『無人の駅』
その駅には一人の老人と一人の40代の男性が集まる
いつもの光景だ
「お前さんや 今日もちゃんと持ってきたか?」
「はい 持ってきましたよ
いつも通りの100グラムですよ
しかし まだ こんなこと続ける気ですか?
やるなら もっと でっかくやったほうがいいんじゃないんですか?」
「何言ってるんだ
奴らみたいなのはできるだろうが
わしらみたいな
二人しかいない弱小にはこれで十分だよ
まぁ お前さんのおかげでこんな風に稼がせてもらってるんだから
お前さんのやるようにさせてやりたいんだがな・・・・
できるのは一握りしかいないんだよ・・・」
「まぁ そうですね
この特技を持ってるのも一握りですしね」
「あぁ そうだ
だから・・・・
まぁ いい
御託はさておいてさっさとするぞ
ほれ そこには野菜を置いとけ
こういうのはな?
景観が大事なんだ?わかるな?
緑は生えるんだ」
「なるほど 高度なギャグを言いましたね」
「お?・・・まぁ いい
理解はしてるんだろうな?」
「はい あなただってわかってるでしょう?」
「まぁ いい
ほれ お客さんだ
いらっしゃいませ お客さん
何にしますか?
あぁ これですか!
いいですね〜
はい ありがとうございます
次の方〜」
「いやぁ やり手だなぁ」
「ぼさっとしてるんじゃない!
手伝うんだ
今日は一段とお客さんが多いぞ!
新規さんもいるみたいだ
ぼさっとしてると殺されるぞ!」
「はぁ〜い」
田んぼだらけの田舎にはポツンと建っている
廃駅がある
現在は入ってはいけない禁忌の場所として
地域住民には有名だ
通称 無人の駅
強力なヤクによって人格が破壊された
廃人が大量に住んでおり
正常な人間といえば
時折来る組織のものかヤクの売人ぐらいである
組織のものも来れば新しい顧客となるか
殺されるかである
警察も黙認ベースであり都市伝説並みのものである
その駅には人間はいない『無人の駅』である