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第3話
「お待ちしておりました、中家少佐」
頭を45度下げて出迎えてくれたのは手野産業の社章を胸につけた、若い男性だった。
「ありがとうございます。そちらは」
「申し遅れました」
頭を戻し、中家に向かって堂々たる立ち振る舞いを見せる。
「わたくし、手野産業秘書課課長の上杉浩作と申します。以後、お見知り置きのほど、よろしくお願いします」
名刺を差し出し、上杉は中家へと名乗った。
「ありがとうございます。私は中家。今回の護衛の隊長を務めます。こちらは、私の部下で、それぞれ大公ご一家それぞれの護衛に就く北島、西板、南旗、東部です」
紹介をすると、一人ずつ頭を下げてあいさつを交わした。