神様入門2
「俺が…神様?」
思った以上にスケールのでかい話だ。
「神様は良いぞ。最低限のルールを守れば自分の世界でやりたい放題。世界各地の名産品を貢がせたり生け贄にカワイイ女の子を貢がせてもいいぞ」
どうやら自由度は高いようだ。
「リスクは?」
「う~ん。まあ仕事だから世界の管理は絶対やらなきゃいかん。あと不死身になることかな。まあ神になれば魂の総量は大幅にアップするから仕事もすぐ覚えられるし、不死身も苦にならんと思うぞ」
リスクもあまり無さそうだ。
「これを逃すともう二度と無いと思えよ」
なら、これを逃すと手は無い。
「やります。神様やります」
「神の仕事は世界を管理することだ。そのためだけにいるといっても過言では無い」
神様は食事を終え、テーブルを一瞬で消し去った。
「詳しい経緯は知らん。全て最初の神がやったことだからな」
神様が俺の目の前まで歩いてくる。
背伸びして俺の顔に手をかざした。
「頭に手が届かん。ひれ伏せ」
「はい」
神様はひれ伏した俺の頭に、手をかざした。
「ん、終わった」
はやっ!
「え?もう終わったんですか?神様」
「なんだ?もや足りないのか?それから、神様は止めろ君も神だからな」
それもそうか。
「じゃあなんて呼べばいいんですか?」
「そうだな、まあこれから色々教えるし師匠とでも呼びな」
「じゃあ師匠で」
「よし、行くぞ」
「行くって?何処に?」
「世界の維持だ」
「え?もうですか?」
「説明はしてやる。初めてでも出来る神様入門だ」
師匠が俺の手をつかんで一歩前に踏み出す。
真っ白な部屋にいたはずだが一瞬で真っ黒で重力すら存在しない空間に変わる。
「瞬間移動!?」
「違う。魂はあの部屋にある。さっきの部屋よりも一個下の層だ。要するに君がいた世界の平行世界の一つだ。魂から表面の意識を切り離してこの世界で実体化したものだ。幽体離脱ならぬ肉体離脱と言ったところか」
「はあ…」
意味わからん。
「申請は済ませておいた。此処の世界は君が管理しろ。君の記念すべき最初の天地創造だ。とりあえず太陽を作れ」
太陽!?どうやって?
「言葉にすればいい。とりあえずヤハウェがしたように言え」
「え~と、光あれよ?」
何もなかったところに火の玉が出来た。
「よし、この程度の世界なら慎重になることもない。ちゃっちゃと進めよう。」
師匠が虚空から長い棒を取り出してこっちに投げる。
「使え、それで混ぜろ」
「混ぜるって何を?」
「光の周り。さっさとやれ」
俺はそれを受け取り、それを使って虚空を混ぜた。徐々に手応えがでてくる。
「なんか水っぽくなった?」
「よし、水が出来たな。高速回転!」
限界の速さで回し続ける。
神ボディーのおかげか全く疲れない。
混ぜているうちに跳ねた水が太陽の光を反射し、キラキラとひかり始めた。たぶん星になるのだろう。
「この辺で良いだろ」
太陽を中心に外側に泥々したほとんど固体のものが、内側にしゃばしゃばした液体が帯状に漂っている。
「ちゃんと海と陸に別れたな。君、世界の土台が出来たぞ泥々したのが陸で水が海だ」
「あれ?宇宙と地球じゃないんですか?」
これじゃあ天地の位置が逆じゃないか。
「これが一番楽なんだよ。覚えておけ遠心分離式だ。これでコロニー型世界ができる。昼と夜が無いと困るから陸が渇かないうちに捻ってメビウスの環にしとけよ」
世界を切って片方を捻ってまた繋ぎあわせる内側にあった水が外側に流れ始める。同様に今まで外側だった部分に内側の水が流れていく。
暫くすると水が均等に行き渡って陸の出っ張った部分が水の上に出てきた。
「よし、次は生命を作れ。陸の一部を粘土にして作るのさ。最低限食物連鎖が続くようにしろよ」