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巻藁舟にいざなわれ  作者: hatch
第1章 2047年から旅が始まる
3/16

第1話 天文6年(1537年)の尾張国津島へ

MODと課金システムの区別は正直余り考えていません。

外観が主で実利が伴わないものはMOD、実利に伴うのは課金システムぐらいの区別です。

次にVRMMOPRGからVRRPGに変えたのは、ゲームで史実を変える可能性を減らしたかったからです。

平行世界の概念やゲーム機器の暴走でこの世界が三人の夢であるかもしれない、という設定で今につながる危険性を除去したとはいえ、不特定多数のプレイヤーによる歴史改変をさせたくなかった。そして、三人以外の転移者が居るという可能性を除去したかった、というのもあります。

天文6年(1537年)の尾張国津島へ


 街道に六頭立ての白い幌馬車がぽつんと止まっていた。御者台には髪と髭の色そして若返った以外は現世と変わらない姿のひげもじゃ安兵衛が呆然として手綱を握っていた。発知もその隣で呆然としていた。馬車につながれた六頭の内、先頭の二頭の馬はともに白馬で、ペルシュロンと呼ばれる体高170センチ、北海道ではばんえい競馬で多く使われている馬である。力が強く足が太く丈夫なため、安兵衛が選んだ馬である。次は富士子が強硬に主張した漆黒のフリージアンが二頭これは体高が155センチでたてがみと尾が長くて毛が美しい。更には子馬だがこれもフリージアンが二頭。六頭全てが雄雌のつがいである。馬車は結構大きく、幅が1.5メートル、長さが5メートル、高さが3メートルある。西部劇で有名なコネストーガ型幌馬車だが、車輪はノーパンクタイヤであり、サスペンションは現代高級車並み、揺れはきわめて軽減されている。ちなみに富士子がフリージアンを強硬に主張したのは、乗馬好きで世界一美しいというフリージアンに憧れていたからである

 まあ、極まって高性能な馬車である。課金システム万歳である。

 さて、馬は全く落ち着いたものだし、変わりはないがその乗客たちの様子は混乱の極みであった。

 御者台の安兵衛は、富士子が整えた土方スタイルで、背中には日本刀を背負っている。今回の法被は正装ではなく、法被の背中には「金槌と金床」の文様がある。

 馬車の中では、富士子がコンパクトを開き自分の顔を見つめて、大騒ぎをしている。

「やっぱり銀髪には緑の瞳が合うわ。ポニーテールも選んで正解、この時代の女性でショートカットじゃ女扱いしてくれないし。」

 彼女の中ではコンパクトに写る自分の容姿が全てであり、外のことなど、全く眼中になかった。

 ちなみに彼女の背中には薄緑の弦を張った銀の弓と、深緑の矢羽根がついた矢がはいった銀色に染めた皮の矢筒が装備してあった。頭には新緑(しんりょく)のバンダナを帽子巻きにつけ、首には頭と同じ新緑のバンダナを巻いている。上着は山繭の地色を使った薄緑のボタンダウンシャツに深緑(ふかみどり)に染めた皮のジャケットである。下は銀色の七分丈のパンツであり、ベルトは新緑の革紐を編んだ細身のベルトでバックルは銀である。足には銀の飾りがついた深緑の革のブーツを履いている。男から見ると、どれだけ銀と緑が好きなのか正気を疑うほどである。

 御者台では二人がようやく気を取り直して周囲を見渡した。

「どう考えても、スタート地点に選んだヴェネツィアのイタリア本土の領地じゃないな。」

 こちらをびっくりして見つめている、ちょんまげ姿の人がいるのを見て、発知が安兵衞に言った。

「ああ、大体ここがゲーム空間かも怪しい。ステータス画面が開けないし、当然ログアウトもできない。体感的には現実世界っぽい。取りあえず馬車を街道から外して、あの森の近くへ移動させよう。俺は付近の情報を集めてくる。」


 発知は御者台から降りて、四方八方を確認した。次に、太陽の位置と高さを確かめた。なにやらぶつぶつと呟く。そして目をつむり、大きく深呼吸を何回かした後で、しゃがんで俯き、地に手を当てて集中した。1分ほどたつと、まだこちらを見つめていた人に近づいて、話しかけた。その人は逃げ出しそうなそぶりだったが、取りあえず日本人に近い容姿の発知がにこやかに話しかけると、警戒はしながらも答えてくれた。

 発知は森脇に移動した馬車に戻り御者台に上がった。発知の容姿についてはとりあえず色白の日本人の姿で、富士子とお揃いの深緑のジャケットに新緑のボタンダウンシャツ、下は焦げ茶のジーンズ、頭と首の新緑のバンダナは富士子とお揃いであり、靴は五本指の変わった形である。首の新緑のバンダナは安兵衛もお揃いである。この三人は現世でも定年退職後は風邪防止のため、首にバンダナをつける習慣があった。

「安兵衛、どうやらここはおととい見た津島神社の東に四キロで、ここは津島と那古野を結ぶ街道らしい。取りあえず安兵衞は馬車の中の装備を確認してくれ。俺はできる範囲で周囲の確認をしてくる。富士子、ここはゲーム空間じゃない。現実世界だ。だが、俺たちがいた時代じゃあない。富士子も装備を確認してくれ。」


