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第22話 開拓15日目 土台の固定、床の施工①

◇  ◇  ◇


 テント泊をしていると夜がすごく長く感じる。


 この滋賀県山中の土地には街の明かりも届かないので、陽が落ちれば辺りは真っ暗になる。そのため夜間に屋外での大した活動は出来ず、食事や身支度、記録や計画の見直しが終われたば早々に寝るほかない。


 これがもしキャンプ場の場合、どんなに深い山奥に立地していたとしても他人が発する明かりや騒音を避けることはできないのだろうが、この土地は私だけのものなのだからその心配はない。人工的な音はたまに峠を走る自動車の音が遠くから反響し聞こえて来るぐらいだ。


 ただ、虫の声はずっと鳴り止まないのでリッチな睡眠環境とはまったく言えないのが難点だが。


◇  ◇  ◇


[ 開拓15日目 ]


 今日も天気は曇りのようだが昼頃からは晴れる見込みで、雨は降らなさそうだ。


 昨日は夕方に雨が降ったため作業を早めに切り上げたということもあり、休養も十分取れており疲労感はだいぶ安らいだ気がする。一つのピークを越えたという感じがする。


 今日は土台の仕上げと床の施工を行う。


◇  ◇  ◇


[ 土台の仕上げ ]


 昨日中途半端で終わってしまった土台の固定を仕上げる。


 まず少し水滴が残っている建築エリアのブルーシートを取り外し、何度も振って水滴を落としたあと折りたたまずそのまま広げて乾燥させておく。同様に資材置き場のブルーシートも外し、資材の内部にこもっているかもしれない湿気を逃しておく。


 それが終わるとさっそく土台固定作業の続きに取り掛かる。


 作業の要領はすでに掴んでいるので後は気力と体力の勝負となるが、インパクトドライバーという便利な道具を使って、羽子板と大引を次々と固定していく。


 それにしてもインパクトドライバーはすごい工具だ。電動ドリルと比較と比べて圧倒的なトルクの強さで、作業がどんどん捗る。電動工具の中でもっとも好きな工具と言える。


 9時頃には作業が全て終わり、土台の固定が完了した。


◇  ◇  ◇


 試しに完成した土台を揺さぶってみるがビクともしない。完全にガッチリと固定されいる。


 土台を完成させるまでに建設期間の半分を使ってしまったが、いよいよこの上に小屋を立てていくのかと思うと感慨深く感じる。


 完成した土台を改めて観察してみると、床束(床下の高さを稼ぐ短い柱)を省略したせいもあってか、地面から土台までのスペースはかなり狭く感じる。


 この上に床を施工することで床下に湿気が溜まり、土台の木材が腐食しやすくなりそうで少し心配に感じた。


 しかし不安には感じるものの、これについては設計な根本的な部分なので今更どうしようもない。


 一応腐食の予防策として、今回は土台の木材である大引には防腐剤が注入された木材を使用しているが今回はさらに組付けの接合部分にシーリング材を注入し隙間を埋めていく。


 大きいボンドのような筒状のシーリング材をコーキングガンにセットし、大まかに接合部分の上に乗せてヘラで隙間を埋めていく。本当はマスキングテープを使用するべきなのかもしれないが、目につく部分でもないので今回は省略した。


シーリング作業は昼頃には完了し、一息ついた。


 次はいよいよ床の施工に移る。


<続く>


謎の小屋づくり話をお読みいただきありがとうございます。

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