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不可思議少年和田智玄  作者: おこめi)
9/55

9.動き出す歴史

前回に続き調査会です。

「ん。どうした、なにかわかったのか。」


 きゅう図書館としょかんもどっていくおれ貞時さだときこえをかけてきた。もちろん返事へんじはしない、筆談ひつだんをしている余裕よゆうもないのでおれ貞時さだとき無視むしした。

 昔話むかしばなし童話どうわはフィクションのものおお存在そんざいするが、物語ものがたりによっては実在じつざいはなしもとにして脚色きゃくしょくくわえたおはなしというものもある。金太郎きんたろう一番いちばんわかりやすいれいかな。そして、一説いっせつには童話どうわにするためにおに動物どうぶつたとえるケースもある。今回こんかい鬼娘おにむすめなみだというおはなしも、そういった脚色きゃくしょく次世代じせだいつたわっていくさいにずれがしょうじていきいまのおはなしになっているのかもしれない。様々(さまざま)地元じもと歴史書れきししょをたどっていったが光明こうみょうえなかったが、現実(げんじつ)(はな)れした能力のうりょくっているならそういったかたちはなしのこっているかもしれない。

 正直(しょうじき)()づまっていた。そんななかてきた一筋ひとすじひかりおれ空腹感くうふくかんなどはもうわすれ、からだ奥底おくそこから知的好奇心ちてきこうきしんがってくるのをかんじた。もしかしたらさがしていたもの、りたかったものがあるかもしれない、その可能性かのうせい原動力げんどうりょくとなっていた。


 あたまなか検索けんさくエンジンをこの地域ちいき歴史れきしから鬼娘おにむすめなみだ図書館としょかん資料しりょう調しらべなおす。


成程なるほど、おまえさんあの童話どうわあやしいとおもったんだな。」


 貞時さだときおれ方向性ほうこうせいさとり、資料探しりょうさがしを手伝てつだってくれている。

 一時間いちじかんほど調しらべたところ、ふるはなしではむすめむら子供達こどもたち一人ひとりおに集落しゅうらくおそわれ子供達こどもたちられ、子供達こどもたち鬼達おにたちすきをついてすも少女(しょうじょ)一人(ひとり)のこして全滅ぜんめつむらもどってもおにから一人ひとりだけげてくることはありないとうたがいの眼差まなざしにてられ、むらのものにしんじてもらえずにころされるといった物語ものがたりだったらしい。それがマイルドになっていまかたちになったのかな。もうすこしマイルドにしてもいいとおもうけどそうなると教訓きょうくんがなくなるのかな。


 おれはスマホをしメモをひらく。


質問しつもんんでれいになったものの姿すがたんだときおな状態じょうたいになるのか?

「いや、おれんだのは29くらいのときだったが、いま姿すがたは21くらいのときじゃないかな。おそらく、そのひと生前せいぜん一番(いちばん)(からだ)うごきが時期じき全盛期ぜんせいきというやつかなそんな姿すがたになるんだとおもうぞ。いままでにってきた霊達れいたちのことをおもしてもそれで間違まちがいないとおもうぞ。」

生前せいぜん姿(すがた)以外(いがい)になれたりはするのか。たとえば10さいくらいでんだが20さい姿すがたになるとか。)

「それは無理むりだ。髪型かみがた衣服いふくなどは変更へんこうすることができるが、かおからだ構造こうぞうえるなど整形せいけいレベル以上いじょうのことをすることはできない。精々(せいぜい)化粧(けしょう)レベルの変化へんかだろうな。だから成長せいちょうした姿すがた無理むりだろう。」

成程なるほど。」


 つまりこのおはなし脚色きゃくしょくされていて事実じじつとはことなるストーリーになっているのだろう。もしくはこの物語ものがたり彼女かのじょまった関係かんけいのないものになるが、昨日(きのう)()っていた「この人間(にんげん)(あつか)いをされなかった」という部分ぶぶんっかかる。そのほかはなしぶりからもんでいるという自覚じかくはあるように見受みうけられた。そんなれいがこんなまわしを使つかうということは、生前せいぜんから人間(にんげん)(あつか)いされていなかったとおもわれる。もちろんこのおはなしがあの女性じょせい人生じんせいをモチーフにしたものという仮定かていもとだ。この歴史れきし調しらべたが人外じんがいのような資料しりょうはなかった。もちろん資料しりょう歴史れきしのこされていないという可能性かのうせいもある。


 ひと仮説かせつもできたし、これがちがったらいちから調しらべなおしだ。それっぽい資料しりょうもないしまずはこれでくか。


 時刻じこく午後ごご時半じはんおれ図書館としょかんあとにし、一時間半前いちじかんはんまえ空腹くうふくおもしていた。


「もういいのか。」


 貞時さだときいてくる。これ以上いじょう限度げんどがある、今回こんかい仮説かせつ着物きもの女性じょせいにぶつけてみてちがったらヒントをすしかないだろう。なんせキーワードがすくなすぎる、自分じぶんうのもなんだが、よく調しらべたほうだろう。


(これ以上(いじょう)調(しら)べるのはきびしいだろう、一度(いちど)彼女(かのじょ)ってもうすこ手掛てがかりをかないといけないだろう。)


