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ギャルゲー乙女ゲー観察日記  作者: 蛇真谷 駿一


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いつもの日記に戻ります。

そして『友人恋愛事情(恋愛以外あり)観察日記』の1でもあります。

 ××××年 十月十六日


 今日は……何だろう、疲れた。

 と言うか、昨日の晩からちょっとアレだった。


 昨日は疲れてたから早く寝ようと思っていたのだが、緋山の事を気にした妹さんとのメールをしてるうちに、時間がだいぶ遅くなっており、寝るのが遅くなった。

 ……メールも途中から電話になったし、内容も気が付けば緋山の事から俺自身の事になってたし、結果的にいつもの世間話を、夜遅くまでしていたことになるわけだ。


 で、今日、若干寝不足のまま学校に行くと、途中緋山と星海さんと遭遇した。

 さっそく仲睦まじく一緒に登校しているわけですか。ニヤニヤ。

 なんて思ってたら、緋山に絡まれた。


 どうも昨日妹さんとした会話の内容で、朝妹さんにからかわれたらしい。

 そんなことを話していると、星海さんも会話に参加してきた。


「あの、さ。寝不足って……そんなに菜月ちゃん、うちらの事聞いてきたの?」

 なんてことを聞かれた。


 なので、

「ん? ああ確かに、二人の事はそんなに聞かれなかったかも。まあ、俺がお前さんらの情報を知ってるとは妹さんも思ってないだろうしな」

 と答えておいた。

 実際は結構ぶっこんだ質問もされた。

 その質問のほとんどは俺も知ってることだったが、そこまでちゃんと答えてはいない。


 そんなことをしたら観察してたのバレちゃうかもしれないし。


 あまり二人の時間を邪魔をしてはなんなので、適当なことを言ってその場を離れた――――振りをした。

 隠れて観察してたら、面白いもでも見れないかな? と言う気持ちの表れだ。


 するとどうだろう、何やら照れていた星海さんが、鞄から何かを取り出し、緋山に渡してた。

 耳を澄ませば聞こえてくる『おべんと』と言う単語。

 本当に面白いことが起きた。


 俺はそれを見た後、急いで学校に向かった。



 緋山達より早く教室に着くと、クラス全員が、緋山達をからかおうとニヤニヤしていた。

 ついでに俺にも何か言ってきたが、スルーした。


 とりあえず俺は、ニヤケそうになるのを押え、からかうのはかわいそうだと言い張り、クラス全員でからかうという方向から、全員で微笑ましく見守るという方向に変更しておいた。

 皆も、そっちの方が面白そ――ではなく、そっちの方が祝福してるっぽいということを理解してくれた(笑)。


 ついでに、さっき偶然(・・)目撃した、星海さんが手作り弁当を緋山に渡していたことも伝えておいた。

 これで弁当を取り出しても、変にからかわれることはあるまい。ふっふっふ。


 遅れて数分後、教室に入ってきた二人を、ちゃんと全員で微笑ましく見てあげた。

 東野や春風さんも参加してくれたことを考えると、ほんとにノリがいいなと思う。



 ……さて、主に今日、疲れた原因はこっからである。


 放課後、いつものように部室に行くと、とても機嫌のいい藤原さんに迎えられた。

 藤原さんは、終始笑顔で、妙に気になった俺は「何かいいことでもあったの?」と尋ねてみた。


 すると藤原さんは――好きな人に告白できたことが嬉しくて仕方ない――そう言った。


 それを聞き、なるほどと思った。

 同時に、彼氏が出来たのなら、もしかしたら部活に参加する頻度が減るかもしれないと思い、俺は寂しさを覚えた。


 とは言え、そんなことを言えるはずもなく、無難に祝福の言葉を言っておいた。

「そうか……それはよかったね。おめでとう」


 藤原さんの笑顔が固まった気がした。


 ……よくわからないが、ここで俺は地雷を踏んだらしい。

 その後藤原さんは、笑顔を崩し、悲しげにいくつか質問をしてきた。


 ――どうしてそんな他人行儀なの?

