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魂40◎オンとオフの二面性

 私が小説を書いているということは、私と家族しか知りません。まあ、昔からのヲタ友達は知ってますけど、今はリアルで会う機会も殆どなくオンラインでちょっとずつお話しするくらい。絵が描けるというのもやっぱり秘密。上手いでしょとは言われるのですが(仕事などでポップ制作すれば)、どのくらいの技量かは秘密。もちろん、過去に漫画家を目指していたことも秘密。

 秘密が好きなのです。きっと。

 でもそれ以上に、私は現実の私とオンラインでの私という二面性を持ち続けるのが好き。私がどういう発言をしてどういう作品を書いているのか、家人もそれほど知らない。……読ませたくもないですが。

 二面性を持つことでバランスがとれているのだと思います。私は普段あまり目立たないし、仕事もバリバリこなして成績がいい……ってこともない。普通の会社員。普通のお母さん。忙しいのは育児と仕事の両立のせいに違いないと思われているような存在。誰に憧れられるでもない、コツコツと日々のノルマをこなしていくだけの働き蟻のような。子供がたくさんいるので、とにかく暇はありません。バタバタしてしまうのはいつものこと。だけどその陰で、まさか小説を書いていたり企画を運営していたりなんて、誰も想像できないんだろうなぁと。

 表に出てくるものが全てだと思うのは間違い。誰にだって二面性はあるはずですよね。私は多分、それをオンラインとオフラインで切り替えているのではないかと、最近思うようになってきました。


 大長編のドラえもんが好きなんですよ。その中の、のび太が特に。

 彼は本編中では本当にやる気のない弱っちい小学生なんだけど、大長編になると途端にカッコよくなる。ものすごく惹かれました。のび太なんだけどどこかいつもと違う。あやとりばっかりしかできないと思っていた彼が、実は凄腕ガンマンで、ピンチの時はめちゃくちゃカッコよく見える。最高の設定じゃないですか!

 普段はどんなにかっこ悪くても……というのは言い訳に過ぎませんが、オンとオフのスイッチがどこかにあって、それが何かの切欠で切り替わる。そういうのは意外に重要なんじゃなっかって思うんです。いつでもスイッチ入れっぱなしじゃいつか電池が切れちゃう、ここぞと言うときに電流がビビッと流れるような。理想ですけど。


 普段本当にダメダメ人間な私は、オンラインではカッコよく生きたかったんです。小説バリバリ書いて、企画立案から実行、アフターフォローまで、カッコよくやり遂げて。シャッキリしたカッコイイ『天崎剣』を演じてる。名前負けしてるような気もします。リアルで出会ったら絶対幻滅してしまうくらいギャップがあるし。だけど、私はそうやって自我を保っているんだなと。

 モノカキを止めていた時期がありまして、そのとき私は酷く追い詰められていました。どうやって生きていったらいいのか途方に暮れていた時期です。創作活動なんかしてる場合じゃない、鬱々としていたあの時、私は自我を保つために何をしていたんだろうかと思うとゾッとします。いまでこそ、パソコンや携帯でオンラインの世界へ飛び込めますけど、当時そういうものはなくて、ただ目の前に見えるものだけが現実だったんですよ。

 一年以上絵も描かず小説も書かずにいたのですが、やっぱり寂しかったんですね。パソコン、インターネットに繋ごうってことになって直ぐさまオンラインでの自分の居場所を探していました。私は創作している自分が好きなんだと再認識しながら。

 紆余曲折あり、今はこうやってモノカキエッセイ書いてます。

 相変わらず時間というものはありません。オフラインでは見事にいろんな役目を負わされ、家庭環境が変化し、ただでさえ精神的に辛い状況です。だけど、モノカキを続けなきゃ、多分私はオフラインで募らせた精神的なダメージを発散できない気がするんです。大げさかも知れないけど、多分事実。失敗しすぎたり思うように成績伸びなかったりで凹んだときも、私はその悔しさや空しさを創作に向けて何とか生きています。たまった鬱憤、どこかで晴らさないと苦しいだけですからね。


 まだ若かった頃はそこまで二面性がなかったように思うんですが、最近は顕著です。いい加減年をとってしまったからなのか、それともオフラインでのストレスがそれほど大きいからか不明ですけどね。

 なんと表現したらいいんでしょうか。

 物語を作り上げるのと同じように、私は『物語を書く私』を作り上げる。『物語を書く私』は、普段の私の作り上げた偶像。だけれど、『物語を書く私』は間違いなく私。私は私の作り上げた『物語を書く私』を演じているのです。

 こうやってエッセイを書いているときも、私は『天崎剣』を演じている。本当の私が思ったことを書いているのか、それとも私が作った『天崎剣』の戯れ言なのか。――考えれば考えるほど滑稽に思えますけど、私にとってオンラインで文章を書くというのは、もしかしたらそういうことなのかも知れません。

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