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××××年 九月二十七日
学校は休みだけど、緋山に話を聞いてみることにしました。
「それで、どうしたんです? 友達さん」
まあ、緋山は緋山でも妹さんだが。
と言うか緋山の家にアポなしで遊びに行ったら、本人はおらず妹さんだけ家にいたので上げてもらった。
「どうぞ! お兄ちゃんもいなければ両親も出かけてるので私一人です。いかがわしい行為をするのであれば今のうちです!」
――頭を叩いておいた。
俺の記憶が正しければ、ゲームでの妹さんは、情報通で主人公に好感度を教えてくれるキャラだったはず。
なのでそれとなく、緋山の女子からの好感度を聞いてみた。
「え!? 友達さんはお兄ちゃんの事が好きなんですか?」
気持ちの悪い勘違いをされた。
――頭を叩いておいた。
知り合いの女子が緋山に興味を持ってて、友達である俺に探りを入れさせてるんだ。
と、適当な設定を元に妹さんに情報を求める。
「でも友達さんはその女子の方に片思いをしていて、内心複雑ながら私に聞きに来たわけですね。わかります」
「勝手なドラマ展開!!」
そんなやり取りを数分繰り広げた後、本題に入った。
「うーん、お兄ちゃんはここ最近妙に人気が出てまして……何と言うか、モテ期? ですかねー? 学校内の美人さんとお兄ちゃんが仲良くなりつつあります」
それはまあ知ってる。同じクラスだし。
「昨日も何かソワソワしながら朝学校に行ったと思ったら、女の子と登校してたって聞きました。中々節操なしの兄です」
俺はその話に苦笑いした。
「なのでその知り合いの女子さんには、「今の所はハードルが高い」とお伝えいただければいいかと」
なるほどありがとう――と礼を言い、最後に尋ねてみた。
「ところで当の本人は誰か本命がいるのか? あ、これはその女子は関係なくて、俺に個人的興味な」
「うーん、それは最近私も気になってたんですけど、頑なに教えてくれないんですよ」
ふむ。まあそれは家族には言わんか。
「あ、でも昨日の登校時はいつもより緊張してた気がしますね。もしかしたらその人が本命かも?」
……ほう…………マジか。
「友達さんはお兄ちゃんが誰と登校してきたか知ってるんですよね。誰です? もしかして鈴姉ですか?」
鈴姉とは春風さんの事だろうか。
妹さんが聞いてきたので昨日誰ときたか言おうとしたとき、
「ただいま」
と緋山が帰宅した。
妹さんは本気で残念がっていた。
そして緋山は俺を発見。
「……何やってんだ?」
「暇だったから遊びに来た。でもアポなしだったからいなかった」
「なので友達さんは私とおうちデートしてました」
なんでやねん。
「妹はやらんぞ」
「本気にすんなよ」
その後は例のごとく三人で対戦ゲームをして一日が終わった。
俺の圧勝だったことを記しておく。




