パワハラ上司によるありがたいお言葉
※ここからは、パワハラ上司が語ります
頭が高いぞ貴様ら。控えろ、頭を垂れて這いつくばれ。平伏せよ。
……随分と楽しそうではないか。
何故に仕様をそれほど追い求めるのか。
ランキング。係数。更新補正。アドスコア。チアスコア。ギフト。分配レート。文字数の最適解。ジャンルの優位。
お前たちは一体、何と戦っている。
(そんな事を俺に言われても……)
『そんな事を俺に言われても』。何だ? はっきり言ってみろ。
(……まずい、考えが読めるのか!?)
何がまずい? 言ってみろ。
「お許しくださいませ……上司様……! どうか……どうかお慈悲を……!」
黙れ。
(下っ端はトマトみたいに潰れました)
仕様、仕様、仕様。お前たちは一体、何と戦っている。
仕様などすぐに変化する。いったい何度、変わったと思っている?
更新が強い月もあれば、そうでない月もある。短い話が伸びる時もあれば、長い話が読まれる時もある。異世界が王者の時もあれば、現代が熱を持つ時もある。レートは揺れ、棚は動き、読者は移ろう。
運営の手によって、お前たちの小細工などすぐに無効化されるのだ。
戦場を知ること自体は悪ではない。地形を見ずに突っ込む者はただの愚者だ。読者の傾向を知るのも、文字数を考えるのも、どこで戦うかを決めるのも、全て必要だ。
だが。
それを目的にするな。
お前たちは、いつも順序を間違える。
係数が先にあり、作品が後にあると思っている。レートが先にあり、面白さが後にあると思っている。ランキングに乗る方法が先にあり、何を書きたいかが後にあると思っている。
逆だ。
書くべきものが先にある。作品が先にある。読者へ何を届けるかが先にある。
戦略とは、その後に考えるものだ。
なろうチアーズプログラムは更新を好む。カクヨムロイヤルティプログラムはストックとファンを好む。結構だ。ならば、それぞれに合わせて戦えばいい。
だが、お前が書く理由まで、システムに決めてもらうな。
更新補正のために書くのか。アドスコアのために書くのか。ギフトのために書くのか。違うだろう。
お前は何のために書いている。
楽に稼げそうだから、ではないはずだ。
仕様に最適化した方が効率がいいから、でもないはずだ。
お前が書くのは、書きたいものがあるからだ。面白いと思うものがあるからだ。読ませたい場面があるからだ。どうしても言葉にしたい何かがあるからだ。
そこを捨てた時点で、お前の負けだ。
知っておけ。考えておけ。分析しておけ。それ自体は正しい。
だが、それは作品の魂を殺してまで優先するものではない。
作品が先だ。戦略は後だ。
魂のない最適化は、いずれ見抜かれる。
読者は愚かではない。数字の小細工では釣れても、定着はしない。残るのは、結局“読ませる力”を持った作品だけだ。
なろうとカクヨムの違いを知ることは大事だ。どういう文字数が好まれるか、どんなジャンルが強いか、更新が重要か、完結作が資産になるか。それらを知ることには意味がある。
だが、それを知った上でなお、“自分は何を書くのか”を決めろ。
なろうで書くもよし。カクヨムで書くもよし。両方で書くもよし。
だが覚えておけ。
運営が『正しい』と言った事が『正しい』。全ての決定権は運営にある。
運営は何も間違えない。
全ての決定権は運営にあり、運営の言うことは絶対である。
お前に拒否する権利はない。運営がルールを変えれば、それに従うまでだ。
だから、仕様に最適化するなど無意味だといっているのだ。一時の数字の増減に一喜一憂してどうなる。
しかし、その上でなお、何を書くかを決めるのはお前だ。
制度は変わる。棚は変わる。流行は変わる。だが、お前が“書きたい”と思った核だけは、簡単に他人へ渡すな。
自分が勝てる場所を選べ。だが、勝てそうだからそこへ行くのではなく、“自分の武器が最も届く場所”を選べ。
覚えておけ。
稼ぐために書くのではない。
面白いものを書いた結果、稼げるのだ。
分かったらさっさと行け。こんなところで油を売っている暇があったら、一行でも多く書け。お前の作品を待っている読者がいるのだろう?
……お前が成功することを期待しているぞ。
結論:なろうチアーズもロイヤルティも気にせず、好きな場所で好きなように書けばいいよ。




