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お気づきだとは思いますが、今作の内容は日記ですので、主人公は毎日書いてます。

が、記されているのは、抜粋されたものになります。

 ×××○年 四月十五日


 結局文芸部は作ることにした。

 よく考えたらもともと二つのゲームが混同してるわけだし、今さら文芸部とか小さなことで悩んでも意味ないような気がするし。


 ともかく、部として認められる最低限の人数は四人。

 名前だけでもいいから適当に三人さっさと集めるとしよう。


 とは言え、いくらゲームの関係者を観察したいとは言え、設定にない部に名前だけでも入れてしまうというのは避けたい。

 なので、せっかく友達になったが緋山や東野は誘えない。


 さてどうしたものか。


 と、思ってたら一人の女子が話しかけてきた。

 三日前、東野に泣かされてた女子だった。


 話を聞くと、後日ちゃんと東野から謝罪受けたらしい。


 そして、その時自分が教室から出て行った後の事を他の友達に聞いたらしい。


 で、何かお礼がしたいと声をかけてくれたそうなのだ。


 ……でも正直あの時は、俺が東野と接点でも持とうとしたのと、空気が悪かったからその空気をかえたかっただけで、彼女のために何かしようとしたわけじゃない。

 もっと言うと、その時に「東野が言ったことと同じことを思ってたー」みたいなことも言ってたはずなんです……俺……。


 だから礼なんて必要ない――って言えればよかったんですけど、ごめんなさい! 正直今は願ったりかなったりです!


 名前だけだとしても文芸部に入ってもらえないかとお願いしてみた。

 あまり話したことのない子だったので、緊張して若干噛んだのはご愛顧だ。

一応、特典として時折勉強を教えるというのも付けてみた。


 結果、クスクス笑われたけど、入ってもらえた。

 名前だけでもうれしいものだ。



 とりあえずあと二人。

 がんばるとしよう。




 しかし高校入ってからの数日分の日記を読みなおしたが……日記か? これ。



 ……ま、観察日記だしこんなもんか? 実際に話したこととはいえセリフが多いけど、小説家志望だし、こういう日記もありかな?


 あ、高校と言えば、俺が通ってる高校の名前『桜花流星高等学校』。

 どこかで聞いたことあると思ってたら、ゲームだった。

『キミだケに』の登場キャラが通ってたのは『桜花学院』

『キメわん』の登場キャラが通ってたのは『私立流星高等学校』



 二つの高校が合体した名前だったんだなぁ……。





 ――……安直かっ!!






 ×××○年 四月十六日


 今日文芸部が出来ました。


 昨日に引き続き、文芸部の(幽霊)部員探しをしていると、クラスの暇な奴が一人、名前だけ貸してくれることになった。


 が、もう一人が見つからず、仕方なく最後の手段――ビラ配りを行う。

 開始から五分。入ってくれる方(先輩)が見つかった。


 嬉しかった半面、やっぱりかとも思った。

 入ってくれたのは、以前にも記述した『キメわん』の攻略キャラの一人――『蒼月あおつき智弘ともひろ』先輩だった。


 ゲームでの蒼月先輩は、以前にも記述した通り、重度の読書家で、同時に重度の面倒くさがりだった。

 基本面倒くさがって学校にはあまり来ない。

 来たとしても、結局授業は面倒だからサボって本を読む。

 なので単位はいつもギリギリ。


 生徒会長でしっかり者の幼馴染――『天野あまの霧彦きりひこ』先輩が、いつも蒼月先輩を叱りながら授業を受けさせてたおかげで留年はしてなかったはず。


 主人公が転校してきたあとも蒼月先輩からのアプローチは学校よりも登下校の方が多かった気がした。


 天野先輩の事は置いていくとして、そんな先輩だからゆっくり読書をできる文芸部には入ると思っていた。



 ただ、ビラを配り始めて五分で嗅ぎつけてくるとは思わなかったが。



 その後、顧問の先生もすぐに見つかり、文芸部が誕生した。


 運よく部室ももらい、これで小説家の夢も近づいた気がする。(あくまで気だけ)

 それと、部長は俺になった。


 一応ダメ元で二年の蒼月先輩にお願いしてみたが、予想通り「面倒くさい」と断られた。


 その後すぐに蒼月先輩はと用事で帰ってしまい、俺は一人で今後の活動についてまとめていた。――ただ漠然と部活をやりたいじゃ却下されると思ったので、事前に活動内容、目標なんかをまとめて提出したからだ。


 やることはやっておこうと思う。

 ちなみに最初に入ってくれた女子、藤原さんともう一人の友人は最初から来てない。


 そもそも名前だけと言うことなので構わないが。


 そしてあらかたの年間目標を立てて、帰った。



 帰ってから考えてみると、そんなに活動内容は多くないのに、気が重かった。


 で、もっとよく考えたら実質すべて一人でやることになるからだと気付いた。



 これも名前だけで済まそうとしたせいだ。



 自業自得か。



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