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キオク

何も知らない は ある意味幸せだ…

だけどそれは真実から背中を向け続ける事でもある気がする

「最初は歌声にばっかり気を取られたけど、とにかく声かけたの」



「ねぇ!こんな所で何してるの?」って

薄く光る街灯に照らされたその姿は凍える寒さの中

半袖短パン。靴も履いてない。

よく見たら顔、手や足がアザだらけだった…



え…ハルが!?

驚きと衝撃で瞬きするのを忘れていた…



「とにかく危ないから手すりから下ろして。上着を着せて

私も動揺してたけど、何とか冷静になろうと思って話かけた

「お名前は?…このアザ…お家の人にされたの?」


最初は何も答えてくれなくて、ずっとうつむいてたけど、だんだんポツリポツリと言葉を発してくれて…


「ハル…は邪魔だから…」

「ハルちゃんってお名前なのね」

コクリッとうなずいて


「お父さんとお母さんからそう言われたの?」

「…うん 」


「この時の私はもう本当にこの時この子を絶対何とかしなきゃ、助けなきゃ!!って思って。無我夢中でその足ですぐ色んな所に行って手配して。色々大変だったけど、

ハルはそのあと施設に入る事になったの。

そしてその数年後、ハルの両親は事故で亡くなったって連絡が来たの。


それからも様子が気になって頻繁に良く会ってて、ハルが中学生になった時に、歌声がずっと良かったのが忘れられなくて歌手に興味あるか聞いて、それからボイストレーニングのレッスンとか始めたのが歌手としてのスタート。」



愕然とした…

ヒカリさんが話てくれた事がにわかに信じられなくて…

ハルの人懐っこい感じと明るい性格。そして華々しい歌手活動。

きっと生まれた時から恵まれた環境で育って、スター街道まっしぐらだったんだろうな、なんて

平和ボケした一般人の俺は思ったりした…

俺は平凡な家庭、ど田舎で何も無い所だったけど何不自由なく育てられた。


俺はとんでも無い馬鹿だ…

誰もが普通の人生を歩める訳じゃない

自分が上手くいかないからって色々な事を言い訳して生きてきた

【平凡】は奇跡だ…

ありふれた普通の家庭に生まれるのも

家族仲が悪くないのも

自分の心配をしてくれる身内がいるのも


当たり前過ぎて気がつかなかったんだ…



「色々驚かせちゃったわね…」


「あ…いえ…お二人の関係は単なるアーティストとマネージャーじゃ無いですね」


「私はハルと出会えて本当に良かったと思ってる。人の縁て不思議だけど、それが色んな事に繋がって人生を豊かにしてくれたりするのよね…

ハルと一緒に私も成長させて貰ったわ」



「あの、それで…なぜハルは引退を?」


ヒカリさんはひと呼吸おいて


「それはハルに会ってからの方が良いと思うわ

。これは今居るところ」

そう言ってメモをくれた


「え!?あの…良いんですか?俺なんかにこんな大切な事を…なんでこんな色々。部外者なのに…」


「ハルにとってキミは部外者じゃないって事よ」


「??」

ますます分からない…



帰り道…

ふと…大きな橋が見えた


ヒカリさんに出会って無かったらきっとハルはその時…

言い表せない気持ちが沸き上がっていた




それから数日後、メモに書かれた住所を見てハルに会いに行くことにした。


いきなり行っても大丈夫なのか…?とか色々思ったけど、とりあえず行ってみよう…


住所に書かれた街は都心から離れた郊外の緑が沢山ある自然豊かな街だった。

都会の喧騒など無い穏やかな所だ。


そして小さな庭のある、こじんまりとした一軒家にたどり着いた


庭には色々な花が植えてあった。


ここで合ってるよな?

おそるおそるインターホンを鳴らす


ピンポーン



誰も出てこない…


そうなだよな…いきなり来ても…


帰るか…


と、思っていると


庭の奥から人影が現れた。


Tシャツにデニムのラフな姿

ハルだ!!


一気に緊張する…


「あの… ハル!!」


少し驚いた表情だったけど、すぐに柔らかい笑顔になったハルがこちらに歩いて来た。



最後のライブから初めて会うハルだった











キラキラとしたスポットライトのそばには影もある


その影に気がつく人も一生気がつかない人もいる

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