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24・シドウさんの悪夢

ついについに来てしまいましたよ連れ込み宿!!!!

これはもうアレですよね!!! 私の『最低過ぎるきったねえ作戦』が火を吹きますよお!!



シドウさんをヘンリエッタ様から奪う絶好の機会やでえ!!!


……いや、正確にはシドウさんとヘンリエッタ様はまだ何もなってないのですが、ですが、そんなん時間の問題だと思います。



私は自分の強欲さと傲慢さから目を逸らしつつ、風呂からあがり、鏡を見ながら片手に持った電熱の温風機で髪を乾かしました。


鏡に映る自分の焼け野原のような胸元を見て、ヘンリエッタ様を思い出します。

……あの人、エエ乳してはったなあ……と。





「……」





緩んだローブの左の胸元へ左手を添え念じると、手の甲と同じ炎の加護人の印が浮かんで来ました。


この部分に加護人の印が浮かぶというのは、加護人の騎士を所有する加護人の証です。


なので、私が加護人の浮かび上がらせた時は、シドウさんにも同じ加護人の印が浮かんでしまうのです。


シドウさんにもこの部分に私と同じ印が浮かぶというのは、文字通り私とシドウさんの命が繋がってしまったということ。



シドウさんをこんな理不尽な存在にしてしまった申し訳無さは死ぬほどあるのに、それでもシドウさんの恋路を応援出来ない私は恩知らずのクソ女ですね。



鏡に映る私は、さっきシドウさんが図書館で借りてた恋愛漫画に出てくる悪役のクソ女と同じことをしているのです。


両片思いのヒロインとヒーローを引き裂くために、ヒーローの腕に所構わず抱きついたりベタベタと甘い言葉を吐きまくる、迷惑な悪役クソ令嬢。


しかも、この悪役クソ令嬢は頭空っぽの恋愛脳で我儘で卑劣な性格をしています。

それに、甘ったれたガキ臭えツラと頭空っぽそうな金髪をしており、ぶりっ子まる出しな白いドレスを着ているのです。


そもそも、金髪に白いドレスって白黒で表現する漫画世界をなんだと思っているのでしょうか。

黒ベタもトーンも貼れないキャラデザで、漫画家様も苦労されたことでしょう。


私も、この悪役クソ女のように断罪されるのでしょうか。

……それでも、私は後悔しません。

シドウさんを好きなまま断罪されるなんて本望ですから。


父がシドウさんの仲間を死なせたという事実から目を逸らしつつ、私は「今夜でキメたるからな……。ムーンライトでノクターンな夜にしたるわ……」と覚悟をキメ、髪を乾かしました。


そんな時です。



寝室からシドウさんの悲鳴が聞こえました。





◇◇◇






急いで寝室に戻ると、ソファーで寝ているシドウさんは今にも死にそうなほど苦しげにうなされていました。





「シドウさん!! 起きてください!! どうされたんです!!」


「……ッ!? は、あ……はっ、は……」





私にゆすり起こされたシドウさんは飛び起き、息を嫌な速度で吸っています。まるで、体が無理矢理空気を取り込もうとしているような。





「シドウさん……? どうされました……?」





顔色を無くし怯えたように目を見開くシドウさんは、荒く異様な呼吸をしています。

お顔から垂れる汗が、シドウさんの身に起こった深刻さを物語っていました。


私は取り敢えず、寝間着のローブの袖でシドウさんの汗を拭って差し上げました。


すると、シドウさんはまるで溺れた人が浮き輪にしがみつくようにして、私にしがみつきました。





「むぎゃっ」





密着したシドウさんの胸から伝わる心臓の鼓動が異様に早く、この症状は過呼吸ではと気付きます。



学生時代、花嫁修業の一環でジル先生から、過呼吸という心身に酷い負荷がかかり呼吸がおかしくなってしまう症状を習いました。

そして、対処法はとにかく相手を落ち着けること、相手の気を逸らすこと……と教えてくれたのです。



袋を口に当て吐いた息を吸い戻す方法もあるにはあるのですが、時と場合によってはとても危険になるため、使い所が難しいそうです。


それに、今の私はシドウさんにしがみつかれて袋を取ろうにも動けません。


だから、何とかシドウさんの落ち着かせ、気を逸らそうと思いました。





「シドウさん……大丈夫ですよ。……大丈夫」





ジル先生に習った通り、早くなった呼吸を落ち着けるためにシドウさんの背中をゆっくりと押しながら、私はゆっくりした速度で話を続けます。





「シドウさん、さっき借りられた漫画、読まれましたか? ……私、シドウさんに会うまでは、ヒロインとヒーローを引き裂こうとする悪役の女が大嫌いだったんです。……でも、今は嫌いになれないんですよねえ」





