悪役令嬢(予定)のとりまきになりました。
ゆるい設定で勢いで書きましたので細かなところの設定については温かい目で見ていただければと思います。とても久しぶりに書いたのでリハビリに少しずつまたかけたらと思います。
ご指摘いただいた設定の矛盾を若干訂正いたしました。
「マリー!マリー!!しっかりして、目を開けて!!!」
母の声で、ぼんやりした頭を振って目を開ける。周りの皆が息を呑む気配がする。
「マリー!本当にあなたという娘は!来週から学園に通うというのにいつまでも心配かけて!お転婆なのも大概にしておとなしくして頂戴!」
母の目から大粒の涙が次々にこぼれだす。
ーーん?母??
このペネ○ペ・クルスもかくやという美女は、河合茉莉のお母さんでは断・じ・て・な・い!!
私のお母さんはもっとこう、健康的で、刑事ドラマが好きで、大きな口を開けて笑うおばちゃんだ。
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私、河合茉莉は都内のIT系でプロジェクトマネージャーをしているごくごく普通の会社員だ。金曜日の業務明け、長期で担当していた案件が終わったのだが、このご時世飲み会が出来ないからせめて自宅でちょっとリッチなビールでも…とコンビニに買い出しにでかけた。その途中で酒気帯び運転の車が歩道に乗り上げてきて、信号待ちしていた私の目の前に眩しいライトが視野いっぱいに広がった。
ーーいざその瞬間は叫んだり、逃げようとしたり出来ないんだなぁ…
なーんて妙に冷静に状況分析したりして。
そう、たしかに私結構やばかった。
っていうか、その状況から鑑みるにこれっていわゆる転生モノ?
転生キタコレ??
あれでしょ、悪役令嬢に転生して今度は婚約者の殿下に関わらないように穏やかに生きるために頑張るの的なやつでしょ?
あーーーー、、なんか、、目開けたくなくなってきた。。
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「マリー!聞いてるのですか、マリー!」
また母の声で現実に引き戻された。
「先生がいらしたから様子を見ていただきましょう。ねぇ先生、骨が折れたり大きな怪我といった様子はないのですが頭をうっていたらどうしましょう…」
その言葉にぎょっとした。
「えっ…、お母様、骨が折れるって私どうしたのかしら?実のところなんでこうなったのかよく覚えていないの」
とっさに質問してみた。
「あなたがどうしてもと言って馬で遠駆けに行ったんじゃない。馬の練習もろくにしないですぐに遠駆けに行きたいなんていうから、危ないんじゃないって言ったのに!周りが諌めることもよく聞かずに落馬するなんて、お母様は生きた心地がしなかったんですからね!」
ーーう、う、うわぁ…私なにやっちゃってんの…流石にそれはアカンやろ。。。
落馬って、もしかしてもしかしなくてもマリーがお亡くなりになって、かわりに私の魂がこの肉体に入った感じ、的な?でも記憶は一応引き継ぎ受けられる不思議な転生システムになってて言語やマナー、一般常識はわかるわ…
「お母様、ご心配ご迷惑おかけしてしまって本当にごめんなさい。もう二度としないわ」
ーーっていうか、悪役令嬢だったらあれかしら、公爵令嬢とか侯爵令嬢的な感じなのかしら。
流石にお嬢様だと乗馬はしないのかなぁ。
個人的には引き馬だったら今後機会があったら乗ってみたい…けど今そういうアレじゃないわよね。っていうか今後一生乗馬は許してもらえないわねこの空気。
なーんて呑気に考えていたらその間にも触診・問診を地味に差し込んでいた主治医からは、怪我の問題も頭の問題もないとお墨付きをもらった。
「来週から寮生活でお母様と離れて過ごすのが今からとても心配だわ…。ねぇ、ハワード、この子のこと、しっかり頼むわよ」
「わかっております、お義母様」
その瞬間、初めて義兄がベッドの側にいることに気がついた。
ーー待て待て待て、「ハワード」が義兄って言った?このアッシュグレーの髪にこの顔……
えっ、、、てことは、、、
「マリー」に「ハワード」と来たら、これは「Fleur de Ecole 〜秘密と花園〜」のゲームだわこれ!
