第37話 開拓25日目 屋根の施工 屋根板②
前回の続き
屋根板に用いる構造用合板をとりあえず2枚ほど垂木の上に押し上げた後、いよいよそれらを固定していく。
作業はロフト上から手の届く範囲の合板から始めた。まずは屋根に登る前に最初の合板を固定し足場とするのである。最初の足場さえ固定してしまえば、後は追加の屋根板を一枚一枚位置合わせをしてビス打ちしていくだけの作業となるので大分楽になるはずだ。
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一枚目の屋根板はロフト上と小屋外側から脚立はしごに登って手が届く場所にはあらかじめ下から手を伸ばしてビス留めした。まだ一部の固定は済んでいないが、この状態で動かそうとしてもすでにビクともせず、この上に登っても大丈夫であろうと判断することができた。
屋根に登っての高所作業に先駆けて靴を履き替え、腰に『安全帯』を装着する。
この『安全帯』は分厚いナイロンベルトにフックの付いたリール式ロープが付属している高所作業用のものである。
リールに収納されているロープは自動車のシートベルトの様にゆっくりと引っ張る分には引き出すことができるが、落下時の様な衝撃が加わるとロックされて体が宙吊りとなる仕組みとなっており、高所作業を安全に行うためには必須な装備品と言えるのである。
ただしこの安全帯が実際に役に立つのはかなり危機的な状況であるため、なるべくお世話にはなりたくない、お守りの様なものだと考えていた。
◇ ◇ ◇
安全帯のフックを手近な垂木に固定し、ロフト上から壁パネルに足をかけて屋根板の上によじ登る。
屋根に上がると地表とは異なる、高い場所特有の風が吹いているのを感じた。稜線歩きで感じる様な風だった。
四つ這いで最大限の安定姿勢を取りつつ屋根上を移動する。屋根は地上からは約三メートル程の高さにあり、さらにそこに自分の身長分の高さが加わるのでとても怖く感じる。
屋根板として使っている構造用合板は一枚あたり91cm×182cmの大きさがあり、地上では十分な安心できる大きさだと感じていたが、不思議なことにいざ屋根に乗ってみるとそれはとても小さく、心細げに感じた。
とてもじゃないが、この上に立ち上がる勇気はない。
這いつくばりながら徐々に移動し、あらかじめ下穴を開けておいた場所に追加のビスを打ち込んでいく。
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さらに次の屋根板を固定していく。
一本の垂木と完全固定した後、二本目三本目と固定点を増やしていくごとに屋根板の安定性は増していった。
その後も着々と作業を続け、屋根板が貼られた面積は次第に広くなっていった。
やがて、屋根に登るためのロフト部分以外の屋根板を貼り終わると、傾斜の付いた広い平面が出現した。
これぐらい広ければ大丈夫とだろうと思い、屋根の中央部で立ち上がってみることにした。
◇ ◇ ◇
"これほど素晴らしい光景はあるだろうか"
屋根の上から見渡すと、地表からは見えなかったかなり遠くの鉄塔まで見えた。
屋根の上では地表とは異なる高い場所の風が吹いていることもあって、ある意味長い登山の末、ついに山頂に辿り着いた様に感じたのだった。
そのまましばらくは茜色へと変わってゆく夕焼け空を眺め、これまでのことを振り返り思い出していた。
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--経過--
進入路の工事 完了
資材の購入(基礎・土台) 完了
資材置場(仮)の建設 完了
基礎工事 完了
資材の購入(床材・壁材) 完了
土台 完了
床の施工 完了
資材の購入(屋根材) 完了
壁の施工 完了
屋根の施工 進行中
垂木の加工 完了
垂木の固定 完了
転び止めの設置 完了
屋根板の貼り付け 完了
ルーフィング材の設置 NEXT