 まりスマホで回答かいとうをする。まあそうかとったように貞時さだときうなずいた。

 さて、もう料理りょうりする気力きりょくもないし、貧乏学生びんぼうがくせい身分みぶんだ。ハンバーガーチェーンてんでもくか。


 最近さいきんはいろんなみせのいろんなハンバーガーがある。普通ふつうにハンバーグをはさんだスタンダードなものや様々(さまざま)なソースにえてあじえたり、ハンバーグではなく、とりさかなのフライをはさんだもの、野菜やさいにこだわりをっているもの、だんやしボリュームをげているもの、様々(さまざま)なものがあるが、ハンバーグにケチャップというシンプルな味付あじつけのものがきだ。単調たんちょうあじだがくせになってくる、あいだにある薄切うすぎりのピクルスが全体ぜんたい牛肉ぎゅうにくとケチャップのあじになじんでくる。食感しょっかんのアクセントにもなってとてもおいしいピクルスはきらいだというひとおおい、おれもハンバーガーくらいでしかべないが、このピクルスはきだ。一本(いっぽん)丸々(まるまる)べたことはないので、ピクルスがきかといわれるとこたえにはなやむが、ハンバーガーのピクルスはかせないものだとおもっている。まあ、ひとそれぞれあじこのみがあるので、あくまでもおれ意見いけんなのだがな。片手かたてでかぶりつくというのもハンバーガーのあじえているのだとおもう。


 サクッとはらたし、時刻じこく午後ごごいまからかってもいがねんのためいろいろ準備じゅんびするために一度(いちど)帰宅(きたく)するか。


「あのおんないにくのなら夜更よふけをおすすめしよう。」

何故なにゆえ。」


 正直(しょうじき)荷物(にもつ)をまとめたら早速(さっそく)出発しゅぱつするつもりでいたため貞時さだときめられたのにはおどろいた。


荷物にもつをまとめてすぐにだったか。おまえさんはもう一般人いっぱんじんではないということを自覚じかくしろ。帰宅きたくするものられて警察(けいさつ)()ばれては厄介やっかいになるんじゃないか。昨日きのう時間じかんぐらいまでつほうが得策とくさくだとおもうぞ。」

「あ、そうか。たしかにそうだな。」


 あまりにもはっきりえるようになってしまったから、普通ふつうひといに感覚かんかくになっていた。われてみればたしかにそうだな。どっちにしろ一旦(いったん)(いえ)かえるか。


 かえってたのはいいが、準備じゅんびしてすぐくつもりだったからへん時間じかんができてしまった。いまのうちになにかしておくことはあるだろうか。なやんでいると貞時さだときこえをかけてくる。


「あ、そうだ昨日きのう伊東いとうさんにも連絡れんらくれたいたほうがいいんじゃないか。」

「え、なんで。」

「おまえさんよりれているだろうし、一応(いちおう)(ひと)つの仕事しごととしてていた様子ようすでもあったからな。わるいようにはならないんじゃないか。」

「ああ、成程なるほど、でもな~確定かくていじゃないこともおおいし、ほとんど俺《おれ

》の推測すいそくだから間違まちがっていたらすぐに撤退てったいするからな。いそがしかったりしたら迷惑めいわくなんじゃないか。」

「まあ、一報(いっぽう)れておくだけでもいいんじゃないか。」

「まあ、そうか。えーっとどこだったかな。・・・ああ、あったあった。」


 昨日きのうもらった名刺めいし確認かくにんして電話でんわをかける。

よくよくるとブラックカンパニーってなんだよ。一部(いちぶ)和訳(わやく)でブラック企業きぎょうだぞ。ネタにしかえないだろうな。

 ・・・お、つながった。


「あ、もしもし(わたし)和田智玄(わだとものり)もうすものですが、伊東いとうさんいらっしゃいますか。

 ああ、そうですか。あ、いえ、大丈夫だいじょうぶですいらっしゃればというぐらいの気持きもちでかけたので、はい、ありがとうございました。」


 電話でんわりポケットにしまう。


「いなかったのか。」

「ああ、事務所じむしょにかけたらちがひといたらいまいないらしい。まあ、いろいろあるだろうし、名前なまえ名乗なのっているから大丈夫だいじょうぶじゃないか。」

「まあ、いいか。どのみち今日(きょう)()くんだろ。」

「ああ、められてもくぜ。」


 というか第一だいいちおれ仮定かてい間違まちがっている可能性かのうせいもあるんだからなにかまえる必要ひつようはない。会話かいわをしにくだけだ。

 さて、まだ2時間じかんぐらいあるしいろいろためしてみたいことやってみるか。


「なあ貞時(さだとき)(ため)したいことがあるんだがいいか。」


 よくよくかんがえてみたら自分じぶんがどこまでれいたぐい干渉かんしょうできるのかわかっていない。せっかく時間じかんもあるのでいまうちなにができてなにができないのか確認かくにんしたほうがいだろう。今後こんごのためにもいつかっておく必要ひつようがあるおもいつくだけためしておこう。


「もちろんいいぜ。おまえさんより時間じかんあましているしな。第一だいいちまえさんにいたのはおれ退屈たいくつしのぎだし、なにをするんだ。」

「え、おれそんな理由りゆうかれているのか。まあいまはいいか。せっかく時間じかん中途半端ちゅうとはんぱにあるしできることとできないことを確認かくにんしておこうとおもってな。」

「おまえさんがおれらのたぐいにってことだよな。成程なるほどためしたほうがいな。」


 時刻じこく午後ごご、9現地げんち予定よていだから8時半頃じはんごろ予定よていだから2時間じかんくらい余裕よゆうはあるだろう。まあべつ約束やくそくしてるわけじゃないから時間(じかん)()まってるわけじゃないけど。

 さて、なにからためしていこうかな。


次回から再度着物の女性と対峙する予定です。

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