 30分ほどして、発知は戻ってきた。ずいぶんと慌てていた。

 先ほどまで晴れていた空に黒い雲が急速に広がっている。空気にもほこりっぽい雨の匂いが感じられた。

 発知は馬車に飛び乗り奥に行き、二人と向き合った。

 最初に口を開いたのは安兵衛だった。

「発知、装備に問題はない。こうなると富士子が課金アイテムを買いあさったのは有り難い。食料は三人で一週間分、開拓用の各種種子に苗、種芋、発酵用の酵母や乳酸菌などの有用微生物、改良した蚕や山繭の卵、そして交易用に用意した結構な量のドゥカート金貨に金地金もある。それにテラキャパシタや熱電対もある。これが現実世界ならあり得ない話だが、俺たちの魔法も使える。」

 安兵衛が富士子に目をやった。

「私の装備も問題ない。薬品に薬草の種と苗、消毒薬に各種ワクチン、それにペニシリンが生産できるキットまで揃ってわ。魔法は何しろ初めてだから、まだ、クリーンしか使ってないけど、軽いけがややけどなら大丈夫だと思う。」

 発知が二人の報告にうなずいてから、自分が見てきた事を話した。

「まず、ここは日本だ。ゲームで行くはずだったヴェネツイアのイタリア本土の領土じゃない。西に4キロほどのところに津島神社があるのを遠目で確認した。ただし、現代じゃない。天王川があって、天王橋もある。さっき聞いた人の話が本当ならだが、天文6年、西暦1537年、つまり戦国時代だと思う。季節は春、3月ぐらいで時間はちょうど正午頃だ。」

 雨音がしてきた中、二人が発知の言葉を理解するのに数分かかった。

「富士子、馬と交信できるか試してくれ。その後はしばらく街道から外れたここで様子を見る。」

 富士子がうなずき、安兵衛が質問した。

「富士子が馬との交信を試す必要まであるのか?」

「ああ、雷が来そうだ。ペルシュロンやフリージアンのような大型馬が怯えて暴走したらしゃれにならない。」

「分かった、備えが多いのにこしたことはないな。」

「その通り。」

 三人はそれぞれ行動を開始した。


 発知は木に登って街道上への視界を確保していた。馬車の中では安兵衛と富士子がくつろいでいた。三人で話し合った結果、雨がやんで落ち着いたら、この時代では「津島牛頭天王社」と呼ばれている津島神社に参拝しにきた旅人として、津島に行こうと待機していた。先ほどの情報を疑う訳でもないが、一人からの情報に頼り切るわけにはいかない。どの武将とコンタクトをとろうにも正確な年が分からなければ、話にならなかった。

 雨は本降りであり、雷のごろごろという音が近づいてきていた。発知がここにいるのは落雷がある前にはその先に正の電荷が集まることを知識として知っていて、土魔法でそれが検知できるからだった。今のところここは安全だと発知は考えていた。

「やばい。」

 発知はそう呟くと木から飛び降り、御者台から安兵衛に言った。

「東から1頭の馬と口取りの小者、それに2人の徒武者が来る。馬に乗っているのは中学生ぐらいの少年だ。街道脇の木のあたりに正の電荷が集まってきている。 落ちるぞ、直撃がなくとも馬が暴走したら・・・・・・・」

 そう言った直後、凄まじい音と共に発知が言った木が白い光に包まれた。

 発知と安兵衞は街道へ向かって走り出した。富士子は馬を落ち着かせてから発知たちの後を追った。


 街道に横たわった四人の下にたどり着いた発知は、ひどいやけどで息絶えた口取りの小者を諦め、次に重傷らしい中学生ぐらいの少年の容態を確認した。やけどは大したことがない。だが、息と心臓の鼓動が確認できない。

 発知は土魔法で地面をならし、その上に少年を横たえ、心肺蘇生を開始した。心臓マッサージを30秒続け、次に気道を確保して息を短く2回吹き込む、さらに心臓マッサージを続ける。残念ながらゲームでも魔法での蘇生はできない。勿論、エリクサーや蘇生薬もない。だから、これしかなかった。

 追いついた富士子は少年のやけどを魔法で治療した。安兵衞が柔道流の活で供らしい二人の武士の意識を回復させた。

「私が代わるわ、私の方が蘇生の可能性がある。」

 富士子は先ほど馬と交信したことを思い出し、意識を集中して少年の脳に語りかけながら、心肺蘇生を代わった。

 心臓マッサージと人工呼吸の繰り返しが3回続いた後、それまで呆然と少年と富士子を見ていた供の内の一人が、ようやく富士子が自分たちの知らない方法で主人を助けようとしていることを理解した。彼は跪いて顔を少年に近づけて、泣き声で「五三郎様、五三郎様!!!」と呼びかけると少年のまぶたが震えた。

「やった、よくやったわ。あなたの声がこの子を助けた。お手柄ね。」

 安堵感から後ろ手に尻餅をついた富士子は、自分の治癒魔法のレベルアップ音が頭に響くのに気がつきながら、その供に声をかけた。

 あたりはまだ雨が続いていたが、雷は遠くに去り、雨も少し弱まったかもしれない。

私は光栄の信長の野望が好きです。

今でも「信長の野望・天道」を繰り返しやっているほどです。

とはいえ、基本的にイージーモードが好きなので、足利義輝に「化物語」の忍野 メメ、阿良々木 暦、羽川翼、戦場ヶ原 ひたぎ等々を足利義晴の子供として新規武将として付け加えたり、織田信長に「東方Project」の「東方永夜抄」から「蓬莱山 輝夜」、「八意 永琳」、「鈴仙・優曇華院・イナバ」、「因幡 てゐ」を付け加えたりしています。


参考文献

1.馬を知ろう https://www.crypter.jp/

2.きらめく繭 安曇野市天蚕振興会 http://azumino.tensan.jp/index.html


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