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××××年 九月十三日
今日は土曜……つまり休み…………つまり藤原さんの宿題のお手伝いと、ご飯を奢る日だった。
宿題はそれほど量があったわけじゃなかったので、幸い午前中で終わった。
そしてお昼を奢るわけだが、無難にファミレスにさせてもらいました。
……男子高校生は常に金欠です。
読書が趣味の奴ならなおさらです。
と、恥を忍んでお願いしただけあり、クスクス笑われましたが、安めのファミレスで許可をもらいました。
その上割り勘でもいいと、天使のような発言もいただきましたが、そこは奢るという約束なので破るわけにはいきませんでした。
ファミレスを後にした後、ついでと言うことで藤原さんの買い物に少しだけ付き合うことになった。
と言っても本屋を少し廻りたいとのこと。
最近は俺のおすすめを聞いて来たり、俺がどういう話が好きかを聞いて来たりしてたので、薄々気づいてたが、どうやら文芸部に入り、本を読んだり、少しでも文を書いているうちに、本が好きになったらしい。
本好きの私としてもうれしい限りです。ええ。
その後もフラフラと店を巡ったりして一日を過ごした。
途中幽霊部員と遭遇したが、訳の分からないことを喚いていたので無視して離れた。
結局今日一日歩き回ることになってしまった。
結構疲れたが、楽しかった。
××××年 九月十六日
今日は緋山を観察していた。
この連休で何か各キャラと進展があったのだろうか、同じクラスの春風さんはもちろん、奥仲さんや桐野先輩も緋山を訪ねてクラスにやってきていた。
だが当の緋山は話している間は楽しそうにしてはいるものの、ふとした瞬間に、物憂げに考え事をしているような表情をしていた。
もしかしたら自分の行動に疑問を持っているのかもしれない。
緋山は星海さんよりも攻略キャラと呼ばれる女子たちと会う機会が長かったからか、初めて会ったときに比べると、この世界がゲームその物ではなく、ゲームのキャラが生きている世界だという認識が強くなっているように思えた。
だからこそ、もしかしたらゲームのシナリオとしてではなく、自分自身でいろいろな人間と接点を持ちたいと考えてるのかもしれない。
…………まあ、あくまで俺の推測でしかない……というか、他人の心情を小説っぽく適当に書いてみただけなのだが。
……まあ、なんにせよ緋山の悩みは多分モテる男の贅沢な悩みなわけですよ。
勝手に観察しておいてなんだが、たまに緋山が羨ましくなる。
可愛い女の子と仲よさげに話して、リア充しているわけですよ。
そしてどんな考えがあるにしろ、最終的には彼女とか作ったりもすると思うわけですよ。
ほんと羨ましい。
うーん……俺も彼女ほしいなぁ……まあ、俺じゃあ無理だろうけど。