マリーって、、、私、、、
ヒロインのほうじゃーーーーん!!!!!!!!!!!!
「お母様、怪我がないか私自身でも見てみたいので鏡をお借りしてもよろしいですか?」
「えぇ、もちろんよ」
そう言うと侍女が手鏡をさっと持ってきてくれた。
ーーおぉぅ…
ピンクブロンドのふわふわの髪、青の洞窟みたいにグラデーションを見せるキラキラした碧い瞳、
(化粧もしていないのに)ぷっくりした桜色の唇、真っ白なすべすべの肌。
ヒロインてかくあるべきよねぇ……今は自分の顔だけどいつまでも見ていたい。
ってそういうこと言ってる場合じゃないわ!!状況を整理しよう。その前に皆部屋から一旦出ていってもらって、ノートにきちんと整理しよう。
まず、私が転生したと思しきこの世界は、以前ハマってやっていた乙女ゲーム「Fleur de Ecole 〜秘密と花園〜」の世界ですな。でもこのゲーム、一年半くらい前にハマってやっていたものでその後いくつかハマったゲームが有って正直細かな設定が抜けてるから、今思いつく限りのイベントやフラグを思い出していこう。
基本ゲーム設定的には超王道の乙女ゲーム。王立魔法学園で攻略対象と悪役令嬢をスパイスに恋のストーリーを進めてハッピーエンドを目指す内容で変な設定は特になかった。
まず私自身のことでしょ。
私、マリーは子爵令嬢。お父様には正妻がいらしてその方との間に長らく子が産まれなかったため遠縁から引き取られたのがハワードお義兄様。ハワードお義兄様がいらして数年して、正妻の方が病を得てお亡くなりになって、お父様はお義兄様がいたこともあって後妻を取ることに優先順位をおいていなかったみたい。そのせいで、女主人のいない屋敷はあたたかな気配りや社交があまりなく、ハワードお義兄様の幼少期はお忙しいお父様に構ってもらえずかなり寂しい思いをされたというのがゲームのエピソードにあった。
私のお母様は貧乏な田舎男爵の令嬢だったんだけど、相当見た目が美しくてデビュタントの際に王都にやってきた舞踏会でお父様が(年甲斐もなく)一目惚れしちゃってソッコーで結婚にこぎつけて出来たのが私、マリー。だから家族にはかなり愛されて育った。お母様は、貧乏な田舎男爵出身ということもあって、身に染み付いた倹約気質が抜けきれずお金のかかる社交は必要最低限にとどめていたこともあって私はデビュタント前は人前にも出ず、相当のびのび育ててもらったおかげ(?)でかなりお転婆に育ってしまっていた。家族の口癖は、「口だけは閉じていろ、動くな、それだけでいい」だった。地味にひどい。
次に大事なのは攻略対象でしょ。えーっと確か…
1. 王太子 鉄板だよね。確か金髪碧眼のいかにも王子様でスチルがめっちゃキレイだった。
2. 騎士団長令息 今王太子付きの騎士で、ツンデレ系の黒髪金眼のスポーツマンタイプ。
3. 義兄 アッシュグレーの髪に濃紺の瞳で寡黙なんだけど攻略したあとに見せてくれる笑顔がたまらない。キュン死。
4. 先生 これは学園に通い始めると出てくる魔法薬学の先生で柔らかいキャラメルブラウンの髪と瞳のワンコ系。だけど困ったときに頼れるギャップ。
で、まぁヒロインだからどのルートで行くか逆ハー狙うか裏キャラ行くかなんだけど。
……正直、全員ご遠慮させていただきたい!!!!!!!!!!!!!!!!
