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第07話 開拓3日目 整地、遣り方

◇   ◇   ◇


 私が「小屋を作る」という目標を持ったのは6年前。学部2回生の頃である。


 当時、ワンダーフォーゲル部に所属していた私は京都や滋賀の低山に登る機会が度々あった。ある時、登山途中に何気なく建っている小屋の存在に気付いた。


 その小屋は富士山や北アルプスの山々にある登山客を対象とした山小屋とはそもそも設計思想が異なる"おそらく個人所有と思われる小屋"であった。


 その小屋は別荘と呼べるような立派さは無く、かといってプレハブや物置の様な簡素な建物でもなく、あくまで住居として最低限の機能は備えていそうな外観をしていた。


 "一体誰が?"


 "どういう目的で?"


 "どうやってこの小屋を建てたのだろうか?"


 気になることこの上なかった。


 そこでネットで情報を調べた結果、『山に土地を買って小屋を自作する』という世界があることを知った。


 そしてそれは、土地代・建物代を合わせても軽自動車を1台買う程度の予算を用意すれば達成可能であり、一般人の私でも努力すれば現実的に手の届く範囲のことだと知った。


『私には小屋を作れる潜在性がある』


 そういう選択肢があるということがこの上なく嬉しかった。


◇   ◇   ◇


[ 開拓3日目 ]


 朝起きると昨日に引き続き全身筋肉痛であり、身体の隅々が猛烈に悲鳴を上げているのを感じた。しかし小屋作りの作業を進めなければならない。


 Yahoo天気予報アプリによれば、明日から天気が崩れるとのことなので、なるべく今日のうちにやれることはやっておきたいのである。


 今日からはいよいよ小屋の基礎工事に着工する。


◇   ◇   ◇


[ 整地 ]


 小屋のおおよその建設予定地は既に決めてある。山林の中で8メートル四方程の大きい木が生えておらず整地にそれほど労力を掛けなくても大丈夫そうな場所があったのでそこに小屋を建てることとした。


 今回、基礎は穴を掘って砂利を敷いた上に沓石を置くだけの『独立基礎』にする予定なので、整地のために建設エリア全体の土を深く掘り返すことはしないが、それでも落ち葉の腐葉土や草の根が生えている層は剥ぎ取るため、表面の土をツルハシとスコップで10センチぐらい掘り返していった。


 なお場所が山であるので建設予定地は若干の傾斜地となっているが、これを水平に整地しようとすると時間が掛かり過ぎることが予想されるため、基礎を置く際に高さを調整することで対応することとした。


◇   ◇   ◇


[ 遣り方 ]


 次に『遣り方』に着手した。

 

 遣り方は建築エリアの四方に木杭を打ち込み、木杭間を貫板で繋ぎ、貫板に目印を付けた箇所を水糸という黄色い糸で繋ぎで交差させることよって建物の基礎を置く位置を決めることである。


 まず最初の木杭をハンマーで打ち込んで起点とし、次にメジャーで間隔を測りつつ他の木杭を打ち込んいく。

 木杭の位置は少しずれていても水糸の微調整でなんとかなる範囲であれば大丈夫だという。


 時間をかけて慎重に4本の木杭を打ち込むと、かなりそれらしくなった。


 休憩のついでに、少し離れた位置から様々な角度で建設予定地を改めて観察してみる。


 基礎に着工してしまえば作業のやり直しは難しくなるため、本当にこれで良いのかともう一度熟考するのである。


◇   ◇   ◇


 気がつくともう時刻は17時頃、辺りはもう薄暗くなりかけていた。


 今日の作業は水盛りや水糸張りまでやりたかったが、思った様に作業が進んでいない。


 今後のことを考えると作業時間を確保するために日光を遮る木を切る事や照明設備の導入も検討しなければならないだろう。


 とりあえず今日は四隅の木杭の周辺にそれぞれ2本ずつ合計8本の木杭を追加で打ち込み、作業を終了とした。


◇   ◇   ◇

--経過--

進入路の工事       完了

資材の購入(基礎・土台) 完了

資材置場(仮)の建設   完了

基礎工事         進行中

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