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ギャルゲー乙女ゲー観察日記  作者: 蛇真谷 駿一


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 ××××年 十月十三日


 あー……くそ。昨日は疲れててすぐ爆睡してしまったため、日記が書けなかった。

 悔しい。

 日記を書き始めてから、毎日欠かしたことなんてないのに……。


 …………まあ、過ぎたことは仕方ない。


 とりあえず、昨日と一昨日の出来事を書き記す。





 十一日、妹さんからの電話にでて、一言二言話している途中――俺は、意識を失った。

 と言うか、意識を失わされた、になるのだろう。



 そして次に目が覚めたとき(多分だけど、この時点で十二日になってたと思う)、俺はどこかの一室に監禁……軟禁になるのかな? されていた。


 まあ、拉致られたというわけだ。



 無事に帰ってこられた今だから、こうやって淡々と日記に書いているわけだが、拉致られたとわかった時はさすがに困惑した。


 だがまあ、一度死を経験してるだけあって、なんだかんだで少ししたら冷静になっていた。



 何故俺がこんなことになったかと言うと、原因は……呉島君だった。


 今までも緋山と星海さんの関係が深くなるのを危惧した呉島君。

 と言っても、本当は時間をかけて、裏から手をまわし、二人の距離を離させるつもりだった。


 だが、一昨日偶然目撃してしまった現場で、考えが変わってしまった。


 俺が一昨日見かけた人影は、呉島君だったのだ。

 そして呉島君は、俺が東野に連れて行かれて聞くことが出来なかった、二人の会話を聞いていた(内容までは教えてくれなかった)。

 どんな内容だったかはわからないが、それは呉島君に、強硬手段をとらせるきっかけになってしまったわけだ。


 その強硬手段と言うのが、これ。


 緋山の友人――つまり俺と言う人質を取り、緋山に星海さんへ近づくなと、脅しをかけたのだ。


 俺はお姫様か!


 ――ちなみに何故俺だったか? と、全部終わった後で呉島君に聞いてみたところ、緋山と特別仲のいい友人だったことと、呉島君が俺をかなり警戒していたからだそうだ。

 ……時々、何でも知っているような目をしているように思えたそうだ。


 ある意味、勘が鋭い方なんだろう。でも過大評価だ。

 とはいえ俺は、何でもは知らない。知っているこ……あ、いや、これはあれか……。





 ともかく、結果からいうと、俺は……………………今回の一連の主人公たちの行動を一切観察できなかったということだ!!



