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××××年 十月十一日
今日の教室は不思議な空気だった。
……そう感じていたのは恐らく昨日の関係者だけだろうが。
とは言え出来事としては、別段何も起こらなかった。
昨日の発端となった春風さんも、いつもと同じように振る舞っていた。
まあ、俺から見れば無理しているようにしか見えなかったが。
ただ、周りが――と言うか、緋山、東野、星海さんが妙にぎくしゃくしていた。
互いに話しかけることはなく、ただ妙な緊張感のまま、一日を過ごしている様子だった。
結局、放課後まで何もなく、放課後は放課後で、皆そそくさと家路について行った。
で、今この観察日記には、内容と呼べない内容を書いている。
当たり前だ、何も起きてないし、そもそも観察が出来てない。
…………はぁ、残り三日で文化祭なのだが……もしかしたら、何も起きないかもしれない。
それはそれでそういう現実だった……で済む話ではあるが、納得できない部分の方が大きい。
……それはあくまで、俺個人の感情なわけだが。
ぬ、こんな夜遅くに電話だ。
一体どこの誰だ、こんな失礼なことをするのは。
――妹さんか。
……どうせなら日記に電話の内容を書きながら話してやろうか。
よしそうしよう。どうせ今日はたいして書くことはないからだ。
今電話に出た。
内容をここに記―――~~―――――
××××年 十月十二日




