかなあと心配になったのです。




「シドウさん、いかがでした?」


「最高だったよプロメ。『プロメに襲われて無茶苦茶ペロペロされる』って言う夢が叶って、生まれてきて良かったって思ったよ。ちなみに警察騎士の誇りは秒で捨てた」




シドウさんは親指を立てて笑っておられます。輝くような良い笑顔です!


良かった〜!! 

シドウさんにお喜び頂けたのなら本望です!! 


私は嬉しくなって「シドウさぁぁあ〜ん♡ シドウさんが幸せなら私も幸せですぅ〜♡ きゃぅう〜ん♡ くぅ〜んくぅ〜ん♡」と飛びつきました。



シドウさんは飛び付いた私をしっかり抱きとめながら



「そういやプロメは俺にして欲しいシチュエーションとかあるか? いつもプロメが夢を叶えてくれるばかりだからさ。俺もプロメの喜ぶことがしたいんだ」



と優しく微笑まれながら頭を撫でてくださいます。


ああああ〜〜〜!!! このとろんとした赤い目がドスケベでペロペロですねぇ〜〜!!キリッとした目元にある泣きボクロがまたペロペロですね〜〜!!




「そ、それなら私……エルキュールの格好したシドウさんに『プロメ、今日からお前は俺のモンだ』と襲われ、湿度の高い独占欲と執着愛に溺れながら隅々まで家宅捜索ペロペロされたいですぅ〜♡」




私がシドウさんをわからせペロペロするのも最高ですが、私もシドウさんにわからせペロペロされたいと言うのがロマンチックな乙女心というものですから♡




「さあシドウさん! 私にわからせペロペロをお願いします!! さあ!! さあ!!」




私はベッドに寝転び撫でられ待ちのポメラニアンのようにお腹を見せて「くぅ〜んくぅ〜ん♡」と鳴きました。



……けれど。




「プロメ……すまねえ……」




シドウさんは悲しそうな顔をされています。




「俺、可哀想なのは抜けねェんだ……」




◇◇◇




「可哀想なのは抜けないツンデレ美少女みたいなシドウさんのご趣味を失念するなど、このプロメ……一生の不覚です……ッ!!」




翌日。


あの後なんやかんやでイチャラブペロペロをしたあと、シドウさんが『ざぁこざぁこ♡』になってしまいまた一線を越えられませんでしたが、それでもシドウさんに抱きついて色っぽい首元に顔を埋めながら眠れたのは最高でした。



そして、朝を迎えた私達は一旦シドウさんのご自宅に戻り、身支度を整えてお仕事先のフォティオン城下町前派出所に向かったのです。


私はいつもの白いドレスを着て、シドウさんはいつもの警察騎士の制服をお召になっています。


シドウさんは何を着ても鬼カッコいいですが、やはり警察騎士の制服が一番最高にペロペロですね。



私とシドウさんは二人して、夏の城下町を歩いておりました。


地熱が盛んなフォティオン王国は、夏になると地獄のようにクソ暑くなってしまいます。


私の一張羅である丈が短いホルターネックの白いワンピースは、意外と通気性が高いので暑さには強いのが救いですね。


でも。




「シドウさん、大丈夫ですか? シドウさんはただでさえ体温が高めなのに、このクソ暑い中警察騎士の黒い制服だなんて、こんなん着るパワハラちゃいますか?」




隣を歩くシドウさんを見上げると、暑さのせいで惚けたような表情に汗を浮かべ、鋭い赤い目をとろんとさせておりました。


⋯⋯今のシドウさんはまるで、イチャペロ中のドスケベ極まった時のような顔をしています。

最高です。夏って最高だなって思いました。




「確かに、この制服は夏だとしんどいからなあ。⋯⋯あのカス上司に夏服作れって頼んでみるか⋯⋯」




最早ヘンリエッタ様の名前すら呼ばなくなったシドウさんは


「先輩達はこの暑さであんな暑苦しい服着て平気なんかな」


と呟きました。




「そうですねえ⋯⋯リヒトさんは猛暑の擬人化みたいな人ですからアレですけど、ロマンさんって大丈夫なんですかね?」


「だよなあ。ロマン先輩、マジで夏が本格化したら溶けるんちゃうか⋯⋯って、あ⋯⋯プロメの炭鉱訛りが移っちまったな」




シドウさんは照れたように微笑みました。


ペロペロしたいと強く思いました。


私はシドウさんの炭鉱訛りに自分の頭が猛暑になるのを感じながら、『訛りが移るくらいずっと一緒にいるもんなあ』と彼と出会ってから今に至るまでを思い出したのです。



まるでロマンス物語の冒頭のように婚約破棄されたと思ったら、突然発生した火災事件の犯人としてパクられてしまい、そこでシドウさんと出会って。


シドウさんと一緒に事件を解決したかと思えば、今度は因習村みたいなテーマパークの謎を解いて。


やっとラブコメ展開が来るかと思えば、なんと国が経済崩壊しぶっ壊れ、国を護る警察騎士がグッチャぐちゃになったり。



思い返すと無茶苦茶な事ばかりが起こっていました。



私はもっとシドウさんと溺愛系恋愛物語のような甘い日々を送りたかったのですが、なんでこんな事になったのでしょう。



でも、全てを終えて平和になった今。


もう私のペロペロを邪魔するミステリもどきのクソ展開は起こらないでしょう。


これからは、私がシドウさんに溺愛されつつ、シドウさんをペロペロする王道のロマンス展開ばかりが起きるはずです。



私はシドウさんのしなやかで綺麗な筋肉が付いた片腕に抱きつき、シドウさんが『上品で奥ゆかしくて健気で最高だ』と言ってくれたささやかな乳を押し付けました。

全ては途中でざぁこざぁこ♡になってしまうシドウさんに慣れてもらうためです。


シドウさんは相変わらず初心な乙女のように体をビクッとさせますが、



「⋯⋯も、もっとこう⋯⋯ギュッと来てくれても⋯⋯構わねェけど⋯⋯?」



と恥じらいながらツンデレ台詞を仰いました。


さすが、可哀想なのは抜けないツンデレ美少女みたいなシドウさんですね!











番外編スタートです!良かったらブクマと★★★★★とべた褒めレビューよろしくお願いいたします~!

꒰ ՞•ﻌ•՞ ꒱

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
きゃああああ!!! 久方ぶりにめちゃめちゃ萌え転がりました!!! やっぱりシドウとプロメの性欲で繋がってる会話はほんっとうに最高!!! めっちゃありがとうございますっ!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