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第11話 開拓6日目 基礎の穴掘り

◇   ◇   ◇


 私の土地は山林に位置し、周囲には当然野生動物も生息している。


 土地受領の際に水の利用や土地境界の確認に立ち会って頂いた麓集落の自治会長?的なご老人には「この山には鹿やイノシシがいるから農業には向かないだろう」とアドバイスされた。


 確かにこの山の周辺にある田んぼや畑は基本電気柵でガードされているし、山中に沼田場らしき場所があることも確認している。


 この土地で農業する予定はいまのところ無いが野生動物との遭遇は場合によっては命を落とす危険もあるので常に警戒はしており、高価だったがクマ撃退スプレーを一本買って肌身離さず携帯している。


 また野生動物が寄ってこない様にする対策として、食料品は林道脇に停めてある軽自動車内に保管する様にしている。


 動物にとって魅力的な人間の食料があるということが知られることはお互いにとって不幸な結果を引き起こすかもしれないからだ。


◇   ◇   ◇


 しかし慣れてくると油断してしまうもので、ある時、昼食の調理で余ったトマトをレジ袋に入れたままうっかり外に放置してしまっていたところ見事狙われてしまった。


 その犯人はなんとカラスだった。


 食べている現場は見れなかったが、飛び去るところを目撃したので間違いない。残されたのは無残にもくちばしで突かれたトマトの残骸だった。


 カラスがトマトを食べることを初めて知ったし、わざわざこんな山の中で私の食料を狙ってくるカラスの根性に逆に感心するぐらいだったが、油断してはいけないということを再認識した出来事だった。


◇   ◇   ◇


[ 6日目 ]


 早朝から引き続き水糸張りの続きをする。

 

 測量の方法は既に習得していたの、あとは時間と集中力の勝負になる。


◇   ◇   ◇


[ 基礎の穴掘り ]


 水糸張りを終えるといよいよ基礎の作業に入る。

 今回基礎は『独立基礎』という方式を採る。


 独立基礎は大まかに表現すると、地中に穴を掘って砂利で埋め戻しその上に基礎石である沓石を置いてモルタルで固定するという比較的簡略な方法であり、小屋建築では一般的に使われている方法である。


 空中で交差する水糸を目印にして縦横深さ30センチほどの穴を12箇所掘る。


 以前気づいた土地の傾斜の問題については、基礎の高さを土地の高くなっている箇所と低くなっている箇所の中間の高さに合わせることで対応することができた。


 穴掘り作業は基本的にスコップとツルハシで行ったが、細かい木の根や草の根に阻まれ掘り返すのにはとても苦労した。


 建設エリアは切り株の抜根作業が必要が無いように木が生えていない空き地を選んだが、山林の地中というのは何処でも植物の根が及んでおり地中に空き地は無いようだ。


 穴掘り作業でだけでこの日は1日が終わった。


◇   ◇   ◇


--経過--

進入路の工事      完了

資材の購入(基礎・床材)完了

資材置場(仮)の建設  完了

基礎工事        進行中

 穴掘り        進行中

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