全く関係無い話をしながら、私はゆっくりと呼吸をします。息を吸って、息を吐いてをゆったりと繰り返し、シドウさんの呼吸が落ち着くよう注意を払いました。





「この悪役の女はきっと、ヒーローのことが大好き過ぎたんでしょうね。やった事は最悪ですけど、でも……大好きだったんでしょうね。……そんな彼女を、私は……断罪されてざまぁされろ、なんて、思えなくなりましたよ。……だって、私も似たようなもんだから」





シドウさんの呼吸はだんだんと落ち着いていきます。

私はシドウさんの背中を押しつつ、ゆったりと話し続けました。





「ねえシドウさん。こうやって、人は大人になるのでしょうか。……生きていくうちに色々経験して、自分のアカン部分を思い知らされて。時には、正義の主人公より悪役キャラに感情移入しちゃったりして。……そうやって、清濁併せ飲みながら生きていくんでしょうね。……どう思いますか?シドウさん」


「…………はっ、……ぁ、…………そ、そうだな……。とりあえ、ず……………俺は、……名前の無い……ただの、悪役だな」





シドウさんは返事ができるくらい落ち着いたようです。伝わる心臓の鼓動も落ち着きを取り戻したようで、とても安心しました。



しかし、シドウさんは私にしがみついたままです。

そりゃそうだろうと思います。


ジル先生は言ってました。『過呼吸を起こした人は、急に襲い来る苦しさに自分が死ぬのではと恐怖してしまいます。だから、呼吸が落ち着いてもずっと傍にいることが大事です』と。


だから、私もシドウさんが落ち着くのを待とうと思いました。





「シドウさん、こういうこと、よくあるんですか? ……まあ、でも……もしお嫌でしたら、お話してくださらなくても……大丈夫ですから」





シドウさんは今は資料室の整理係ですが、元公安部隊にいた警察騎士です。一般市民の私に話せない事もあるでしょう。


ですが、少しでも話せることがあるのなら、どうかその重荷を私にも持たせて欲しいのです。



お願いします。シドウさん。





「…………仲間が、先輩達が、眼の前で焼け死んだ」


「!」





私は呼吸ができなくなりました。


私にしがみつくシドウさんの手が震えています。





「俺は、部隊の中じゃ最年少の下っ端で、一番後ろにいたから。…………眼の前で爆発が起こって、ふっ飛ばされて、先輩を助けようとしたら、『逃げろ』って言われた。先輩の体の上には、瓦礫が落ちてて……。俺は……俺は……っ、ぅ……ぐ、……ぅぇ」





