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ギャルゲー乙女ゲー観察日記  作者: 蛇真谷 駿一


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30


 ××××年 十月四日



 と言うわけで二週連続アポなし自宅訪問でした。



 そう、ドアを開けた冷たい目をする緋山に、にこやかに伝える。



 危うくドアを閉められそうになったが、何とかとどめる。


「今日は何の用だよ」


 ほう、そんな態度でいいのか? お土産にカップ麺を持ってきてやったのに。

 そう言い、袋から物を取り出す。


「いらっしゃいませ! 救世主!!」

 うむうむ、それでいい。



 緋山の家に来たのも昼過ぎ。外からは旨そうな料理の匂いも漂う時間帯だ。



 無駄話もあれなので、唐突に本題に触れてみた。



「よう、最近妙に星海さんの事気にしているようだけど、なんかあったのかー?」

「!!??」


 なんかめっちゃ驚かれた。


「な、なんで……?」

「いや、なんでって、見たらわかるし」


「あ、いやそうじゃなくて……なんでそんなこと聞くかってこと」


 ……ああ、星海さんの事を俺が気にしてるのかってことか。

 もしかしたら春風さんから何か聞いてたのか?(誤解されたままの話の事を)



「いや、なんとなく気になってな。お前も星海さんも人気あるし」


「人気……やっぱりあるのか、星海さん……」

 あれ、なんか勝手に落ち込んでいる。



 なんかどんよりし始めたので、突っ込んだ話を聞いてみるとポロポロと本音を吐きだし始めた。(ええ、もちろん容赦はしません)



 何でも東野や春野さんと混じって昼食をしたり、陸上部や文芸部(瀬戸さんと蒼月先輩との付き合いだろう)の関係で星海さんと話すことが増えたりで、気が付けば目で追っていたらしい。(しかもつい最近なんて、俺の知らない間に星海さんと蒼月先輩、緋山と瀬戸さんの図書館イベントのブッキングがあったらしい……それは見たかった)



 中でも自分の夢について熱心に話す星海さんに、周りの女子にはない強い意志のようなものを感じ、妙に気になっているそうだ。


 それはそうだろう。

 それは本当に強い意志を込めているだろうし、熱心に自分の夢を話すのは、その場にいる攻略キャラに、自分の夢を邪魔することはさせないというアピールなのだから。




 そこまで聞いたところで、緋山が正気に戻った。


「……はっ、おおお俺はいったい何を言って」

「気にスンナ。最近何だかんだでそういう話ばかり聞いてたから、俺は気にしないぞ」



「うわぁぁっ! 忘れろ!」

「いやだベンベン」



 その後なんだかんだ根掘り葉掘り聞いてみたが、さすがにもう答えてはくれなかった。



 気が付けば夕方だったので、帰った。


 玄関を開けて少し歩くと、何やら色々タッパを持った春風さんと遭遇した。

「あ…………」

「ああ、春風さん。緋山に差し入れですか」



 春風さんの持ち物から旨そうないい匂いがしたので、間違いないだろう。

 一応カップ麺は二個持って行ったが、やはり必要なかったようだ。



 ただ当の春風さんは妙に気まずそうに顔をそむけていた。



 ……ああ、恐らく恥ずかしいのだろう。


 男の家に料理を持っていくなんて……通い妻か! ……うらやま。



 引き留めるのも変な話なので、早々に分かれ、家路についた。





 しかし、緋山の話を聞いたときもそうだけど、本当に俺は観察できてないな!







 ……まあ、過ぎたことだし、そもそもそこまで観察してたら、ただのストーカーか。




そろそろ佳境です。

終わりが見えてきました。


感想、お待ちしております。

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