熨斗つけて返品したい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
→王太子ルート:転生してるのに王妃とかホント無理。もう少し身軽なポジションで人生を自由に楽しく過ごしたい。婚約者からの略奪愛のち王太子妃教育とか無理でしょ。
→騎士団長令息:あのキャラマジ脳筋だから正直価値観合わない。
→義兄:ヤンデレ入ってて監禁しちゃうから無理。メリバとか私には重すぎる。
→先生:生徒に手を出す倫理観がもう生理的に無理。ぶっちゃけ本気で無理。
あーやばい。ヒロインとして楽しく生きていくの結構難しいんじゃないかこれ。なんと言っても悪役令嬢、いるんだよねぇ……イジメられるってわかってて学校行くのしんどいし、その結果悪役令嬢が断罪されるところ見るのも正直嬉しくはないし。
ってことで、まずはあの鼻持ちならない公爵令嬢のフラグ折りからかぁ、、、ホント骨折れるわこれ。なんで自分のじゃないフラグ折らなきゃいけないのよ!悪役令嬢も転生しててくんないかなぁ……
そしてもう来週からゲームスタートとか、ホントもうちょっとこの世界に慣れるバッファくださっても良かったんじゃないですかねぇ!?!?
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そんなことを言ったって時間は流れて「来週」はつまり「今日」なのである。あっさり入学式なのである。生で見る攻略対象はめっさカッコいいわけである。
今日、ゲーム的には子爵令嬢だけど魔力量が異常に多い私は王太子と同じクラスになって高位貴族の一部令嬢にさっそく無視されたりとかしちゃって、何なら避けられちゃって初日早々浮いちゃうところを優等生王太子が気を遣って声かけてくれるところが出会いなわけである。
で、だ。そういう八方美人な王太子の様子を婚約者の公爵令嬢が見ていて面白いわけがないんですよ。ということで初日からボッチな子爵令嬢を、その後在学中ずっと気にかけてくれる上に生徒会まで一緒にやることになって、まぁ一緒に仕事していると仲良くなるから公爵令嬢は晴れて悪役令嬢爆誕なわけであるのですよ。
ということは、私がボッチにならないように頑張る、というのがてっとり早い解決方法ですね。誰か友達作りましょう、と。と、ここまで思って教室に入ってみると私の後ろの席にはきれいなシルバーグレイの髪の美少女が座っていた。おお、眼福!
「あ、あの、ご機嫌よう。私マリー・ノアイユと申します。これからよろしくお願いいたします」と勇気を振り絞って美少女に声をかけてみた。
すると、その美少女は
「ご機嫌よう。わたくし、シャルロット・ド・リュジニャンと申します。以後お見知りおきを」
と、鈴の鳴るような声で言ってきた。
ーーえ、この子がシャルロットなの?めっちゃくっちゃ可愛いんですけど!!!!
え、この子が断罪とかホント世界の損失なんですけど。
え、リュジニャンとか、ニャンとか、まじでホントの名前なの?可愛すぎない?
この瞬間、私は思った。
ーーこの子を、プロデュースしよう。王妃になってもらってモード界を牽引してブームというブームに火をつけてもらおう。これは、「シャルロット・プロジェクト」だと思えばプロマネとしての腕が鳴るわ。一生プロジェクト立ち上げまくって花火どっかんどっかん上げたるわ…!!
ということで、悪役令嬢(予定)のとりまきになりました。
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攻略対象との最初の出会いはシャルロットと友達になることでひとまずは避けられたみたい。攻略対象からは、シャルロットのとりまきの一人、としか見られていないようである。むふ。順調順調♪
そこからの生活はまぁ控えめにいって最高であります。はい。
フラグは基本、私と王太子との仲が深まってシャルロットが嫉妬心を隠して隠してプッツンすることで一気に噴出してしまう。あの美少女シャルロットが物言わずとりまきが忖度してチマいイジメをするわけである。物を隠す、器物損壊(ものを壊す)、ハブって孤立させる、噴水に突き落とす、でラストは階段から突き落とす。まぁシンプルなので「はい、ここテストに出るぞー」って言われてるのと同じ状態なのでその前後の流れは細かく覚えていないけれどポイントポイント押さえていけばいいかなと思っていました。
