3.魔王は少年について思う。
短いですが、オープニングの終わりという感じ。
「…………」
ギルガドはリドルを見て、こう思っていた。
――こいつ、放って置けない。
というのも、魔族である自分を助けたこともそうだが、同じ人間からも舐められていたからだ。先ほどの薬屋など、凄まじい効能を知りながらリドルに伝えていなかった。
少年が無警戒であるというのもさることながら、とかく善人なのだ。それ故に、周囲の人々の悪意に気付かない。
自分のような考え方で当たり前だと、そう信じて疑わなかった。
「悪い人間がいる、と言っていたくせにな。全然理解していない……」
洗濯物を干すリドル。
その後姿を観察しながら、ギルガドは深くため息をついた。
「誰かが守ってやらないと、だな」
そして、そう思う。
この少年を一人で放置しては、いつか酷い目に遭うだろう、と。
一宿一飯の恩義、というわけではないが。自分はリドルに命を救われた義理がある。だから、仕方なしにその役目を負ってやろうと考えた。
「これは、あくまで仕方なしだからな」
誰に言うでもなく、ギルガドはそう口にする。
しかし、魔王は気付いていなかった。
自分はすでに、この少年によって骨抜きにされていたことに……。
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