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『同時代ゲーム』impression1



 現在読みすすめている大江健三郎の長編『同時代ゲーム』の「第一の手紙 メキシコから、時のはじまりにむかって」を読み終えた。『懐かしい年への手紙』のように詳細な内容に触れるつもりはないが、『同時代ゲーム』を20代前半の時期に初めて読んだおり、青二才だったオレが、この晦渋(かいじゅう)な小説を到底理解できなかったことは容易に想像がついた。

 「第一の手紙 メキシコから、時のはじまりにむかって」で登場するメキシコの民衆版画家ポサダや『日本書紀』の一節などはまったく記憶に残っていなかったし、とにかく当時のオレは『同時代ゲーム』の読了を目指すあまり、理解したつもりのまま読みすすめことだろう。 ──大学の先輩や友人に、『同時代ゲーム』を完読したことを自慢したいがため──


 長い文章とまわりくどい表現、頻繁に使われる難解な漢字。和訳なしの英文。現代文なしの漢文。語彙力の乏しいオレは、辞書代わりのiPhoneを片手に読みすすめなければならない。

 おそらく、今の若者が『同時代ゲーム』を手に取りパラパラとページを(めく)ったとしても、多くの者はそのまま本を投げ出してしまうだろう。 ──なぜ? このようにびっしり文字が詰まった、しかも分厚い小説を苦労して読まなければならないのか? どうせならもっと簡単に読める方がいいと──


 1979年(昭和54年)に新潮社の「純文学書下ろし特別作品」シリーズで発表された『同時代ゲーム』は、ハードカヴァーで10万部を超えるベストセラーとなったが、当時の若者でさえこの晦渋な長編小説に難儀し、多くの読者が大江健三郎から離れるきっかけにもなったとも言われている。

 しかしながら大江健三郎にとって、この長編小説は自分の作家人生において、もっとも重要な作品になると確信していたのだろう。だからこそ、後から思えば、盲目的過ぎるほど突きすすむことに迷いはなかったのではないか?

 そして、『同時代ゲーム』に魅せられた数少ないひとりとして、オレは、やはり盲目的に「第二の手紙 犬ほどの大きさのもの」へと読みすすめるのだ。



 今朝も愛犬シーズーのシーと散歩に出かけよう。底辺から色づく東の空を眺め、ピシュスを感じ宇宙の声に耳を傾けてるのだ。シーを抱きしめながら……


 ──シー、どこまでも一緒だよ!




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