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藤井にとっては昔の親しき根岸が欲しい。根岸は異世界の故郷に帰りたい。
根岸が扉を閉じると扉は消えてしまった。
「大丈夫だから、この場所さえ忘れなければ、いつでも、もどれるから」
根岸は異世界の動物が扉を通り地球に来ることを心配していた。異世界の生物は地球の生物とは全く似ていないらしく、姿かたち性格も、藤井が知ってるものとは違う。地球生物は食物連鎖が種を越えているけれど、異世界生物は食物連鎖の種が一種しかない。つまり根岸のような人間そのものが互いに喰らい合って自然の秩序が保たれている。だから異世界生物が地球にくれば、人は食べ物として認識されるそうで、扉は隠さないといけない。