『ツァラトゥストラはこう言った』その2
ツァラトゥストラは、30歳になったとき、ふるさとを去り、ふるさとの湖を捨てて、山奥にはいった。そこでみずからの知恵を愛し、孤独を楽しんで、10年ののちも倦むことを知らなかったが、ある朝、かれはあかつきとともに起き、太陽を迎えて立ち、太陽に語りかけた。
──偉大なる天体よ! もしあなたの光を浴びる者たちがいなかったら、あなたははたして幸福といえるだろうか!
太陽が、夕がた、海のかなたに沈み、さらにその下の世界に光明をもたらすように、かれもまた太陽のように没落を果たさなければならぬ、と下へおりて行くことを決心した。
自分の貯えた知恵を分配し、贈りたい。人間のなかの賢者たちにふたたびその愚かさを、貧者たちにふたたびおのれの富を悟らせてよろこばせたい、と。
Wikipediaのニーチェの生涯を読んでみた。17歳下のエッセイストの女性に求婚したが断られ、やはり生涯独身だった。 ──ニーチェは女性にモテなかったというウワサは本当なのかもしれない── ワーグナーとも交流があり、同世代のドストエフスキーの『悪霊』『死の家の記録』などを読み、その思想に共鳴している、のは興味深かった。45歳のときに精神病院に入院し、肺炎を患って55歳で亡くなっている。




