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ギャルゲー乙女ゲー観察日記  作者: 蛇真谷 駿一


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 ×××○年 十月十四日


 文化祭一日目だった。

 文芸部の活動で、部誌を発行し販売した。

 この学校の文化祭は一日目二日目共に、一般公開しており、二日目の最後に後夜祭がある(それは学校関係者のみ)。


 俺も二か月前から準備していたが(やる人が今のところ俺しかいないため)、流石にギリギリでこの日を迎えたわけだ。


 藤原さんは、自分も部員だしこれも経験だといい、短編小説を一つ書いてくれることになり、彼女もまた、締切ギリギリで提出してくれた。

 後は部誌の残りの内容(大体百ページくらい)を書いたり、挿絵や漫画などを描いてもらえるよう漫研に交渉したりは自分でやった。


 意外とできるものだと我ながら感心してしまった。


 ……来年のこの時期は自分自身もっと忙しくなりそうな気がするので、ちゃんとした部員を探しておこうと思う。

 このままだと来年は死ぬな。


 ただ、準備に時間をかけたところで、売れないものは売れないと思っていた。

 正直前世で、学園祭中文芸誌や部誌を買ってる人はあんまり見たことなかったので、元々四十五部(学校保管用と部員と顧問の分も含めて)程度しか発行はしなかった。


 結果、今日一日で売れた数は、二十一部。

 意外と無くなったと思う。

 といっても、半分以上は東野や緋山を含めた友人や先生。後は前に部室に来た生徒会メンバー二人だった。

「文芸部の活動視察のついでに、小説の出来を見にきたわ」とのこと。


 マメだ。

 そしてちょっと嬉しい。


 ――ちなみにその時、天野先輩が一通りページを捲り、「……あのバカが先輩であろうと、君が部長であいつが部員なんだから、こういう事はちゃんと手伝わせてくれ」と力強く言われた。

 桐野先輩は、それを見て苦笑いだった。


 それと、四葉さんも買いに来た。

 今日は意外と元気そうで、仲よさげに藤原さんと会話していた。

 聞いてみると藤原さんは四葉さんの四人目のお友達だそうだ。

 いつ知り合ったのかは聞けなかったが。



 それはそれとして、途中で顧問の先生が、受付を変わってくれるとのことだったので、お願いして、教室に行ってみた。


 そろそろ限界なので、寝ようと思ったからだ。

 教室に着くと、クラスメートに引っ張られてしまった。

 よくわからなかったが、疲れているので休みたいと言ってところ、教室内が暗いのでゆっくり休んでくれと言われた。


 ありがたく休ませてもらった。


 少し休んで体力が戻った俺は、フラフラうろついた。

 予定がなかったのか藤原さんと四葉さんもついてくる。


 ……結果的に三人で回ったことになるのかな?






 ×××○年 十月十五日


 文化祭二日目。

 今日はさすがにあまり売れないと思った。

 昨日で知り合いがほとんど顔を出したからだ。


 そう思っていたのだが、九部売れた。


 意外と減った。


 どうやら、来年ここを受験しようとしている。もしくはそれを悩んでいる中学生や、他校の文芸部員が、参考のために買って行っているようだった。


 これは知り合いが買っていくのとは違った嬉しさがあった。

 正直感想を聞きたくて仕方がないが、無理だろう。

 来年新入生で読んでくれた人と知り合いになれれば、ぜひ感想を聞きたいものだ。


 後夜祭は、残念ながら参加できなかった。

 と言うか、参加しなかった。


 元々、中学時代の友人と遊ぶ約束が入っていたのもそうだが……後夜祭は基本的にリア充が多いので、一人身にはなかなか辛いものがあるのだ!



 しかもそんな空気を悟られたのか、藤原さんが俺に気を使って後夜祭に誘ってくれるという、何とも恥ずかしい事態にまでなってしまった。



 藤原さんには予定が入っていて参加出来ないことのお詫びと(気を使っていただいた)お礼をし、そそくさと家路についた。

 次会うとき何かお詫びの品でも持ってかないと。――今度はお菓子以外にしよう。


 ちなみに緋山も今年は参加せずに、帰ったようだ。

 来年に備えるんだろうな。うん。


 俺が確認できた限り、生徒会二人以外はみんな帰ったぽかったし、残らなくてもよかったとは思った。




 ――…………そういえば、今思い出したが、今日部誌を買いに来た中学生の中に『キミだケに』の後輩キャラはいただろうか……。


 自分のここぞというときの観察力不足にうんざりした。


 うう。



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