シドウさんが苦しそうに呻き、私を突き離しました。

そして、手で口元を抑えて青ざめています。



私はゴミ箱を探しますが、残念ながらゴミ箱が見つかりませんでした。もう清掃の方が入られたのでしょうか。


そうなったら後は……。





「シドウさん、私の寝間着に吐いちゃってください」





私は寝間着のローブの裾を持ち、シドウさんに差し出しました。

幸いここは連れ込み宿です。多少の事情はわかってくださるでしょう。



シドウさんは涙目で嫌嫌と首を横に振りますが、ついに堪えきれなくなったのでしょう。

私が広げた寝間着の裾に戻されてしまいました。


苦しそうに嘔吐するシドウさんの背中をさすってあげたいですが、今は寝間着の裾を広げているためそれができません。





「シドウさん、大丈夫ですか?」


「……はっ、ぁ、あ……ッ゙、あ」





戻し終わったシドウさんは、苦しそうに息をしています。

ですが、さっきのような過呼吸は起こりそうにないので安心しました。



私は取り敢えず、寝間着を何とかするためお手洗いに行き、そこで嘔吐されたものを流したあと、風呂場でローブを洗い流しました。


幸い、替えの服は腐る程あります。ここが連れ込み宿で助かりましたね。





◇◇◇





私は裾は短くとも一番寝やすそうなゆったりした服に着替え、飲み物の貯蔵庫から水の瓶を取り出し、備え付けのコップとともにソファーに座るシドウさんに差し出しました。





「シドウさん、水、いけますか?」


「……ああ。……ありがとう」





水を飲まれるシドウさんのご様子には、いつもの迫力はありません。しかし、呼吸が落ち着いているのが何よりも安心できます。





「……悪かった……本当に」


「いいえ。とんでもない。……良かったですよ、落ち着かれたようで」





シドウさんは手に持つコップの水に視線を落としており、私の方は見てくれません。





「……もう、大丈夫だと思ったんだ」


「……」





シドウさんは疲れて掠れたような声で話し始めました。





「コーカサス炭鉱爆破事故のあと、薬が無いと寝られなくなった」





覚めない悪夢に取り憑かれてるみたいな顔をするシドウさんの目には、光がありません。





「……薬が無いと、眠りが浅くて。……今みたいに、うなされて、飛び起きて、息が出来なくなって、酷いときはそのまま吐くんだ」





何も言えない。言葉が見つからない。


ただわかるのは、父が起こしたコーカサス炭鉱爆破事故によって、シドウさんの心が壊れたということだけ。





「シドウさん……ごめんなさい。私、何も気付けなくて」





私はシドウさんにしがみついた。


この人は、こんなボロボロの身で私を守ってくれたのだ。私に命を握られる加護人の騎士にまでなってくれたのだ。


シドウさんの心を破壊した犯人のガキである私を、シドウさんは命がけで守ってくれたのだ。





「私……シドウさんにここまでしてもらって、金以外に何を返したら良いんでしょうか……?」





この人は優しい。

哀しくなるほど優しい。


暖かい環境で育って周囲から愛されて、真っ直ぐな正義感と優しさを持った、素晴らしい人だ。


だから、困ってる人を見たら助けようとしてくれるのだ。


例え自分がボロボロに傷付いていようと、眼の前で苦しむ人がいたら、命をかけて守ろうとしてくれる。


それが例え、仲間を殺し自分の心も破壊した事故の犯人の娘であっても、だ。



この人に、私はどう報いたらいい。

金以外で報いる方法なんて、私には知らない。





「シドウさん……私に、出来ることはありませんか? ……お願いします。……何でも仰ってください」





この人の力になりたい。

私に出来ることなら何でもしたい。心の底からそう思う。


シドウさんの両腕を掴んで顔を見上げると、鋭い赤い目は躊躇うように私から視線を逸らした。

涙に濡れた赤いまつ毛が震えている。





「それじゃ……その。今日は……一緒に会話を……して欲しい」


「お話、ですか? そ、そんなんで良いんですか? ナルテックス鉄工の鉱山とか実家の蔵にある美術品とか、他にも色々とありますよ……?」


「プロメが良いんだ。……あ、いや、違う。……あの、物みたいに言ったわけじゃなくて……。ただ、プロメと会話が出来れば、気も紛れるから」

 



シドウさんは深呼吸をされたあと、優しい笑顔を浮かべて私を見つめます。


精悍で涼し気な強面で優しい表情をすると、穏やかながらも少し色っぽさもあり、私はぼけーっと見惚れてしまいました。





「ほんま、男前やねえ」




思わず本音が漏れてしまいました。


しかも、ベッタベタの炭鉱訛りです。

やべっ、いきなり豪速球投げちゃった、どうしよこれ。


私は不意に出た本音が恥ずかしくなりましたが、シドウさんが男前なのは事実なので照れる必要は無い! と気合いを入れ直しました。





「シドウさんは、私が見てきた男の中で一番カッコいいです。……見た目も、性格も、なんもかんも」




このカッコいい人が、私のことを好きになってくれたら良いのになあ。



そんなことを思いながら、私はベッドに寝転んで



「ほら、シドウさん! こうなったら夜通しお話しましょ! 炭鉱モンの話し好きっぷりを味合わせて差し上げますからね! 今夜は寝かせませんよ……!」



と隣をポンポン叩きました。



すると、シドウさんは顔を真っ赤にしながら必死に深呼吸を繰り返したあと、



「よ、よろしく頼む……」



とぎこちない動きで私の隣に寝転ばれました。


シドウさんが寝転んだ拍子に、連れ込み宿の寝間着のローブが緩んで、引き締まっていながらも艶っぽい首筋から鎖骨と胸元が見えてしまい、私は『そ、そういやここ……連れ込み宿やったなあ』とここが淫靡な場所であることを意識してしまいます。


そうすると途端に慌ててしまい、何を話したら良いのかわからなくなってしまいました。


あれだけノクターンでムーンライトにしてやると勇み足だったのに、いざ本番みたいな雰囲気になると、私は急にビビってしまい



「あ、……えっと……な、なんか……聞きたいこととか……ありまっか? へへ……っ」



と炭鉱訛りでお茶を濁してしまいます。



すると、シドウさんは「あの……それじゃ……えっと」と色っぽく切なげな赤面顔で迷われたあと、



「さっきの、もう一回……言ってくれよ」



と仰いました。





「え? さっきの……ですか?」


「ん。……ほら、あの……男前……とか、カッコいい……ってやつ」


「あ、ああ。……そ、そうですか」




至近距離で見るシドウさんの赤面顔をじっと見つめ、バクつく心臓の音を聞きながら、私は



「シドウさん、貴方はほんとカッコいいですから。……だから、きっと大丈夫。……壁ドンでも一発すりゃあ、ヘンリエッタ様もすぐに惚れちゃいますよ」



とシドウさんの恋路を応援しました。


本当はシドウさんを奪いたいくらい愛しておりますが、今夜は私の我儘を出してシドウさんを振り回すより、お疲れのシドウさんに元気になってもらいたかったのです。



すると、シドウさんは



「プロメは? 惚れてくれるのか?」



と切なそうな顔で聞いてこられました。



はて、何でここで私が出て来るのか?


