表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

忘れられない日

昔、とあるアーティストが言っていた。

ソロは自由だけど、【孤独だ】と…

8月31日。雲ひとつない快晴

ハルのライブ当日


昔はちょくちょく勉強もかねてライブも見に行ってたけど、最近は行く余裕も無かったから久しぶりだ


やっぱり生で聴く音は全然違うし会場全体が1つになる感じも好きだ


ハルの全国ツアーの最終日。会場までの道のりを沢山のハルのファンが歩いていた

凄いな…改めてこんなに皆が聴きに来る歌手と俺は普通に会話したり一緒に歩いたりしたんだよな…

いまだに信じられない…


会場について席を確認したら真ん中の良すぎる席だった。今までライブでこんなに歌手と近い席に当たったためしが無い。特等席だ…

ハルが良い席を用意してくれたんだろうな…ありがたい


始まる時間が近づいて来てなんか緊張して来た

ファンの人達もワクワクして待っている

ハルのライブどんな感じなんだろう…


フッとステージが真っ暗になった。

数秒後、アップテンポなイントロと共に会場から一斉に声が上がる。地響きのような音が突き上げて

ハルの高音が高らかに響き渡り、照明が一気にステージをキラキラ明るくさせた


ハルの登場で会場の温度がグンッと上がった

…スゲェ 本当に歌手のハルだ…

いや…当たり前なんだけど、

普通に会話してたのが幻かのように思える

目の前で歌うスターを前に頭が混乱していた


そして言わずもがなハルの歌唱力は凄い

全く狂わないピッチ、化け物かと思うほどの声量

パワフルで綺麗な歌声は一体どうやって出してるのか…それでいて音域も広くて柔らかな声も出る。

[クチから音源]て聞くけど、まさにソレだ。

生で初めて聴く声は体全部に響き渡って、一瞬たりとも目が離せなかった

本物の天才だ。歌を歌うために生まれて来た人だ。

俺はただただ目の前のアーティストに感動した



ハルは歌詞の1つ1つ、気持ちを込めて丁寧に歌っているように感じた

想いを伝えるように 届けと願うように…


周りのファンの人達は本当に盛り上がっていて、会場が1つになっていた

盛りあがる曲、バラードもありのハルのヒット曲を余すことなく詰め込んでいる。

ファンのリクエスト投票で決めた曲も歌っている


ハルはメディアの露出はほとんど無く、謎多き歌手だけど、ファンへの想いを曲に作ったりファンレターへ返事を送ったり、ファンの事をとても大事にしていた

ちなみにライブ前に色々調べた



あっという間に2時間がたっていた

ブレイクタイムで新しい衣装に着替えたハルが出てきた


真っ白いドレスのような…シンプルだけど凄く似合っていた。普段カジュアルなスタイルがステージでも多いと聞いてたから珍しいんだと思う。一気にファンの黄色い歓声が響きわたった

挿絵(By みてみん)

深呼吸したハルが

「次で最後の曲になります。」


ここまでトークの時間はあまり無かった

最小限の紹介と挨拶くらい

そもそもハルのライブはいつもそうらしい…



「今日は来てくださって本当にありがとうございます。皆さんと一緒にかけがえの無い時間を過ごせてとても嬉しいです。私はいつも皆さんに支えられてきました。感謝の気持ちでいっぱいです」


「生きていると日々辛い事や悲しい事があったり、どうしようもない孤独や不安が押し寄せて来る時もあると思います。

そんな時は無理せずに自分の心と身体を第1に考えて下さい。頼れる所は頼って自分自身を大切に労って下さい。

約束ですよ」



「そして私の歌で皆さんの気持ちを少しでも癒せたり背中をおせていけたら、とても幸せです。」


数秒後イントロが流れた

ハルの1番の人気曲

壮大なバラード。


溢れんばかりの歓声が会場いっぱいに響きわたる


ハルの透き通る声が一段と輝きを増していた

周りの人達は涙を流しながら聞いている


ハルは皆の顔を見るように、遠くの客席にも届けるように歌ってる


2時間歌ってるのに声が枯れる事無く、むしろ伸びやかになってる気がした



ラストのサビ

周りが暗くなりスポットライトがハルにあたる


アカペラで歌いはじめた


声がダイレクトに体に響いてきた

全身の血が沸き立つような感覚

鳥肌?なのか何なのか分からないくらいゾワッとした

こんなの今まで感じた事無い

瞬きするのも忘れるくらい目が離せない



そしてラストのメロディーでハルのロングトーン


全身全霊の力を放ったような歌声

魂込めた声が響き渡った


ハルは肩で息をしていて、本当に全部の力を使ったようだった



会場が静寂に包まれていた

誰もが皆、その感動の余韻から呆然としていた



しばらくしてソレは溢れんばかりの拍車喝采に変わった。


本当にスゲェ…本物だ…本物の歌手を目の当たりにした。

足が棒立ちになってかすかに震えている…


語彙力が無くてふさわしい言葉が浮かばないけど…凄い瞬間に立ち会った



そして確信した。


俺もあんな風に誰かを感動させられる歌手になりたい!やっぱり歌が好きだ!!



ハルは息を整えたあと、深々とお辞儀をした

10秒くらい?いやもっとか…長いお辞儀をして

ステージをあとにした



ライブが終わった。

凄まじいライブだったし、ここに来れて良かった。


今日のライブは一生忘れないと思う



帰宅中、急いで電話をかける

プルルル


「は〜〜い、どうした〜?」


「カイドウさん!急にすみません!今少し話せる時間ありますか?」


「うん、大丈夫だよ〜〜」


「前話してた歌い手を探してるって件。もう誰かに決まりました?」


「…… あ〜〜!うん、そうだね」



やっぱりか…そうだよな。もう結構たつし当たり前だ…いつまでもグズグズしてた俺が悪い

せっかくチャンスを貰ったのに


……でも


「あの!!もしまた何か歌い手を必要な時があれば連絡下さい!!

俺、やっぱり歌を歌って生きていきたいって改めて思いました!!」



「そっか、…分かったよ

実は前のCMタイアップの話まだ歌い手決めてないんだ。」

 

「……  え!!?」


「嘘ついてゴメンね〜〜!キミの本音が聞きたくて

。やっぱり色々な人の聴いたけど、やっぱりソウヘイ君の声が合うと思って決めかねてたんだよね」



……まじかよ!!


「散々待たせてしまって本当にすみません!!あの、宜しくお願いします!!」

電話越しだけど深々お辞儀してた。

自分でもビックリするくらい大声出して、道行く人に凄い見られた。



「決心してくれて嬉しいよ〜〜。

もうギリギリまでクライアント持たせてるから急ピッチで仕事進めるよ!!」


「はい!!」



やっと前に進めそうだ

ハルのライブを見て再確認出来た。


本気で歌手になりたい。魂込めて歌いたい

人生かけて


ハルに感謝しかない

色々迷いまくってモヤがかかった俺の脳内を根こそぎぶった斬ってくれた



次会えた時にお礼言わなきゃ

改めて歌と向き合わせてくれた事に。

自分の中の根底にあるシンプルで変わらない夢を思い出させてくれたんだ。



次の日の朝

久しぶりにグッスリ眠れた

こんなに深く安眠できたのは久しぶりだ


スマホのアラームより先に起きた。

何気なくSNSを見ていると、ハルがトレンド入りしてた。

昨日のライブの事だな。凄かったもんなぁ…

とひらいてみると



【歌手ハル電撃引退!!】



……  え ?





















キミがあの日あの時どんな気持ちだったか…

俺は全く知るよしもなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