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覚醒
土煙が収まるとそこには初めて見る女性がいた。
赤い髪の毛。小柄で華奢な身体つき。そして、誰も寄せ付けようとしない、目の鋭さ。その容姿からは思えないほどの、威圧感。それ故にか大きく見える。
「後少し遅れていたらこの世から消えていたかもしれぬ。そなたか私を攻撃してのは?」
「貴女は誰? カヤは何処へ行ったの?」
林原は今何が起きているのか分からず呆然と立っていた。
「おぬしは私がわからぬのか? そなたも魔法使いであろうに。封じ込められていた間にだいぶ変わったとみえる」
「貴女は………」
林原の頭の中に1人の伝説の魔法使いの名前が浮かんだ。目の前に居る女性は話を訊いたそのままの姿だったからだ。
「想い出したようだな。ならば」
その女性が魔法の杖を林原に向けた。
すると、自分にはかなわないとみたのか、林原は忽然と消えた。
「逃げたか。ま、よかろう」
姿はカヤに戻った。
その場に崩れる様に倒れた。




