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××××年 九月八日
観察していたが、特に何があったわけじゃなかった。
しいて言うなら、今日は春風さんと東野が話すことが多かった。
どうやら例の事を無事に相談できたらしい。
緋山はそれを不思議そうに見ている。
――気になるなら聞けばいいのに。
星海さんは東野の唐突な行動に気が気じゃなさそう。
ちなみに相談を受けている春風さんは、何かに気付いたのかチラチラ俺の様子をうかがっていた。
……特に気にするようなことはありませんが?
放課後部活に行くと、藤原さんと玉井君が真剣に何かを書き、その横で蒼月先輩がぱらぱらとほんのページを捲っていた。
藤原さんは今年の文化祭の部誌で、長編小説に挑戦していた。
締切間近ではあるが、もう完成は近いらしい。
玉井君と瀬戸さんは短編を一つずつ書いており、彼らももうすぐ終わるらしい。
瀬戸さんはラストスパートを家でやりたいと、早々に帰宅したとのこと。
そして蒼月先輩も今年は部誌づくりに参加してくれ、既に二作品短編を書きあげてくれていた。
去年はほとんどを俺一人で終わらせたが、今年は短編一つと長編一つ。
後は漫研などと細かい話し合いをして終わり。
うーん、今年はだいぶスムーズに部誌を作成できそうだ。
××××年 九月九日
今日は放課後に呉島蓮が教室へ現れた。
どうやら星海さんに会いに来たらしい。
随分と気に入られたものだ。
と完全に傍観しているつもりだったが、嫌そうな顔をしていた星海さんが周りを見渡し、たまたま目があった俺を指さし、
「と、友達と用事がありますので!」
と言い出した。
……え。
って思った。
どこぞの宝くじCMでの妻○木くんのような気持ちの俺をよそに、呉島蓮が俺に意識を向けてきた。
「……おや、貴方は以前校門で……」
げ、覚えてやがった。
忘れてると思ったのに。
そんな呉島蓮のつぶやきが聞こえたのか聞こえなかったのか、「ほらほら行きましょう」と星海さんが俺を引っ張り、教室を出た。
そのまま帰宅しようとする星海光。
このまま利用されっぱなしもあれなので、「ちょい待って、元々一緒に帰る予定だった友達がいるんだけど」と言い――東野を連れてきたやった。
案の定口元を引きつらせる星海さん。
ついてないとか思ってるんだろう。……残念、これは仕組まれたのです。
ちなみに東野はこの日、かなり機嫌がよかった。
なにやら地味にお気に入り件数が少しずつ……ほんの少しずつ伸びてたりします。
毎日更新だとそれなりに見てもらえるんですねー。
ありがたい限りです!
感想もいただけると嬉しかったりします。