だけど、とりまきに入った時点で実はそのテスト、なくなってます!!フラグ回避めちゃ簡単じゃね?あとは学園生活楽しみ切って卒業して王太子妃の侍女になったらめっちゃ良くない??ということでシャルロットと王太子のカップリング強化に注力したわけであります。
悪役令嬢にならないシャルロットはまさに、淑女の鑑で王太子とのお付き合いも節度ある健全なものでした。ということで、仕込みました。はい。
「シャルロット様、フェルディナン殿下との関係は至って良好とのことですが、惚れた弱みと申しますか先に殿下にシャルロット様をお好きになっていただくことは今後の夫婦生活でも大切なことかと存じます。さり気なく、無理のない範囲で触れることでシャルロット様を意識いただくことはできるかと思います。具体的には、今日のランチの際に腹ごなしとして散歩をねだりその際にさり気なく手を握ってみて、殿下の様子をこっそり窺ってくださいませ」
「えっ、わ、私のほうから手を握るなんて、そんなはしたないですわ」
耳まで真っ赤なシャルロット様マジ眼福。
「手を握ることは家族でもいたしますもの、いずれ家族になられるお二人が手を握ることは決してはしたない事ではございませんわ」
「そうです、シャルロット様。大切な婚約者であればこそ、関係を大事にすることは当然のことですわ」
「私も婚約者と手を握って目を見つめ合ってお話しすると胸が高鳴ってそれはそれは大切なひとときが更に大事なものに感じるのですわ」
とりまきの皆様が一斉に援護射撃なさるので、シャルロット様も、そ、そうかしらと言いながらお昼休みに早速実践される。基本的に根が真面目で考え方に問題がない、合理的であると判断すると実行する実行力も伴っているのである。
で、けしかけた我々は当然出歯亀である。シャルロット様はもー必死に頑張って、殿下の手にちょんと触って、殿下が「ん?」と言われたところで真っ赤になって縮こまったけど、その後、おずおずと手を握って上目遣いに「で、殿下と手を握ってみたかったのですわ」と言ったあのシーンはマジ名シーン。スチルにしてもらいたい。愛でたい。ズッキューーーーーーーーン!!という殿下のハートの音ダダ漏れでしたから。
手を握るのが大分慣れてきたなという頃に、王太子とシャルロット様双方にキスの一つや二つしないと、なんでしないの?/してくれないの?と思われていると思いますよ、とけしかけましてまぁはい、凄いジレジレなカップル誕生であります。
この世界には圧倒的にエンターテイメント要素が足りないと思ったので、とりまきの皆様と、シャルロット様を愛でる会を作ってみました。そして王太子と婚約者のジレジレの恋愛話に追加要素を盛りに盛って、「すれ違い両片思いだけど、ちゃんと気持ちが伝わってハッピー♡」みたいな薄い物語にして出版するということを企画してみました。(流石に漫画にする技術はないんでね)そんで、執筆からの出版業者とアポ取り打ち合わせ、出版(活版印刷だから初版部数制限あり)してみたところ本を買えるような裕福な貴族でないと当然買えないんだけど有閑マダムたちに大人気になってそこから市民たちにもその人気が伝播して町の演劇小屋なんかで演目化されて、はい、一個プロジェクト大成功!でございました。
とりあえずシャルロットの評価はめちゃくちゃいじらしく大恋愛の末に王太子と結ばれて王妃になる、というルート確定で好意的に国民から受け止められています。その国民からの評判をシャルロットと話すと、耳まで真っ赤になって照れまくって、いつも凛としているところが素敵な彼女が急に乙女な顔になるからたまらんわけであります。
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「お前なぁ…仕込むのはいいけどちょっとは俺に相談してくれよ」
「だってロベール様に相談したら、フェルディナン殿下が使い物にならなくなるからやめてくれって言われるじゃないですか」
「つっ…お前、確信犯かよ!!」
私の膨大な魔力はやはり特筆すべき能力だったので、一年次だけれど生徒会に入って運営事務局の流れを勉強することになりました。学校は小さな社交界で、私は貴族の中では爵位が低い子爵家なので卒業後の社交界で才能をうまく活用出来ないことは損失であるとして生徒会に所属することで広く顔を今から売っておくとよいという特別待遇のようです。何年かに一人はこういう人がいるらしい。