 ――私、後夜祭誘った……よね? 一緒に行ってくれたよね……?


 その質問に答えていくうちに、藤原さんはハッとした後、小さく――まさか……と呟いて、恐る恐る尋ねてきた。


 ――――ね、ねえ……後夜祭の暗黙のルール、っていうか……風習みたいなの、知ってる…………?


 言われて初めて、そんなものがあったことを知った。

 とはいえ、知ったかぶるのも違う気がして、素直に答える俺。


 すると藤原さんは眉間に手を置き、落ち込んでしまった。

 ……どうやら、俺の知らないその風習とやらで、俺は知らず知らず何かをやらかし、藤原さんに嫌な思いをさせてしまったと思われる。


 …………どうしようか。


 謝るべきか悩んでいると、藤原さんが何かを言おうと顔を上げた。

 だがその時、ガチャ! と音が聞こえ、

「おはようございますー」

 と瀬戸さんが入ってきた。

 そしてその後すぐに玉井君も入ってきた。


 それにより、謝るタイミングを失った俺と、同じく何かを言うタイミングを失った藤原さんは、いつも通りの部活動をすることになった。


 この時俺は、部活が終わった後にもう一度ちゃんと話そうと考えていた。


 考えは甘かったわけだが。



 部活が終わり、なんと藤原さんに声をかけようか考えていると、突然「こんにちわー」と言う声と共に、妹さんが入ってきた。


 ふむ、瀬戸さんと帰るつもりなのだろうと思った矢先、

「友達さん!! 一緒に帰りましょう!!」

 今思い返してもタイミング悪い!


 いつもだったら普通に受けるのに。


 とりあえず、断るか、最悪待っててもらおうと口を開いたが、俺よりも先に藤原さんが立ち上がって、私と一緒に帰るからダメ!! と言った。


 ――え、怒ってたんじゃないの……?


 とまあ、こんな感じによくわからない状況になったため、ここから少し、俺はただただ立ち尽くすことになる。



 で、気が付けば、二人からどっちと一緒に帰るのか? と尋ねられていた。

 といっても別にどっちかとしか帰れないわけでもないので、三人で帰ればいいのではと提案。


 二人は何故か、え? って顔をした後、少し悩んでから了承してくれた。



 この時点ですでに恐ろしく疲れてるわけだが、帰りの間もものすごく疲れた。

 何か知らないが、途中三人で会話してたと思えば、突然不穏な空気になったり、なんだかんだ寄り道で色々回ったりした。


 途中、緋山と星海さんを見かけた気がしたが、今回は気にしてる余裕はなかった。


 緋山家の方が近かったため、先に送った後、藤原さんと二人で帰った。

 送り届けたとき、妹さんが若干むくれ気味だったのが不思議。


 そのかわり藤原さんは少しだけ機嫌がよくなった。

 これ幸いと、後夜祭の自分の無知を謝ろうとしたが、止められた。


 ――もう気にしないで。今度はきちんと伝える。……というか、あなたから言わせてやるんだからっ。


 そう言い残し、藤原さんも自宅に帰って行った。


 言わせる……とはなんだろうと、意味を考えながら俺も帰宅すると、姉ちゃんと鉢合わせた。


 正直、自分で考えてもわからなかったので、やむを得ず、姉ちゃんにさっきの事を相談してみた。


 今日の出来事を要約して話してみると、姉ちゃんはニヤッと笑って、俺の方を弱めに引っ張り、あんまり気にしなくてもいい、とりあえず今日の事は忘れなさい。と言い、ちょっとだけ機嫌よさげに自室に戻って行った。


 それでいいのかわからないが、確かに気にし過ぎてもよくない気がする。

 それに藤原さんも気にしないでと言っていたし。



 とりあえず、今日はもう疲れた。

 今日こそ早く寝る。

 てかもう寝る。



 おやすみます。


これにて番外はまた終わりとなります。


次回は未定ですが、気が向いた時など、また書きたいと思います。

それではまたいずれ。

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