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エクスマキナ・クライシス  作者: 南方カシマ
前日譚
5/12

プロローグ5

更新しました。

 

 クソ!当あたれ!


 マクマードは、内心悪態を付きながらも目の前のSN-1F(レイヴンF)を追従していた。標準を定めすぐに引き金を引くも、銃身がぶれてまともに当たらない。実戦経験が少ない為、戦闘という極限状態で身に起こる異常な緊張と興奮は、慣れていない者であれば判断能力を低下しかねないのだ。 

 

 最後は躍起になってフライトユニットの両脇にに搭載されているミサイルポットを発射した。SN-1F(レイヴンF)は回避行動をとるもそのままミサイルの数に圧倒され爆破した。


 『着弾。撃墜確認』


 「はぁ...はぁ...はぁ...、今ので6機目」

 

 「ノア、敵残存は?」

 

 『レーダーから、SN-1F(レイヴンF)51体、SN-1(レイヴン)61体です』


 戦術強化兵には、一人につき一つ高性能サポートAIが設けられている。ノアに索敵を任せつつ息を整える。

 

 『後方より、熱源接近。IFFに該当あり。エコー2(ライモン)エコー4(アナスタシア)エコー6(リュウ)です。』


 振り向くとそこには、3人の戦術強化兵が向かってきていた。

 見た限り、各部に複数の被弾箇所がある。


 『エコー7、生きてるか』


 「生きてます。なんとか」


 『こっちに、合流しろ。単身では危険だ』

 

 「了解」


 マクマードは、3人の背後についた。


 『前方に複数の熱源を確認。識別反応からしてIA(イクス・アームズ)です』

 

 『確認した。エコー7、遅れるなよ』

 

 「了解」

 

 4人は、そのまま空域に散らばったIA(イクス・アームズ)の迎撃に向かった。


 ライモンはSN-1(レイヴン)を捕捉すると、接近しつつAG5を発砲した。SN-1(レイヴン)もこちらを捕捉したようで、避けられてしまう。また、向こう側の後方から2体のSN-1(レイヴン)が現れた。


 AG5に備え付けられているグレネードランチャーを回避パターンを予測しSN-1(レイヴン)へ向けて発射した。弾丸は、そのまま直撃の軌道に乗るも、SN-1(レイヴン)が即効で右に捻ったことで弾丸は右腕に当たった。


 直前に右腕を切り離したことで直撃を防いだか...


 SN-1(レイヴン)は、残った左腕から高周波ダガーを取り出すと、ライモンに迫りこんだ。瞬間、背後から小柄な人影が見えた。リュウーだ。左手には、高周波ダガーを装備していた。リュウはそのまま、首元に高周波ダガーを突き刺しすとSN-1(レイヴン)は、力尽きたように機能を停止した。


『ナイス』


『いえいえ』


 安心しているのもつかの間に、後ろから2体のSN-1(レイヴン)がAG5を構えつつ、挟み込む形で接近していた。片方が発砲すると、リュウは折り畳み式盾を展開し防いだ。すると、反対方向から来た、SN-1(レイヴン)が爆散した。


凄い!跳弾を利用したのか...


 発砲していたSN-1(レイヴン)は、アナスタシアの高出力大型レールガンで撃墜された。

 

 『警告。複数のIA(イクス・アームズ)が接近中』


レーダーでも確認できた。60体ぐらいだろう。


『了解。確認した。さぁ、お遊戯の時間だ』


 ライモンが敵を陽動し、隙を狙ってアナスタシアとリュウが仕留めにかかる。マクマードは、その3人の援護だ。AG5を構え敵を援護を開始する。


 ...目標をロックして、発射...


 背部高出力レーザー砲とAG5を駆使して敵を、墜としていく。

数が多い分1人で3人の援護は、容易ではない。それでも、ついて行けるのは、3人ののおかげだ。なぜなら、


...練度は他の部隊より群を抜いて高いですね...

 

 『まだまだ!』


 迫る敵は、みるみる3人の餌食になっていく。まるで、3人で一つの生き物のように、動いている。援護しているはずのこちらも必要ないといわんばかりの手際の良さだ。特に、リュウは小柄な体系にもかかわらず、折り畳み式盾の角度をずらし弾丸をそらして敵に充てる芸当をするあたりは本当に20歳と疑うレベルの練度だ。


 『またあの3人だ。これで54機目!』

 『おい、お前ら!こっちもエコーに負けてられないぞ!』


 無線での声からして他の部隊も、士気が高まってきている。

 

 『敵損耗率75%。SN-1(レイヴン)接近中。数は6体です』


 そんな中、上からの砲撃で前方から接近していたレイヴン4機がまとめて爆散した。

 

 『こちらエコー1。4人とも全員生きてるな、よし』

 

 『隊長。今までどこにいたんですか?』


 『フラッド1が集中砲火を浴びていたからな。そっちに取り掛かっていたんだ』


 『まさか一人で?』


 『まあな』


 『死ぬ気ですか!』


 『安心しろ。お前らが束にかかってきても俺には勝てんから』


 『それは、分かってますけど。他の二人、ザナックとガイルはどこです?』


 あたりを見回してもどこにもいない。今呼ばれた二人はエコー隊の隊員である。先ほどまで一緒にいたはずだが、IA(イクス・アームズ)の攻撃ではぐれてしまいレーダーに,も反応なく場所も不明であった。


 『最初の攻撃で、逝ったよ。直撃だった』

 『!?』


 リュウは、仲間の戦死報告に俯く。お調子者二人組だったとはいえ、仲間がいなくなるのは彼女にとって、とても辛いものだ。


 『辛いのはわかる。だが、悲しむのは戦争が終わってからにしろ』


 『了解です』


 『アージー。敵損耗率は?』


 『敵損耗率、90%です。母艦ラビロンより入電。リフト射出1分前、これより入港口ゲートを開港します』


 通信方法が変わった?通常は、オペレーターを通してくるはずだが...


