魂31◎集客・宣伝――数字に頼りすぎ?
誰かに読んで貰いたいという欲望があるとします。当然誰しも持っている感情です。でも、思ったほど読んで貰えなくてどうしたらいいんだろうって考えた上でちょっとずれたことをしてしまう。なんてことがあったら、どうします。
例えば、私みたいな無名作者の作品、どうやったら読んで貰えるのか。毎回色々捻ります。
以前はサーチエンジンによく登録してました。細かい作業ですけど。一つずつタグ入れてね。面倒ですけど、更新報告したり。今もやってはいますけど、前より減りました。案外サーチから辿り着いてないみたいなんですよ。そうですよね。考えても見れば、サーチなんて、上から順にポチッとしていくじゃないですか。こまめに更新するか、余程大手のサイトさんじゃないと上位になれないんですよ。要するに、やり過ぎは無駄になる場合が多いということです。
じゃあどうしようか。たくさん読者が集まりそうなサーチいくつかに登録して、あとは例えば交流を増やしてみる。同盟に参加したり、企画に参加したりして自分をまず知って貰うという方法もあります。私はこっちを選んでみました。
自分一人で書き進めるよりも刺激になりますし、締切があればその方が書こうという気が起きますね。そこでしばらく修行して、落ち着いたら次の場所、次の場所と転々としてきました。肌に合う合わないというのもありますから。丁度いいところで身を引くことも大切です。
交流による集客というのにも、ある程度の限界があります。自分の時間や技量を超える集客は見込めないのです。自分はこれくらいがいいんだという位置確認を偶にすることも必要でないかと考えます。有名になりたい、上位にランクインしたい。私だっていつもそう思うけど、でも自分の実力ってそうそう変わらない。書き続けることでしか。
人気が出るのは良いかもしれないけど、それが本当によい作品であるかどうか。
正直票数ポイント数なんて、当てになりません。だって、それって本当にその話が面白いから読んでくれて、それで伸びてる数字なんでしょうか。どこかで晒されたり、もしかしたら何かしらの不正もあるかも知れない。数値だけで判断するのは大変危険なのです。
だけど、客観的にそれでしか判断しようがないから数字に頼っている部分もあるのは事実。例えばケータイ小説だとか、ブログだとか、人気ランキング出るけど、それ、面白い順番で間違ってないですか。
自分を売り込むのに一番良いのは、やはり客観的に読んで面白かったという他者からのレビューではないかと。その他者がどのくらい信用できる人物か、どのくらい信用できるレビューを残してくれているかも重要なところ。難しいけど、そういうことが出来るレビュアーに出会えたら、少しだけ作品を知ってもらう機会が増えます。
誰かから紹介ってのは本当に嬉しいですよね。ちょっと毒舌混じってたって、それが作品を読む上で参考になるモノだとしたら、私はたくさん貰いたいな。きちんと読んでくれる人がいて、その人が「面白かったよ」と言ってくれる。それを見た他の人も読んでみたいと思ってくれる。
私はそれが一番いい宣伝方法なんじゃないかなって思ってます。
ネット小説を書き始めた頃、私はそういうことを知らないでガンガン登録してたわけですよ、サーチエンジンに。SFなんて特殊だから、大体どのサーチにも似た作品が多くて。「あ、この人ここにも登録してる!」ってのがどれだけあったことか。確かにその作品はある意味有名でしたけど、それを読んでみたいかと言われるとそういうこともなくて。たくさんサーチに出てるからその分クリックされる回数が多いのかも知れない。中身がエロティックだからそれで読んでるのかも知れない。面白いかどうかじゃなくて、そこにある刺激、宣伝文句。
結局小説なんて、読んでみなけりゃ本当の面白さなんてわからない。面白いから読まれる、売れる。そのほうがいい。
今流行だからってそれに乗ってみて、その時だけガンと上がったアクセス数、本当に嬉しいのかなと。本気で書いてそれで読まれた方が自分も納得できるじゃないですか。最近、どうもプライドを捨てているというか最初から持ってない物書きさんを散見します。せっかく文章書いているのに、結局自己満足なんだなと思ってしまう。そういうのを見るとなんだか惜しくなるのです。
ちゃんと書きたいものを書いて、自演だの宣伝過多だのしないで、それで堂々作品出してるって人がどれくらいいるのかなと思うときがあります。私の考えが古くさすぎるだけかも知れないけど。
ホラ、スポーツだとフェアじゃないってよく言うじゃないですか。ああいうの、WEB小説だって見かけることありますよね。フェアじゃない方法で上位になって、それで喜べるのか。そういう精神状態で本当にいい話が書けるのか。結果として付いてくる上位じゃなくて、目的としての上位だけで本当にいいの。手段を選ばない、そのためにはプライドだって捨てる。他者の戯れ言などに興味はない。そういう人、偶に見かけるんです。その度に、「なぜそうなってしまったんだろう」とわびしくなりませんか。
これはただの無名作者の呟きに過ぎません。私がここで何を書いたところで相手には伝わらないのです。私は特定の誰かに訴えかけているわけではなく、そういう傾向が日々強まっていることに対して警告したいつもりで書いています。お気に障りましたら申し訳ございません。
私の場合は以前素敵なレビュアーさんに恵まれて、それから少しずつ交流を広げていきました。今はネットの世界にいない方ですけど、本当に感謝しています。数字じゃなくて面白さなんだと気づかせてくださったのもその方です。良質の小説を紹介する草の根運動でしたが、とても嬉しかったことを覚えています。
さて、振り返ってみて、自分はどうだか考えてみませんか。数字に振り回されすぎていませんか。アクセス数が伸びないからと執筆以上に宣伝(自演含む)に力を入れていませんか。自分だけの読者を掴みたいなら、やっぱり実力で勝負しなくちゃ。この広い世界だから、きっと「あなたの物語に惚れました」って言ってくださる方がどこかにいるはずなのです。