最終学年のロベール様が生徒会長ですが、生徒会活動を通してすっかり気安く話せる仲になりました。ロベール様は宰相令息で次期侯爵なので本来であれば雲の上の人ですが学園の措置によってこうやって普通に(っていうか打ち解けすぎだけど)話せるということに感謝です。殿下が国王になる際に、将来の宰相候補と言われるほどの秀才だけど「氷の貴公子」という恥ずかしすぎる厨二病な二つ名がついており、どんな人なんだろうなーと思っていたら優秀なただのコミュ障だったんで弄り倒してやったら生徒会の空気もめっちゃほんわかして「氷の貴公子、雪解け」とか言われる始末で生徒会のメンバーでめっちゃ吹いたっていうね。
放課後なので生徒会室で隣の席で私が書記として上がってくる議案や議事録の回覧などの処理をしていて隣でロベール様も同じく生徒会の事務処理をしているところでさっきの会話が振られたわけです。
「お前がフェルディナン殿下に変なこと仕込むからスキマ時間必死にシャルロット嬢のところに行ってホントに大変なんだぞ」
「あら、スキマ時間だったらいいじゃないですか。あ、ロベール様、こちらの議事録に回覧サインお願い致しますね」
「…ん。確認済、サインしたぞ。スキマ時間て言ったって、あれで王太子だからいくら学園に通っていても王太子として追加で学ぶべき帝王学とかあるのにそのスキマ時間縫ってくからタイスケめっちゃ大変になったんだぞ!」
「え、ロベール様スケジュール管理までされてらっしゃるんですか?はい、こちらの制服のジェンダーレス化に関する議案草書案にサインお願いいたします」
「あぁ、殿下も生徒会活動されているので放課後活動としての時間とその後の自由時間についてのスケジュールはこちらに任されているから。ってお前こっそり何だこの議案!どさくさに紛れて承認サイン書かせようとするな!ちゃんと稟議に回せ!」
「だってぇ!既得権益あるから結構この手のジェンダーレスの話この時代の人には通りづらくてめんどっちぃからロベール様があっさりサインしてくださいよ!すっごいすっごい後世の人に、前衛的だったとちゃんと褒め称えられますから!」
「お前は宇宙語じゃなくてちゃんとした言葉を話せ!」
…言っていることはもう仰るとおりなんだけど、当然こんなナーロッパな世界感ではセクシャルマイノリティに配慮なんてないわけで、でも当然存在自体はしていて苦しんでいるということも実はこっそり聞いていて、そういう人のために制服を男女関係なく選択できるようにしよう、ただそれだけの議案を出しただけなんだけど。
むぅ。
ついふくれっ面になっちゃった。
その私の横顔を見て、ロベール様がふっと笑った。
え…
ズッキューーーーーーーーン
ーーえ…や、や、やられた…うっそー……何その笑顔。今までそうやって笑ったことなかったよね??私ここでこの面倒くさい人に恋に落ちちゃった…?
「恋に落ちる」瞬間を体感してしまった私は、耳まで赤くなっていることを自覚できるくらい顔が熱く感じちゃった。いきなり心臓の鼓動がどくどく言うのが聞こえる気がする。この勢いに任せてー
ーーつん
隣に座っていたロベール様の袖口をひっぱる。驚いて私を見たロベール様に、上目遣いになっている自覚はあるんだけど、真っ赤な顔で
「…好きになっちゃったら、会いたくて、側にいたくなっちゃうんです」
と、言った。前の会話ぶった切ってて、その前の殿下の話にまた戻っちゃってるけど話つながってないじゃんて頭の中で言葉にしたあとで思い至って焦る。でも、私の気持ちも実は込めた。
そしたら。
「いや、そうは言ってもやることやってから会いに行ってほしいよな」
とな。鈍感力にも程があるぜよ!!!!
その後から、ジレジレカップルを作った私がロベール様に猛アタックして、しっかり溺愛フラグ立てて、攻略対象以外の人と相思相愛になるのはそう遠くない未来。
そして、ロベールとは無事ゴールインして宰相になったロベールに対して国策立案を提案してそのプロモーションとしてしっかりシャルロットをプロデュースしつつ色んなプロジェクトをマネジメントして「あそこは完全に嫁の尻に敷かれている」と言われつつ社交界一番のおしどり夫婦と呼ばれるのはもうちょっと先の未来。
長編にしようかな、と思ったのですが、短編で書いてみたので攻略設定活かしきれず出てこないキャラが多いのでその辺入れたもう少し膨らませた連載で書き直してみようかな、とも思います。
面白かったら★つけていただけるととても嬉しいです。