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2 2か月後

連続投稿です。

この世界にきて2か月。


「またの来店、お待ちしております」

「おう、またくるよ。毎日偉いね」


私はカウンターに立ちながら、お客さんを見送ります。


ここは似非中世西洋風世界。魔法もあります。

この世界での私はただのモブ。

王都にある雑貨屋の娘ミリーです。

ゲーム世界の中では、ヒロインにアイテムを売っていました。

登場回数はかなり少なく、立絵がなかったので元の姿は分かりませんが、今の姿は私です。

正確に言うと、私の姿を美形西洋人化した姿です。

金髪に青い瞳、白い肌ですが、ベースの姿は私です。

転生直後は何度も自分の姿を鏡で見て、うっとりしていました。

「なんか凄い美形になってる!」と驚いた私は、様々な表情を鏡の前で作ってみました。

お気に入りは「貴族令嬢風の微笑み」でした。

「ほほほ」っと手で口を隠しながら、意味深な笑顔を意味もなく繰り返していました。

そうしていると、「お前どうした?頭でも打ったのか?」と髭ぼさぼさのマッチョな男の人に言われました。

危ない人ではありません。この世界での私のお父さんです。

ミリーに転生した私ですが、それまでのミリーの記憶も受けついでいます。

それで、この人がお父さんだという事も瞬時に理解できました。

とても商人には見えない姿ですが、それもそのはず。

昔は冒険者をしていたとのことです。

私が生まれて、落ち着くために店を始めたとか。

母は他界し、男で一つで娘を育てているためか、ミリーを大切に育てていました。

やさしいお父さんという記憶がミリーの中にあります。

そして、今の私のお父さんで有り、この雑貨屋の店主です。

店は家族経営です。

小さなお店なので、私とお父さんで店を維持しています。

父が物を仕入れ、私が店で売る。

店では日用雑貨の他に、RPGでお馴染みの「薬草」や「ポーション」も売っています。

最近は「薬草」がよく売れます。

怪我人が多いのでしょうか?

街の事情に詳しくないので私には分かりません。


転生した直後は、私は深いショックを受けていました。

生まれて初めて彼氏ができたのに、ゲームの世界にとばされたのです。

これが彼氏が出来る前ならよかったです。

しかし、ふさぎ込んでいる暇はありませんでした。

モブというか、貧乏なため、働かなければなりません。

私は毎日店番をします。

日々を過ごしていくうちに、この世界での生活に慣れきました。

売り物は現実世界と違い「薬草」や「ポーション」ですが、仕事内容な現実世界の雑貨屋と変わりません。魔法がある世界といっても、魔法を使える人はごく一部の人のみです。そういう人は大抵国や貴族に仕えるそうです。お父さんが言っていました。私には縁がありません。

そのため、生活自体はそれ程変わりません。

そうしていつしか、転生直後のショックも薄れてきました。

今ではこちらが現実で、もう一つの世界が夢のように感じます。


私はカウンターに立ちながら、新聞を見ます。

どうやら私の知っている乙女ゲームと同じように世界は進んでいるようでした。

「第一王子の死去」、「敵国との戦争終結」「とある村をでの魔物被害」

聞いた事があるようなイベントがいくつか起きていました。

そして、一番の話題は「彗星のごとく現れた辺境出身の貴族令嬢、「紅の姫」の大活躍」。

「紅の姫」というのは彼女の別名で、本名は、レイナ・シルフィード伯爵令嬢。

伝説の神獣「鳳凰」のような美貌と雰囲気を併せ持つ美女と評判で、市民の間では「紅の姫」と呼ばれています。

そう、ゲームのヒロインです。

王都に来た当初は、彼女への風当たりは強かったようですが、次々と起こる事件を解決し、複数の殿方から興味を持たれているようです。新聞にそう書いてあります。そもそもこの世界、写真がないのでその姿を私は見たことがありませんが、街を歩いていて人々が彼女の話をしているのをよく聞きます。

私は新聞を置き、「はぁ~」っとため息をつきます。

どうせなら、モブではなくヒロインに転生したかったなぁ~っと。


ここまでお読み下さりありがとうございます。

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