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『同時代ゲーム』impression6



 「第6の手紙 村=国家=小宇宙の森」を読み終え、ようやく『同時代ゲーム』を読了した。この章もあらゆるものの根抵を問うような内容だった。やはり詳細には触れないが、印象的な言葉も多数あった。例えば、天狗のカゲマ、チンバ、アマツカミ、クニツカミ、現人神(あらひとがみ)、森の怪物フシギ ──第二次世界大戦敗戦後、天皇の「人間宣言」によって、公の場で「現人神」と言う呼称を用いられる事はなくなったが、現人神であることは否定していないらしい。思わずオレは、ナンダソリャと失笑してしまったのだが──

 それからオレは達成感に浸りながら、美味しいビールとともに晩ご飯を食べた。


 『同時代ゲーム』は、1979年(昭和54年)新潮社の「純文学書下ろし特別作品」シリーズとして出版された。当時は10万部を超えるベストセラーとなったが、その晦渋(かいじゅう)さから、それ以降、大江の読者離れをもたらした作品だったとも言われている。たしかに現在、仙台市内の書店で、大江健三郎の文庫本が数冊並べてあるのは丸善ぐらいだろう。

 そういう実体も踏まえつつ、20代前半以来久しぶりに『同時代ゲーム』を再読してみると、想像をはるかに超えた稀有な大作だった。ここまで超越的な小説だとは思っていなかった。オレは、多くの難解な言葉や漢字をひとつひとつiPhoneで調べ、わかりにくい文章は何度も読み返し、一つも漏らすことなくすべてを理解することに努めた。こんなに充実し無我夢中になって読んだ小説は、同じ大江健三郎の『洪水はわが魂に及び』以来だろう。

 『同時代ゲーム』全体の感想は、少し熟考したのち、後日あらためて書くとする。もしこのエッセイを読んで『同時代ゲーム』を読んでみたいと思われた方がいたのなら、躊躇せずに読んでほしい。辞書は必需品となるが、必ず超越的な世界に驚きと感動を得られるだろうから……



 今朝は雨だ。愛犬シーズーのシーとの散歩は中止せざる得ない。シーはよく仰向けに寝ているオレの上半身に上ってオレの顔を舐めたりするが、そのままオレの顔に自分の顔を乗せたまま寝てしまったことがあった。


 ──シー!




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