最初に『ヘンリエッタ殿を愛している』と仰ったのに。


……でもまあ、会話の広がりなんて適当なもんで良いすよね。





「ええ。私も惚れちゃいますよ。シドウさんは誰よりもカッコいいから」


「……ぁ、ありがとう」





私の言葉に、シドウさんは照れたように微笑まれます。

シドウさんに笑顔が戻って良かったなあと安心しました。





「プロメも」


「え?」





急に名前を呼ばれ、私は驚きました。


私の名を口にしたシドウさんは、凛々しい眉を下げて切なげに笑いながら



「プロメも、綺麗だ」



と仰いま……ぇ、え? え!?


わ、私を綺麗ってシドウさん言うたよな……?

ほ、ほんま? ほんまに? シドウさんから見て、私、綺麗なんか?



突然ド直球に褒められてしまい、私は口を開いたまま固まってしまいました。


頬が熱いです。心臓がうるさいです。どうしたらええんですか。



わけわからんくなった私に、シドウさんは優しい笑顔を浮かべて言葉を続けました。





「プロメは綺麗だよ」


「は、ぇ……え、シドウさん、あの、えっと」 


「……さっきは本当にありがとうな。……俺が目の前で過呼吸起こして吐いても、嫌な顔一つしないで面倒見てくれて。……性根が綺麗なんだよ、プロメは」


「あ、ああ……性根っすか。あはは、おおおきに……ははっ……」




性根が綺麗と褒めてくださったのですね。


褒めて下さったシドウさんには大変申し分け無いですが、少ししょんぼりしてしまいました。


そりゃ、恋愛物語に出て来る超美人のヒロインなら、愛するヒーローに『心が綺麗だ』と言われりゃ外見を褒められるより嬉しいと思います。



でも、身内以外からはボロクソに言われてきた私は、内面より外見が褒められた方が嬉しいかなとか、そんな失礼なことを考えてしまいました。


こんな私の性根って綺麗なんでしょうか。


っていけないいけない!


シドウさんがせっかく褒めて下さったのに、こんなしょっぱい事を思うなんてそんな





「それに、プロメは美人だよ。誰よりも」


「ぇ」




シドウさんは頬を赤くした真剣な表情で仰いました。


びじん? この人、今、びじん……言うたん?


私の聞き間違いかな? あれ? あれれ?


呼吸が上手く出来ず、小さな声で「ぁ」とか「ぇ」しか言えない私へ、シドウさんは



「プロメは性根が綺麗で、そして誰よりも美人だ。……それを、忘れないでくれ」



と言ってくださいます。



忘れるわけないやろ。こんな夜。


惚れた男とベッドに寝転んで、『性根が綺麗で誰よりも美人だよ』なんて言われて。


茹で上がる頭はどんどんアホになり、私は『シドウさん、大好き』と言いそうになりました。


でも、シドウさんはキチンと初対面で『俺はヘンリエッタ殿を愛してて、正反対の貴女は好きでもなんでもない』と仰いましたし、私が『大好き』と口を滑らせても『ごめんな』とお答えされたのです。



それに、ヘンリエッタ様は国一番の美女です。


そんな方を愛しておられるシドウさんが、私のことを『誰よりも美人』と言った。


これはつまり、シドウさんは私を気遣って下さったのでしょう。


きっと、私が『性根が綺麗』と言われ、残念そうな顔でもしてしまったから、シドウさんが気を利かせてくれたのでしょうね。


お優しいなあ。


この人こそ、性根が誰よりも綺麗だ。


素直にそう思います。





「……シドウさん、ありがとうございます。……貴方が下さった優しいお言葉。……私、絶対に忘れません」




私はしっかりとお答えしました。


そんな私へ、シドウさんは少し悲しそうな顔で笑い



「ああ……頼む。俺のこと、忘れないでくれ」



と仰ったのです。


その後、私達は寝落ちするまで世間話をしました。


シドウさんの鼻にかかった独特の響きのある甘く低い声が心地良い、そんな夜でした。





◇◇◇





「プロメ。ほんとに……誰よりも美人だ」




寝落ちしてしまったプロメの可愛い寝顔を見ながら、俺は素直にそう言った。


一年前に一目惚れしてからずっと、プロメ以上の美人を見たことなんか無かったから。


 



「綺麗だよ、プロメ」




柔らかそうな髪を撫でようとして、手を引っ込めた。


プロメからしたら好きでもない相手に髪を触られるなんて、そんなん嫌だろうし。


それに、プロメは秘密と嘘にまみれた俺が触って良い相手じゃない。




「……ずっと、一緒にいれたらいいのにな」




そんな事をぼそりと呟き、プロメの可愛い寝顔を眺めていた。




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