将来、大陸の覇者になるオレ様。
第二話です。
オレ様の神のごとき優秀さは外国へも轟いている。ま、当然だな。
我が国に駐在する諸国の外交官の誰もが、オレ様こそ将来の王だと判っている。
着任の時も、帰任の時もオレ様に挨拶に来る。あの愚鈍な所になど誰もいかない。
当然、本国もそう考えているのだ。
畏れるがいい、そして、息を殺して見ているがいい。
オレ様が王になった暁には、この大陸の勢力図は大幅に塗り替えられるからな。
すでに、隣国である帝国の第四皇子が接触して来ている。
第四皇子は、オレ様の祖父、先代の王の妾腹の娘が、側女として時の皇帝に嫁いで産んだ子供だ。
つまり従兄弟だ。
帝国は優秀なものが帝位を継ぐので、こいつにもチャンスがある。
オレ様ほど優秀でないが、なかなか目先が利くヤツだ。
初めてオレ様と出会った瞬間、誰に従うべきか判ったのだろう。分をわきまえたかわいいやつだ。
先物買いでオレ様はこいつに援助をしてやっている。
そのお陰で、今や第四皇子でありながら、最有力の第二皇子と激しく勢力を競うまでになっているのだ。
オレ様の助力があってこそだ。
オレ様が正式な王太子となり、我が国を思うがままに動かせるようになった暁には、帝国の帝位争いに堂々と介入ししてやる腹づもりだ。出兵も視野にいれている。
万事才能溢れたオレ様は、軍を率いれば名将まちがいなし。戦う前に勝利は約束されている。
第四皇子をオレ様の力で帝位につけてやるのだ。
その見返りに、国境近くの大鉱山を含む豊かな地をもらい受けることになっている。
遠征での輝かしい勝利、我が王国の息のかかった男を帝位につけ、その上、領土も割譲させる……素晴らしい業績だ。
オレ様の王太子としての初仕事にふさわしい。
すでにオレ様の耳には臣下の称賛の声が聞こえている。だが、この程度でオレ様は終わる存在ではない。
帝国を従属国とすれば、大陸統一も見えてくる。
既になしとげたも同然だ。
なぜなら、文武に比類無きオレ様は偉大な覇王になることが約束された存在なのだから!
偉大な覇王には、ふさわしいロイヤルファミリーが必要だ。
もちろん、オレ様に用意されている婚約者は完璧に近い。
女としては優秀で、オレ様以外の人間なら気後れするくらいの美女で才女。
愚鈍なアレなどはあの女の隣にいたら劣等感で発狂するだろう。
だが、たかが女だ。普通の男よりは少し優秀だが、選ばれし男であるオレ様には到底及ばない。
肝心なのは男を喜ばせる体つきをもっているかだ。
気の強そうな顔も、引き締まった腰も、豊かだが上向きの尻も、メスとして極上だ。合格点だ。
だが、致命的なのは胸が貧弱なことだ。小さい上に形が悪い。
いくら女として優秀で才女でも、所詮はメスだ。能力など飾り程度のものだ。
オスに奉仕する以外役に立たないのに、体の形が悪いのは大減点だ。
とはいっても、この地上でオレ様に釣り合う女などいるわけがないし、筆頭侯爵家の娘でもあるから、オレ様の権力基盤の強化に役に立つ。
まぁ、大幅な減点はあっても差し引きゼロくらいか。
形式上まだオレ様の婚約者ではないので、表面上はオレ様に媚びを売ってこないが、オレ様には判っている。
オレ様に気があるのだ。今すぐに抱いて欲しがっているのだ。
今の所、あの愚鈍の婚約者なので、表面上はつれないが……そのつれなさの仮面もいつまでもつやら。
仮面の下では、俺の子種ほしさに体を熱くしているのが丸わかりだ。
メスはみんなそうなのだからな!
だが、下が透けて見えても仮面をかぶっているのは、いい。
その仮面を無理矢理剥がしてやる楽しみがあるからだ。出来るなら初夜まで持ちこたえて欲しい。
だからオレ様は両親に頼んで、あの女の王妃教育に手を加えさせた。
わざと、教えさせていないことがあるのだ。
閨教育だ。
あの生意気なメスが、ベッドの中では無知をさらし、オレ様の思うがままになっていい声で啼くしかないなんて面白いじゃないか。
少しは楽しめるだろう。
ま、所詮はメス。すぐ飽きるだろうが。
オレ様が王になった暁には、国中、いや大陸中を探せば、もっとふさわしい女が得られるだろう。
隣国の王国や帝国を併合すれば、そこの皇族や王族も思うがままだ。
別の大陸に人を遣って探させてもいい。いや、遠征軍で乗り込んで征服してもいい。
そうやって手に入れた中には、オレ様を満足させられる女がいるかもしれない。少なくともあの女より上等なメスが。
そうしたら、何か罪でも被せて始末すればいい。
ベッドの中で優秀なら、後宮の隅の暗がりで生かしておいて、たまに抱いてやってもいい。
オレ様に抱かれるだけでも涙を流して喜ぶだろう。
まだ続きます。