木下はハッとなって、何かに気づいた。


 『クシフォスはどこだ!』


 あたりを見渡してもどこにもいない。普通あの巨体ならすぐ見つかるはずだが。戦闘に集中していて、レーダーにも反応がなかったため気づかなかったのだ。


『各員レーダーを同調させろ。探すんだ!』


 各自それぞれのレーダーを同調することで広域索敵と解析を行った。しかし何度スキャニングするも自分達のレーダーでは発見できなかった。


 『駄目だ、レーダーに反応がない』


 『エコー6。そっちの複合センサーを併用して、見つけられるか?』


 『やってみます』


 アナスタシアは、対ステルス用全方位スキャンを開始した。


 レーダーからは、やけにスキャニングにぶれがある箇所を発見した。

そこに、サポートAIのシスクで詳細解析を行う。


 『見つけました。場所は入港口ゲート付近です。ステルスなので座標を送ります。それと、防衛していた兵士の死亡も確認しました』


 『クソ!急げ!』


 そうして宗一郎が、防衛に向かおうとした次の瞬間、


 『高熱源体接近』


 『!?』


  直上から高熱線が、空中管制艇《フラッド1》を貫通した。


 『離れろ。巻き込まれるぞ』


  損傷部からスパークを発すると空中管制艇《フラッド1》は、大爆発を起こした。宗一郎は爆発の衝撃で退避が間に合わず、巻き込まれてしまった。

 

「ぐっ」


 爆風と爆発時の高熱に耐えるも苦し紛れに声が唸った。すぐさま、スラスターを吹かし、後ろへ下がった。宗一郎は、なんとか爆炎から抜け出すと、レーダーとヘルメットに備わってる対人センサーを使用して、周囲の状況確認を行った。しかし、誰一人反応がなかった。衝撃でレーダーが故障したか?


 『エコー隊、各員応答せよ。リキッド隊、クライム隊応答せよ』


 無線で応答するも返事もない。


 『システム損傷、サブプログラム起動します』


 レーダーが起動した。サブプログラムが起動し損傷した部分を補ってくれたのだ。多少のブレはあるものの各員の場所を割り出すことができた。しかし、リキッド隊とクライム隊は、信号が消えていた。全滅だった。


よしまだ生きてるな...


 『エコー隊、応答せよ』


 『ゴホッゴホッ、エコー2、生きてます』


 『エコー2、状況報告してくれ』


呼吸がしにくい。爆発の影響で、肺から強制的に空気が抜けたのだ。ライモンは、システムチェックをすると、左足のスラスターとメインスラスターの出力が安定しないのを確認した。出力を補うためにフライトユニットで何とかバランスをとる。


 『リアクターが損傷した。出力が上がらない』

 

 『いけるか?』


 『まだ戦えます』


 すると他からも無線がつながった。


 『こちらエコー6、動けます』

 

 『エコー4、健在です。こちらはライフル以外武装をやられました』

 

 よし、後はエコー7(マクマード)だけだ。


 『エコー7、応答せよ』


 『ハァ...ハァ...ハァ...、こちらエコー7』


 『マクマード、大丈夫か?』

 

 『左腕と腹部を損傷しました』

 

 徐々に煙が晴れてきてマクマードの姿が確認できた。しかし、姿はとてもひどいものだった。破片が装甲シェルを突き抜け体に幾つも突き刺さっており、腹部には大きい破片が腹を貫通していた。左腕は、なくなっており、ヘルメットからは装甲越しに血が垂れている。爆発をまともに受けてしまったのだ。幸いリアクターは被害を免れていたので何とか飛行できている。


 宗一郎は彼に一つ問いた。 


 『マクマード行けそうか?』


 『ハァ...ハァ...、覚悟はできています』


 マクマードは、意識が飛びそうになるのをこらえる。


 その声は、出撃前よりも、とても重く強いものだった。


 『わかった。頼むぞ』


 宗一郎はそういうと全員に無線をつないだ。


 『全員わかっていると思うが、俺達はこの作戦で死ぬ。だが、この作戦が人類に対して今後どのような意味を持つのか、それは全員が理解していることだろう。だから俺からは、言えることは一つだ。”最後まで信じて任務を全うせよ”』


 『『『了解』』』


突如、ヘルメットに警告音アラートが鳴り響いた。


『警告。粒子リフトによる高熱源体接近中。総数50体』


 振り向くと、上空から粒子リフトで続々と現れること機影を確認した。SN-1(レイヴン)のような黒い体に、全長20m越えのXN-1H(クシフォス)よりも遥かに大きい体躯、そしてギョロギョロと動く赤いモノアイが恐怖を掻き立てる。


『解析完了。N-10です』


『クソ!サイクロプスだ!』


 サイクロプスは宗一郎達を捕捉するとエレクトロライフル構えた。


 

 

 


 





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