 と言うことで、こっからはいろんな人から聞いたことを書き記す。





 まず、俺を(金で雇った部下を使って)拉致った呉島君は、呉島家が管理する空家の一室に俺を軟禁。


 そして緋山に連絡。


 電話を受けた緋山は、困惑しながらも、俺を救出しようと考えたらしい。

 で、まず頼りにしたのは、やはり同じクラスで、天才と呼ばれる東野。


 数日前の事でギクシャクしていたはずなのだが、それでも緋山は東野を頼り、東野も状況を聞き、駆け付けた。


 男の友情とはかっこいいものだが、囚われの身になっているのが俺……と言うところが、残念感を漂わせるな。


 それともう一人、俺の異常を知って動いた人がいた。


 俺が拉致られる寸前まで電話中だった妹さんだ。


 拉致られるとき、電話しながら日記を書いてたところだったので、気絶させられたときに、携帯が転がって物陰に隠れたらしい。

 それ故、呉島君の指示で動いていた奴は、繋がりっぱなしの電話に気付かなかった。


 それにより俺に何かが起こっていると悟った妹さんが、悩んだ結果相談したのは、春風さんだった(後で聞くと、テンパってて警察とかは頭に浮かばなかったらしい)。



 春風さんもそれを聞き、まずは本当に俺の身に何か起きているのか確認しようとしたと。


 だが、俺の住所も知らない春風さんは、よく相談に乗ってもらっていた桐野先輩に連絡。


 緋山と東野も、状況が状況(警察に言うことも許されてない)なので、まずは頼りになる人に相談しようという話になり、こちらはこちらで、天野先輩に連絡。



 ……この時点で六人が俺を捜索し出したというわけだ。


 呉島君は、緋山と東野、そして天野先輩が関わってくるかもしれないというのは予想したらしいが、春風さん等が探し出したのは予想外だったそうだ。



 当然文化祭二日前と言うことで一緒にいた生徒会長の二人。


 互いに情報が伝わり、一度学校の生徒会室に集まり、どうするのかを話し合ったらしい。


 一応、条件の内容から、犯人の目星――と言うか、呉島君だというのは、予想はついていたらしいが、証拠はなく、うかつに警察にも連絡は出来ない。

 などといろいろ話しているときに、運悪くと言うべきか運よくと言うべきか……星海さんが生徒会室を訪れたのだ。


 星海さんが入ったことに気付かず、少し話を続けてしまい、慌てて誤魔化そうとしたが、何故かすぐに事情を把握されてしまったと。

ほかの皆はそのことに驚いていたらしいが、俺の考えでは、星海さんはゲームの前情報を知っているので、呉島蓮の危険性がわかっていたためだと思われる。


 星海さんの助言の下、怪しい倉庫や空き家を虱潰しに探すことになったが、緋山は別方向から探してみると言い、学校を後にしたと。


 さすがに生徒会長二人を、文化祭直前に連れまわすわけにもいかず、東野、星海、春風で捜索することになったらしい。

(妹さんはおうちで待機)



 そして一人別行動をとった緋山が何をしたかと言うと…………何と四葉家を訪ねていた。


 四葉家はこの町一帯に強い影響力を持つ名家(ゲーム情報)。


 もちろん緋山は、それは友達の――親の力をあてにした、最低な行為。と言うことを自覚したうえで、四葉家を訪ねていた。

 嫌われたとしても、仕方ないとわかったうえで。


 緋山は、それなりの覚悟をもっていたそうだ。



 まあ、あっさり四葉さんが了承してくれたわけだが。


 四葉さんいわく、「お友達がお友達を助けるのにお友達を頼るのは当たり前ですよ」だ、そうだ。

 四葉さんは四葉さん本人ではなく、四葉家の力をあてにした緋山に対して、にこやかに「頼ってくれてうれしいです」と言い切ったんだと。




 その甲斐あって、本当に俺が軟禁されている空家を見つけ出したというのだから、四葉家ってとんでもない(どういう手段を使ったのかは聞いてない)。


 そして緋山はそのことを誰にも言わずに、そこに向かったそうだ。


 この話を聞かされた時、超主人公してる! と思った。





 …………が、その後の事は教えてはくれなかった。


 俺が軟禁状態から解放されたのは夕方だった。

 この時点で、緋山と呉島君の他に、星海さんと東野と春風さんも一緒にいたので、緋山が一人で乗り込んだ後に、三人も俺がいる場所を見つけだそ、合流したのだと見当は付く。


 だが、緋山と呉島君がどういう話をし、どのタイミングで三人が合流し、どういう結論が出たのか。

 さすがにそこまでは教えてくれるわけもなかった。

 ……そりゃそうだろうけど……!



 完全に、一番重要な部分を、観察どころか、知ることすらできなかったというわけだ……っ!!


 とても残念でならない……。




 それと、呉島君への対応は……もう二度とこういったことはしないという言質をとった…………だけという、言ってしまえば、お咎め無しだった。


 これは、俺自身特に被害があったわけじゃなかった(むしろ用意されてた食事がすごくおいしかった)ことと、恐らく緋山達との話し合いで、何らかの決着がついたためと思われる。


 それに、呉島君の親は名のある政治家で、恐らく今回の事を警察に言ったところで、もみ消されて終わりのような気もする。




 ……それと、十三日――今日だが、ほぼ一日文化祭準備をがんばった以外何もなかった。





肝心な部分は何も観察できてなくてすみません!

さすがにそこまでは教えてくれないかと思いまして……。


別な人が捕まって、一緒に探しに行くパターンも考えたんですが、しっくりきませんでした。



この時の会話なんかは、いずれ気分が乗った時にでも書きたいかなと思ってます。

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