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ギャルゲー乙女ゲー観察日記  作者: 蛇真谷 駿一


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とある姉の独白

番外その一になります。


これはリクエストとか一切関係なく、書きたいから書いた話です(笑)

 私の弟は、ちょっと変わってる。


 そう思い始めたのは、確か弟が七歳の誕生日を迎えたときだ。

 私は弟の、喜んだあとのがっかり顔が見たくて、誕生日プレゼントにはわざと余ったノートを一冊あげた。

 そしたら弟は、一瞬だけ困った顔をした後、すぐに笑顔を取り繕って「ありがとう」と言ったのだ。


 なんとなく子供らしくないなと思った。

 そして同時に、うちの弟は優しくて気遣いが出来すぎるんだと思った。


 でも子供のうちからそんな大人みたいな対応していると、もしかしたらいずれそこを誰かに付け込まれるんじゃないかと心配にもなったこともある。

 例えば、変に人を気遣ってばかりで、自分を後回しにし続けて、悪い女の子にちょっと優しくされるだけで、簡単に騙されちゃうみたいな。


 いくらなんでもそんなことは見過ごせないので、私は弟に徹底的に『女の子が愛想良く接してきても、絶対に勘違いしてはいけない』そして『あんたに優しくする女の子は何かしら理由があっての事だから、それも絶対に勘違いしない』と言うことを教え込んだ。


 ――べ、別に弟を誰か他の女にとられたくないとかではないし。単純に、人が良すぎる弟を守ってるだけだもん。


 ……こほん、私が頑張った甲斐あって、小中と女の子の影は一切見えなかった。

 よし。


 その後もよくある反抗期みたいな態度も見せず中学を卒業した。

 ほんとに子供っぽくないなぁ……と改めて思っていると、高校に入って少し様子が変わった。


 少し……ほんの少しだけ、子供っぽさが出てきた。

 正直、小学校中学校で子供っぽさがなかったのに、高校に入ってから出てくるとは何事か、とは思わなくもないけど、なんとなく楽しみを見つけたようなので、安心はしていた。


 だけど、ちょっと面白くなかった。

 今までちゃんと姉である私がかまえば喜んでくれたのに、最近は友達と遊ぶことを優先しがちなのだ。

 弟が高校一年生の時の夏休みも、せっかく私が弟を、デー……んん、に、荷物持ちにしようと、買い物に誘おうとしたのに、いつのまにかいなくなってるし。


 しかもその夏休みの最中、最も恐れていた事態も起きた。

 弟が女の子を家につれてきたのだ!


 その子は、勉強を教えてもらうということで家に来たらしいが……。

 そうやって、私がその子を見極めようとしていると、弟がすぐに部屋に連れて行ってしまった。

 むむむむ。


 その時は特に何もなかったが、その後も何度か家を訪れることがあった。

 しかも気が付けば、女の子が増えてたりもした。


 こうなってくると、本当に弟が騙されてるんじゃないかと心配になる。


 いずれちゃんと話を聞こうと思ってはいたが、弟にそのことを話す機会がなく、気が付けば弟は高校二年生になっていた。



 このままちゃんと話を聞くことが出来ないのは困ると思っていた矢先、意図せず話し合いの機会を得た。



 それは弟が高校に入って二回目の文化祭の二日前、十月十二日の事だった。

 弟は朝、私が起きた段階で、既に部屋にはいなかった。


 多分朝早くから文化祭の準備に向かったんだろう。

 根は真面目な子だから。


 でもせっかくの休みなのに、寂し……じゃなくて、面倒なことをするなぁ、と思っていたときに、チャイムが鳴った。

 誰かと思ったら、弟が高校に入ってから、一番仲良くなった(と思われる)女の子――藤原さんだった。


 文化祭の準備で一緒に学校に行こうとしたらしい。

 既に向かったと伝えると、残念そうにしていた。


 私はちょうどいい機会だと、少し話をしようと、家に招き入れた。


 そこで私と彼女は、弟の事を話し合った。

 学校や家での生活や、性格や態度など。

 そして、それぞれの想いも聞いた。


 そうこうしている間に、気が付けばもう夕方で、藤原さんも家に帰って行った。


 とりあえず、藤原さんの気持ちは聞いた。

 一応は騙そうとしているとかじゃないのは分かった……けど、なんとなく納得はできないので、妨害はしていくつもり。

 それに他の女の子が弟に近づく可能性もあるし。


 ちなみに、今日自分の事が話題になっていたなんて知らないであろう弟は、妙に疲れた表情で帰ってきた。

 文化祭準備がそんなに大変だったんだろうか?




 今日、藤原さんと話して思った。

 私は知っているようで弟の事を知らないことが多いと。


 なので私は今日から日記を書くことにした。


 そう、私による『弟観察日記』だ!

 今日からしっかり弟を観察して、もっとよく知っておこうと思う!


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