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新世界の礎  作者: アポカリプス
第0章
1/2

終わりの始まり。あるいは始まりの始まり。

 

――白衣を着た女と男達が、俺を囲んで立っている。


――その部屋は白く、白く、透明で。何の感情も見いだせそうにない。


――視界は確保されているにしても、よくわからない機械に目以外の体全て

をおおわれ、ベッドに転がされて。うんざりする程のチューブとコードが

俺の体をのたうち回っているというのに。


――これから俺は死ぬっていうのに。

 

 

「君は死ぬ。いや、正確には君の情報はアレとして生き続けるが、君という

 一個人は数分後、約99.842パーセントの確率で永遠に消滅する。と

 いっても‘君達’が、生き残ろうと死のうと、計画には大差ない。

 まぁ、私は死ぬ方をおすすめするけどね。

――とにかく、君は地獄行きの列車に乗ったんだ。」


――この一年で聞き慣れた女の声が、やけにクリアに頭に響く。


――そんなことは、わかっている。



「これから死ぬ君に、私達は同情しないし、ましてや可哀想だなどとは絶対

 思わない。前々から思っていたが、こんなことに志願した‘君達’は、

 そうとうの大馬鹿者だ。」


――ハッ


――声を出すことが許されない俺は、やっと生まれた感情・・・しかしどん

な感情か言語化できないソレを、精一杯目に込めた。



「そんな目をするなよ。ーそろそろだな。始めろ」


――女が周りの白衣の男達に命令する。


――俺を囲む機械が、うなりをあげ始めた。


――あぁ、死ぬのか。俺には、たいした悲しみも、未練も、後悔も、ない。



―――遠ざかる意識の中で―――



「同情などしないが・・・――私は、‘君達’を尊敬する。」



――そんなものはいらない。


――なら、頬を伝う液体の意味は――




――そんな思考を最後に、俺・・・神崎 零は生を絶った。 




 

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